あみだせ必殺技!
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――尾刈斗中との試合のために河川敷で練習を始めた雷門中サッカー部。瑞貴も言った通り合流してきた。しかし……。
「うおりゃあぁぁあああ!!」
染岡が暴走しているのだ。松野に危険なスライディングをするし、影野の服をつかんでムリ矢理ボールを奪う。これはあからさまなファールだ。
半田の「染岡ー! 今のはファールだろ!」という呼び声にも耳に届いていない。挙句の果てに風丸の肩を押し、シュートをするがボールはゴールに入らず弾き返された。染岡は大量の汗を出しながら膝を付く。
「どうしたんだよ染岡」
「こんなんじゃダメだ!」
「染岡さん。ちょっとラフプレー過ぎますよ」
「そんなことねぇよ!」
円堂と宍戸の言葉にも乱暴に返す。他の部員も秋も染岡の態度に心配そうに見つめている。瑞貴は一つ溜息をつくと染岡の元へ行き……。
ボカッ!!
「「「「「なっ!?」」」」」
あろうことか染岡の頭を殴った。これには周りのみんなも驚く。
「瑞貴!?」
「ちょ、お前何して……!」
円堂と半田が声をかける。しかし一番驚いたのは染岡だ。最初は何されたか状況がつかめなかったが、だんだん気づき立ち上がって瑞貴の胸倉をつかむ。
「何しやがる!」
いかにも殴りかかりそうな様子だったので、みんなは助けに入ろうとするが瑞貴が片手でそれを制した。
「頭冷えた?」
「ハァ!?」
「何が『そんなことねぇよ』よ。あんたの今のプレーは試合では即刻退場と言われてもおかしくない行動なの。それにチームメイトを怪我させる気?」
染岡は呆気に取られてしまい思わずつかんでいた手を離すと、瑞貴はユニフォームを整える。他のチームメイトは瑞貴が帝国学園との試合のような雰囲気だったので、ただ何も言わず見守っていた。
「焦る気持ちもわからなくはないけど、これ以上あんなプレーをするなら試合は欠流と代わってもらう。今の状態じゃ欠流のほうがまだマシだからね」
珍しく瑞貴に褒められたことに目金は喜びの声を上げようとしたが、雰囲気がそれを許さなかったので目を逸らす。
「あなたの言う『本当のサッカー』はワンマンプレーなの?」
そのひと言に染岡は息を呑み、顔をうつむける。
「すまない……」
「うん」
染岡が謝ると瑞貴はさっきとは違い、優しく微笑んで染岡の肩をポンと叩いた。
その間に帝国学園との試合以来、雷門イレブンのファンになった音無春奈が内心ハラハラしながら見守っている秋のもとへやって来た。春奈も雷門イレブンの異様な雰囲気に気づき、その様子を見つめる。
「なんか今日は息が合ってませんよね?」
「うん。染岡くんがね、多分次の試合決まって焦ってるのかも」
「次の試合?」
「でも、瑞貴ちゃんがなんとか落ち着かせたみたい」
「さっすが井上先輩! 帝国学園との試合のときも女子なのにカッコよかったですもんね」
春奈が「雷門イレブンのファンになった」と言ったときより、特に目を輝かせていることに気づいた秋は苦笑する。
「それで、どことやるんですか?」
「尾刈斗中よ」
「尾刈斗中!?」
その学校名を聞いた春奈は瑞貴のようにいかにも嫌そうな顔をする。秋もその様子に不審に思い、「どうしたの?」と声をかける。
「先輩知らないんですか?尾刈斗中っていろいろ怖い噂があるとこですよ」
「……怖い噂って?」
秋はみんなをベンチに呼び寄せ、手帳を広げている春奈を中心に集まった。
「尾刈斗中の怖い噂って何だよ?」
円堂が春奈に声をかける。春奈は手帳を見ながら話し出した。
「えっと、噂っていうのは……尾刈斗中と試合した選手は、三日後に全員高熱を出して倒れるとか」
「ん?」
「高熱を出す?」
「尾刈斗中の中に風邪でも引いてる奴がいたんじゃないのか?」
「「真面目に!」」
風丸と松野と円堂の態度に瑞貴と秋は怒鳴り、みんなは肩をビクッと震わせた。特に瑞貴は先ほどの染岡の一件があったので尚更だ。
「尾刈斗中が試合に負けそうになると、スゴい風が吹き出して結局中止になっちゃうとか。尾刈斗中のゴールにシュートを撃とうとすると、足が動かなくなるとか」
「ト、トイレ行ってくるっス……」
それを悪い方向に想像してしまったのか、壁山はガクガク震えて青ざめながらその場を離れた。
「呪いか……」
「「「「!」」」」
影野の呟きに風丸と松野と目金と瑞貴は壁山ほどではないが青ざめてブルッと震えた。特に影野が言うので恐怖は抜群。瑞貴は耳を塞ぐと風丸がそれに気づいた。
「どうした?」
「な、なんでもない……」
「もしかして怖いのか?」
「ウッ!」
図星を指された瑞貴は顔を真っ赤にした。
「そういえば瑞貴ってこういうの苦手だもんね。帝国学園との試合のとき壁山がロッカーにいるってわかる前、円堂が『オバケ』って言ったとき廊下の角に隠れてたし」
「み、見てたの!?」
まさか見られていると思われてなかったので瑞貴はさらに顔を赤くした。
「うおりゃあぁぁあああ!!」
染岡が暴走しているのだ。松野に危険なスライディングをするし、影野の服をつかんでムリ矢理ボールを奪う。これはあからさまなファールだ。
半田の「染岡ー! 今のはファールだろ!」という呼び声にも耳に届いていない。挙句の果てに風丸の肩を押し、シュートをするがボールはゴールに入らず弾き返された。染岡は大量の汗を出しながら膝を付く。
「どうしたんだよ染岡」
「こんなんじゃダメだ!」
「染岡さん。ちょっとラフプレー過ぎますよ」
「そんなことねぇよ!」
円堂と宍戸の言葉にも乱暴に返す。他の部員も秋も染岡の態度に心配そうに見つめている。瑞貴は一つ溜息をつくと染岡の元へ行き……。
ボカッ!!
