「では、二度と我らに歯向かえないようにしてやろう」


レーゼが合図すると、ジェミニストームの脅威が始まった。彼らはボールを巧みに操り、さらに凄まじい力で雷門中サッカー部を倒していく。

さらにレーゼが一度ボールを蹴っただけで誰にも止められず、その衝撃だけでどんどん倒していき最後に円堂ごとゴールに入れた。


「円堂、大丈夫か!?」


風丸一郎太が円堂を支えるも、次いで来たボールにゴールごと叩きつけられた。


「一郎太！　うわぁっ！」


さらに瑞貴まで攻撃される。そして砂煙が舞う中で雷門中サッカー部はジェミニストームに攻撃され続け、砂煙が晴れたころには全員倒れていた。

目を覚ました円堂は倒れても力を振り絞ってボールに触れようとすると、レーゼが前に出てボールを軽く蹴り、ゴールに入れられた。これで20点目だ。もう……雷門イレブンは戦う力が残っていなかった。


「ゲームセットだ」


黒いボールを受け取ったレーゼが円堂に向かって言い、その後方で倒れている瑞貴にも目を向ける。


「地球にはこんな言葉がある。『雉も鳴かずば撃たれまい』……」


そしてレーゼは妖しく光った黒いボールを傘美野中の校舎に撃ち、傘美野中は雷門中のように破壊されてしまった。瑞貴も、円堂も、ただ見ているだけしかできなかった……。



☆☆☆☆☆


試合に参加できなかった一之瀬一哉と土門飛鳥が雷門中に戻ってきたときには、すでに夜になっていた。彼らも破壊された雷門中を信じられないように呆然と見つめていた。


「こんな…バカな……」

「秋……」


土門と一之瀬が木野秋に振り向くと彼女は何も言わない。それは現実だと言うように。


「本当なんだな……。本当に雷門は負けたんだな……」

「こんなことってあるかよ……。俺たちは優勝したんだぞ!?　優勝したその日にこんな目に遭うなんて……信じられるかよ！　ふざけんな！　何が宇宙人だよ！」


優勝した日に起こった最悪な出来事、負けてしまった雷門、傷ついた仲間、どれもが土門にとってショックを受け、彼はしゃがんで手を地に当てる。

一之瀬はそんな土門を見て秋を見ると、彼女の目に涙が溜まっていた。それを見ていない、というようにもう一度雷門中に顔を向ける。


「……みんなはどうしてる？」

「一方的なゲームだったわ。みんなの必殺技はまるで通用しなくて……。円堂くんや瑞貴ちゃんや豪炎寺くんも倒れるほどだし、ケガが酷い人たちは入院してるの……」

「俺たちが間に合っていれば……！」

「勝てたという保障はないよ」

「っつ、お前なぁ！　あっ……」


反論しようとした土門は続きが言えなかった。なぜなら一之瀬は、秋も土門も今まで見たことがないくらい怖い顔をしているからだ。

彼もまた土門と同じ気持ちでいるのだ。学校を破壊され、チームは倒れ、自分は何もできなかった悔しさに溢れていた。