「通さないっス！　ザ・ウォール！」


壁山塀吾郎のザ・ウォールで友を止める。こぼれたボールは円堂が拾いと褒めると、壁山は嬉しそうに笑う。


「いいぞ、壁山！」

「ハハッ」


前半戦が残り10分になる頃、木戸川清修の攻めに雷門は守る一方である。武方三兄弟が雷門陣内へ深く攻め込み屋形直人がパスを送ろうとしたが遠すぎてしまい、雷門ボールのゴールキックとなった。


「ワリィ勝。今度はタイミング合わすよ」

「こんなのマジ有りえないでしょ！」

「僕たちが点を取らなければ勝てないんですよ！」

「しっかりやれよ！」


一方的に屋形を攻める武方三兄弟に、瑞貴は突破口を見つけることができた。


「有人」

「どうやら、お前も気づいたようだな」

「うん！」


瑞貴と鬼道は顔を見合わせてニッと笑う。

追加点の欲しい武方三兄弟が攻撃に逸って中盤との連携に隙が出来始めたのだ。鬼道は円堂と土門と一之瀬一哉を集めてそのことを話す。


「三兄弟が焦り始めたぞ。ディフェンスは機能している。あとは攻撃だ」

「だけどあいつらは、豪炎寺を特に警戒しているはずだぞ」

「じゃあ、どうすりゃいいんだ……」


だが、一之瀬が何かに気づいたようで目を見開く。


「その警戒を利用する、ってのは？」

「ああ。それがベストだろうな」


瑞貴はその間に染岡竜吾と豪炎寺へ鬼道と考えた作戦を話した。


「竜吾、修也。いいね？」

｢｢ああ！｣｣


雷門のゴールキックから試合再開されるが、円堂は土門へボールを預けた。これでは相手のチャンスとなり武方三兄弟が襲いかかる。

それを確認した瑞貴は鬼道とアイコンタクトをかわし、次に豪炎寺と染岡にも視線を向けると二人はサイドから駆け上がって行く。

木戸川清修の選手は豪炎寺と染岡をマークすると中央がガラ空きになった。


「鬼道！」


土門からのセンタリングで鬼道にボールが渡される。


「今だ！」

｢｢オウッ！｣｣


それを合図に土門だけでなく円堂もゴールを空けて攻め上がってきた。これには木戸川清修も驚くばかりだ。そして鬼道から一之瀬へパスが通る。