「「「「「なっ!?」」」」」
あろうことか染岡の頭を殴った。これには周りのみんなも驚く。
「瑞貴!?」
「ちょ、お前何して……!」
円堂と半田が声をかける。しかし一番驚いたのは染岡だ。最初は何されたか状況がつかめなかったが、だんだん気づき立ち上がって瑞貴の胸倉をつかむ。
「何しやがる!」
いかにも殴りかかりそうな様子だったので、みんなは助けに入ろうとするが瑞貴が片手でそれを制した。
「頭冷えた?」
「ハァ!?」
「何が『そんなことねぇよ』よ。あんたの今のプレーは試合では即刻退場と言われてもおかしくない行動なの。それにチームメイトを怪我させる気?」
染岡は呆気に取られてしまい思わずつかんでいた手を離すと、瑞貴はユニフォームを整える。他のチームメイトは瑞貴が帝国学園との試合のような雰囲気だったので、ただ何も言わず見守っていた。
「焦る気持ちもわからなくはないけど、これ以上あんなプレーをするなら試合は欠流と代わってもらう。今の状態じゃ欠流のほうがまだマシだからね」
珍しく瑞貴に褒められたことに目金は喜びの声を上げようとしたが、雰囲気がそれを許さなかったので目を逸らす。
「あなたの言う『本当のサッカー』はワンマンプレーなの?」
そのひと言に染岡は息を呑み、顔をうつむける。
「すまない……」
「うん」
染岡が謝ると瑞貴はさっきとは違い、優しく微笑んで染岡の肩をポンと叩いた。
その間に帝国学園との試合以来、雷門イレブンのファンになった音無春奈が内心ハラハラしながら見守っている秋のもとへやって来た。春奈も雷門イレブンの異様な雰囲気に気づき、その様子を見つめる。
「なんか今日は息が合ってませんよね?」
「うん。染岡くんがね、多分次の試合決まって焦ってるのかも」
「次の試合?」
「でも、瑞貴ちゃんがなんとか落ち着かせたみたい」
「さっすが井上先輩! 帝国学園との試合のときも女子なのにカッコよかったですもんね」
春奈が「雷門イレブンのファンになった」と言ったときより、特に目を輝かせていることに気づいた秋は苦笑する。
「それで、どことやるんですか?」
「尾刈斗中よ」
「尾刈斗中!?」
その学校名を聞いた春奈は瑞貴のようにいかにも嫌そうな顔をする。秋もその様子に不審に思い、「どうしたの?」と声をかける。
「先輩知らないんですか?尾刈斗中っていろいろ怖い噂があるとこですよ」
「……怖い噂って?」
秋はみんなをベンチに呼び寄せ、手帳を広げている春奈を中心に集まった。
「尾刈斗中の怖い噂って何だよ?」
円堂が春奈に声をかける。春奈は手帳を見ながら話し出した。
「えっと、噂っていうのは……尾刈斗中と試合した選手は、三日後に全員高熱を出して倒れるとか」
「ん?」
「高熱を出す?」
「尾刈斗中の中に風邪でも引いてる奴がいたんじゃないのか?」
「「真面目に!」」
風丸と松野と円堂の態度に瑞貴と秋は怒鳴り、みんなは肩をビクッと震わせた。特に瑞貴は先ほどの染岡の一件があったので尚更だ。
「尾刈斗中が試合に負けそうになると、スゴい風が吹き出して結局中止になっちゃうとか。尾刈斗中のゴールにシュートを撃とうとすると、足が動かなくなるとか」
「ト、トイレ行ってくるっス……」
それを悪い方向に想像してしまったのか、壁山はガクガク震えて青ざめながらその場を離れた。
「呪いか……」
「「「「!」」」」
影野の呟きに風丸と松野と目金と瑞貴は壁山ほどではないが青ざめてブルッと震えた。特に影野が言うので恐怖は抜群。瑞貴は耳を塞ぐと風丸がそれに気づいた。
「どうした?」
「な、なんでもない……」
「もしかして怖いのか?」
「ウッ!」
図星を指された瑞貴は顔を真っ赤にした。
「そういえば瑞貴ってこういうの苦手だもんね。帝国学園との試合のとき壁山がロッカーにいるってわかる前、円堂が『オバケ』って言ったとき廊下の角に隠れてたし」
「み、見てたの!?」
まさか見られていると思われてなかったので瑞貴はさらに顔を赤くした。