とうとう始まった決勝戦――雷門中対世宇子中の試合。しかし雷門は世宇子の圧倒的な力に倒れ、アフロディは円堂守に「チームメイトが傷つく様子を、まだ見たいのかい？」と聞いてきた。円堂は悔しそうに地面を叩く。


「続けるか、棄権してプシュケを渡すか……君が決めるんだ」


円堂は、必殺技が通用しなくても自分一人だけならぶっ倒れるまで戦う。仲間であり相棒である井上瑞貴を守るためにも。けど、このままではみんながさらに傷ついてしまう。


「バカなこと考えてないよね!?」


円堂が目を向けると瑞貴がふらつきながらも立ち上がっていた。


「瑞貴……」

「相棒の私があきらめていないのに、あんたがあきらめてどうするの！　私たちは絶対に世宇子を倒して優勝するって決めたでしょ！」

「そうだ、何を迷っている円堂！」


続けて豪炎寺修也も立ち上がり、お守りのペンダントがある場所に胸を押さえる。


「豪炎寺……」

「俺は戦う……そう誓ったんだ！」

「瑞貴と豪炎寺の言う通りだ……。まさか、俺たちのためにと思ってだとしたら大間違いだ」


さらに風丸一郎も立ち上がり、鬼道有人も一之瀬一哉も身を起こす。


「最後まであきらめないことを教えてくれたのはお前だろう！」

「俺が好きになったお前のサッカーを見せてくれ！」

｢｢｢｢｢守/円堂/キャプテン!!｣｣｣｣｣


ベンチにいる木野秋も音無春奈も雷門夏未も、監督の響木正剛も、負傷した仲間たちも、誰一人あきらめていなかった。


「なんて、なんてバカなんだ……。仲間を理由にあきらめようとしていたのは俺だ……――俺自身だ！」


円堂は拳をギュッと握り立ち上がって行く。


「まだだ……。信じてくれる相棒や仲間がいる限り、俺は何度でも立ち上がる！」

「それでこそ、私の相棒であり雷門のキャプテン・円堂守だ！」


アフロディは踵を返して歩き出す。正直彼はここで棄権すると思っていた。だが、全ては円堂と瑞貴がチーム全体の力となっていることに気づいた。

試合が再開され、ドリブルをする瑞貴を先頭にして豪炎寺と鬼道と一之瀬が上がる。


「ディフェンスは攻撃陣を徹底的に狙え！」

「メガクエイク！」


アフロディの指示でデオの必殺技が放たれ、四人は飛ばされてしまった。ボールはデメテルへと渡る。


「オフェンスは守備陣を！」

「ダッシュストーム！」


デメテルの必殺技がＭＦやＤＦたちを弾き飛ばす。


「キーパーは重点的に！」

「ディバインアロー！」


円堂の必殺技であるゴッドハンドも爆裂パンチも通用しない。残りはたった一つだけ。