帝国が来た!
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「あるかないかって言われたら……ない」
「うわあ、やっぱり!」
ガクッと体を傾ける秋の反応に春奈も予想通りだったらしい。
「でも――あの円堂くんや瑞貴ちゃんやみんなを見ていると『勝つかも』……なんだか、そんな気がしちゃうんだよね。まだまだ始まったばかりのサッカー部だけど」
秋は並んでいるサッカー部のみんなを見つめて言う。隣で春奈は目を輝かせていた。
「うわぁ~カッコいい~。今のコメント、使わせてもらいますね」
「えっ!?」
感動した春奈が手帳にペンを素早く走らせる。秋は思いもよらなかったことに赤面をする。
「これより、帝国学園対雷門中学の練習試合を始めます!」
(始まる……。私たちの最初の試合が……)
審判が声を上げた。とうとう試合が始まるのだ。瑞貴も無意識に拳を握り締めていた。
「ではキャプテン、コイントスを」
「…………」
審判がそう言うと鬼道はそれを無視してポジションに着こうとする。
「鬼道くん! コイントスを!」
「必要ない。好きに始めろ」
そう言って去る鬼道を、呆然と見送る雷門中サッカー部だった。
(やっぱり最初は嫌な感じ。でも、実力は本物だから気をつけなきゃ)
改めて認識した瑞貴であった。だけどこれから試合が始まるので気を抜かないように気合いを入れる。しかし――……。
「なんで私がベンチ!?」
人数の都合上誰かがベンチに行かなければならないが、それが瑞貴になったのだ。秋と春奈の間で少し不満げな顔をする。
「10番である僕に任せてください。女の子が出る幕でないことをお見せしましょう」
「なっ!?」
目金はクイッと眼鏡を押し上げる。そう――これを提案したのは目金なのだ。10番はエースナンバーなので彼は得意気に胸を張っている。
ゴールエリアで円堂もすまなさそうな顔をしていたので、それに免じて許すことにした。
《挑戦です! これは、我が雷門に対する帝国の挑戦です!》
いきなり春奈の隣に現れた男子生徒はマイクがある首にかけたテーブルを持っていた。
「なんですか? あなた」
《はい。小生将棋部の角馬圭太。角馬、角馬と覚えておいてください。そして今日はこの角馬が、実況解説を務めさせていただきま…あー! 自己紹介をしている場合ではなーい!》
(いや、あんたが始めたんだろ)
瑞貴は角馬圭太に心の中でツッコミを入れた。
《ピッチでは今まさにボールがセットされ、雷門中学のキックオフが開始されようとしています!》
雷門中サッカー部の一部は目金のように実況があることに感動する者、または栗松のように緊張している者もいる。
「さあみんな、がんばっていこうぜ!」
円堂が手を叩いて仲間に声をかける。そしてとうとう試合が始まった。
目金のキックオフから始まり、染岡がドリブルして帝国学園の攻撃をかわしていく。
風丸にパスし、また染岡、松野、宍戸に細かくパスを繋ぎ帝国エリアに入る。順調に進んでいくことに円堂や秋や誰もが「いける」と思っていた。帝国学園のスパイである冬海と……瑞貴以外は。
アニメで知っているということもがあるが、先程のウォーミングアップで一部とはいえ帝国学園の実力を確認したのだ。あからさまに動きが遅い。
(やっぱり……帝国は力を隠している)
そう思っていると宍戸が出したパスを半田はスルーし、相手の隙をついて染岡がシュートする。半田はフェイントなのだ。これは源田も反応できないと思われたが――源田は余裕の表情でボールを止めた。
《あぁ~。惜しかった。惜しかった~》
角馬と秋と春奈が残念そうな表情で座り込むと冬海だけは笑っていた。
「惜しかったね、瑞貴ちゃん」
「全然惜しくないよ」
てっきり同意を言うかと思ったのか秋と春奈は瑞貴の言葉に驚いた。しかし瑞貴はフィールドに集中しているため気づかない。
「彼らは……本気を出していない」
「「えっ!?」」
秋と春奈は息を呑んだ。そしてつられてフィールドを見る。帝国エリアのゴールで源田がニヤッと笑う。
「鬼道、俺の仕事はここまでだ!」
源田はそう言うと鬼道にボールを投げた。鬼道はそれを受け止め、笑っている。
「ああ、始めようか。――帝国のサッカーを」
(きた……!)
