「みんな！」


再び倒れる仲間たち。アフロディと円堂はまた一対一となった。


「残るは君だけだ」


アフロディは必殺技を使わずに円堂の顔面にボールをぶつける。


「何故だ？　勝ち目のない戦いにどうしてそれほど熱くなれる？　何故君は僕をイライラさせる！」


アフロディは無数に円堂にボールを当て、腹に食らった円堂は倒れる。


（そうだ……君は神の力を得た僕にひれ伏すしかない）


これであきらめただろう、そう思ったアフロディは円堂に背を向ける。


「サッカーを……大好きなサッカーを汚しちゃいけない……！」

「嘘だ……すでに体力は限界のはず……」


再び立ち上がった円堂にアフロディはまたボールぶつけていく。


「守ばっかりに負担はかけさせない！」

「どけ！　プシュケ！」


アフロディは立ち上がって防御に来た瑞貴もボールをぶつけた。彼女に当てることは少し苦痛だったが、瑞貴の『相棒』が円堂ということに嫉妬と怒りを燃やしていた。


（何故!?　何故僕ではなく円堂くんなんだ!?）


それからまた二人にボールがぶつけられるが、瑞貴と円堂は何度でも立ち上がる。


｢｢そんなことは許しちゃいけないんだ！｣｣


アフロディは二人が大きく見えた。そのせいか、体が震えている。


（神である僕が、怯えているというのか……？）


二人に続くかのように豪炎寺たちも立ち上がり始めた。アフロディの脳裏に鬼道の言葉が甦る。


『円堂と瑞貴は……何度でも何度でも立ち上がる。倒れる度に強くなる……。お前は円堂と瑞貴の強さには敵わない！』

「そんなこと…そんなことが……あるものかぁあ！」


アフロディの赤い瞳が光り体にパワーが溢れてきた。


「これは、大好きなサッカーを守るための戦いだ！」

「守！」

「円堂！」

｢｢円堂!!｣｣

｢｢｢｢｢｢円堂/キャプテン!!｣｣｣｣｣」

｢｢｢｢｢円堂/キャプテン!!｣｣｣｣｣

｢｢｢円堂くん/キャプテン!!｣｣｣

「円堂！」

「守！」


瑞貴を始め、豪炎寺、鬼道や一之瀬、仲間たちや母・円堂温子の声が円堂の耳に届いていた。


「感じる……。みんなの…サッカーへの熱い思い……！」

「神の本気を知るがいい！」


アフロディが翼を広げて宙に舞う。円堂は拳を手に当てると左手のグローブが焦げていることに気づいた。

これを付けてから必殺技は一回も受けていない。ふと、ノートに書いてあった胸がポイントということ、瑞貴が言っていた力を胸に集めることを思いだした。