「信じられないという顔だな……」

「！」


鬼道はアフロディに言った。彼も似たような光景を目にしたことがあるからだ。

初めての雷門中対帝国学園の練習試合。あの頃の雷門は今のように強くなく弱小と呼ばれていた。だが円堂と瑞貴はどんなにダメージを与えられてもあきらめることはなかった。


「円堂と瑞貴は……何度でも何度でも立ち上がる。倒れる度に強くなる……。お前は円堂と瑞貴の強さには敵わない！」

「では試してみよう」


アフロディは余裕の表情を崩すことなく翼を出して羽ばたく。


《アフロディ、ゴッドノウズの体勢！　トドメをさすつもりか!?》

「ゴッドノウズ――」


しかし撃つ直前にホイッスルが鳴り前半が終了した。アフロディも地に下りる。


「命拾いしたね、雷門中……」


得点は３対０の世宇子リードのまま。得点差の前に実力差があり、雷門はかなり体力を消耗してフラフラになりながらもベンチへ戻る。

――ベンチに戻ったとき夏未から聞かされたのは衝撃的な事実だった。


「えっ！　『神のアクア』!?」

「ええ。神のアクアが世宇子の力の源よ」

「体力増強のドリンク……！」

「いわゆるドーピングってやつね」


円堂や鬼道や瑞貴たちは影山がいるであろう建物に目を向ける。


「許せない……。サッカーを……俺たちの大好きなサッカーを……どこまで汚せば気が済むんだ！」


ベンチを見れば世宇子はまた水分補給をしている。正確には神のアクアを補給しているのだ。


「神のアクア……そんなものをサッカーに持ち込むなんて」

「自分で得た力じゃない勝利をつかんで、何が嬉しいの……!?」

「円堂くん…瑞貴……」


二人が振り向くと悲しそうな顔をしている夏未がいた。

やめさせたい、これ以上好きな人や大事な親友が傷つくのを見るのは辛かった。だが円堂と瑞貴は夏未の心情を察したのか笑った。