「『始める』……?」
瑞貴は顔をしかめた。円堂も雰囲気が変わったことに気づいたのか身構える。
「いけ」
鬼道は寺門にパスし、寺門は帝国エリアからシュートを撃つ。あまりに威力が強いせいか、円堂は一度受け止めるがすぐにボールごとゴールに叩き込まれた。
《ああ帝国、早くも1点! なんというスピード、なんというパワー! これが全国にその名が轟く、帝国のサッカーなのか!? 帝国サッカーの真の姿なのか!?》
「円堂くん……!」
今までとは違う帝国学園の動きに雷門中サッカー部だけでなく雷門中の生徒は驚きを隠せなかった。秋も心配そうに呟いた。
「うわあ、やっぱり!」
ガクッと体を傾ける秋の反応に春奈も予想通りだったらしい。
「でも――あの円堂くんや瑞貴ちゃんやみんなを見ていると『勝つかも』……なんだか、そんな気がしちゃうんだよね。まだまだ始まったばかりのサッカー部だけど」
秋は並んでいるサッカー部のみんなを見つめて言う。隣で春奈は目を輝かせていた。
「うわぁ~カッコいい~。今のコメント、使わせてもらいますね」
「えっ!?」
感動した春奈が手帳にペンを素早く走らせる。秋は思いもよらなかったことに赤面をする。
「これより、帝国学園対雷門中学の練習試合を始めます!」
(始まる……。私たちの最初の試合が……)
審判が声を上げた。とうとう試合が始まるのだ。瑞貴も無意識に拳を握り締めていた。
「ではキャプテン、コイントスを」
「…………」
審判がそう言うと鬼道はそれを無視してポジションに着こうとする。
「鬼道くん! コイントスを!」
「必要ない。好きに始めろ」
そう言って去る鬼道を、呆然と見送る雷門中サッカー部だった。
(やっぱり最初は嫌な感じ。でも、実力は本物だから気をつけなきゃ)
改めて認識した瑞貴であった。だけどこれから試合が始まるので気を抜かないように気合いを入れる。しかし――……。
「なんで私がベンチ!?」
人数の都合上誰かがベンチに行かなければならないが、それが瑞貴になったのだ。秋と春奈の間で少し不満げな顔をする。
「10番である僕に任せてください。女の子が出る幕でないことをお見せしましょう」
「なっ!?」
目金はクイッと眼鏡を押し上げる。そう――これを提案したのは目金なのだ。10番はエースナンバーなので彼は得意気に胸を張っている。
ゴールエリアで円堂もすまなさそうな顔をしていたので、それに免じて許すことにした。
《挑戦です! これは、我が雷門に対する帝国の挑戦です!》
いきなり春奈の隣に現れた男子生徒はマイクがある首にかけたテーブルを持っていた。
「なんですか? あなた」
《はい。小生将棋部の角馬圭太。角馬、角馬と覚えておいてください。そして今日はこの角馬が、実況解説を務めさせていただきま…あー! 自己紹介をしている場合ではなーい!》
(いや、あんたが始めたんだろ)
瑞貴は角馬圭太に心の中でツッコミを入れた。
《ピッチでは今まさにボールがセットされ、雷門中学のキックオフが開始されようとしています!》
雷門中サッカー部の一部は目金のように実況があることに感動する者、または栗松のように緊張している者もいる。
「さあみんな、がんばっていこうぜ!」
円堂が手を叩いて仲間に声をかける。そしてとうとう試合が始まった。
目金のキックオフから始まり、染岡がドリブルして帝国学園の攻撃をかわしていく。
風丸にパスし、また染岡、松野、宍戸に細かくパスを繋ぎ帝国エリアに入る。順調に進んでいくことに円堂や秋や誰もが「いける」と思っていた。帝国学園のスパイである冬海と……瑞貴以外は。
アニメで知っているということもがあるが、先程のウォーミングアップで一部とはいえ帝国学園の実力を確認したのだ。あからさまに動きが遅い。
(やっぱり……帝国は力を隠している)
そう思っていると宍戸が出したパスを半田はスルーし、相手の隙をついて染岡がシュートする。半田はフェイントなのだ。これは源田も反応できないと思われたが――源田は余裕の表情でボールを止めた。
《あぁ~。惜しかった。惜しかった~》
角馬と秋と春奈が残念そうな表情で座り込むと冬海だけは笑っていた。
「惜しかったね、瑞貴ちゃん」
「全然惜しくないよ」
てっきり同意を言うかと思ったのか秋と春奈は瑞貴の言葉に驚いた。しかし瑞貴はフィールドに集中しているため気づかない。
「彼らは……本気を出していない」
「「えっ!?」」
秋と春奈は息を呑んだ。そしてつられてフィールドを見る。帝国エリアのゴールで源田がニヤッと笑う。
「鬼道、俺の仕事はここまでだ!」
源田はそう言うと鬼道にボールを投げた。鬼道はそれを受け止め、笑っている。
「ああ、始めようか。――帝国のサッカーを」
(きた……!)
「『始める』……?」
瑞貴は顔をしかめた。円堂も雰囲気が変わったことに気づいたのか身構える。
「いけ」
鬼道は寺門にパスし、寺門は帝国エリアからシュートを撃つ。あまりに威力が強いせいか、円堂は一度受け止めるがすぐにボールごとゴールに叩き込まれた。
《ああ帝国、早くも1点! なんというスピード、なんというパワー! これが全国にその名が轟く、帝国のサッカーなのか!? 帝国サッカーの真の姿なのか!?》
「円堂くん……!」
今までとは違う帝国学園の動きに雷門中サッカー部だけでなく雷門中の生徒は驚きを隠せなかった。秋も心配そうに呟いた。