――夕暮れの空に飛んでいく飛行機が線を残しながら飛んでいる。


「あの飛行機かなぁ……」

「たぶんねー」


秋が円堂の言葉に同意するように頷くと、円堂と瑞貴は顔を見合わせニッと笑い、両手をメガホン状にして空に向かって叫ぶ。


｢｢一之瀬/一哉ー！　また一緒にサッカーやろうぜー/ね――っ!!｣｣

「うん！　やろう！」

｢｢｢えっ？｣｣｣


この場にいないはずの声に円堂と瑞貴と秋が驚いて振り向くと、そこにはキャリーケースを持った一之瀬と、苦笑しながら頭をかくシンがいた。


「一之瀬!?」

「シンまで!?」

「どうして!?」

「それが一哉くんがね～……」

「あんなに胸がワクワクしたのは初めてだ！　だから、帰るに帰れない……。もう少しここにいる！」

「あっ、おい……」


円堂が止める間もなく一之瀬はアメリカ行きのチケットをビリビリに破いた。


「俺、一つのことに熱く燃えるみんなとサッカーがしたい！　円堂や瑞貴ちゃんたちと一緒に、サッカーしたいんだ！」


その言葉の意味を理解した瑞貴と円堂は満面の笑みを浮かべる。


「それって……！」

「雷門に来てくれるのか!?」

「うん！　よろしく！」

｢｢こちらこそよろしく！｣｣


円堂と一之瀬が握手して瑞貴がその手の上を重ねると、次々と仲間が瑞貴の手に重ねてきた。


「ということで、瑞貴。一哉くんを日本にいる間泊めていいかな？　僕は予定通り海外に戻るから一緒にいれないけど」

｢｢｢｢｢なっ！｣｣｣｣｣

「うん。私は別に構わないよ」

｢｢｢｢｢瑞貴!?｣｣｣｣｣

「ありがとう瑞貴ちゃん」


瑞貴と一之瀬は握手を交わす。しかしそのうしろで男子(豪炎寺、鬼道、風丸、半田、松野、土門)が声を上げた。当然だ、好きな女の子が異性と一つ屋根の下で二人っきりで暮らすなど言語道断だ。


「あのね。瑞貴ちゃん。俺、瑞貴ちゃん――ううん。瑞貴に惚れたよ！」

「えっ!?」

「だから覚悟してね！」


チュ。


一之瀬は瑞貴を自分に向けて引き寄せて抱きしめ、そのまま頬に口づけた。


「みぎゃっ!?」

｢｢｢一之瀬――っ!!｣｣｣


ボンッと耳まで赤くなった瑞貴と、その原因を作った一之瀬に土門と半田と風丸が制裁をしてやろうと追い掛け回す。ちなみに瑞貴はキスされた頬を豪炎寺が痛くなるほど拭われ、鬼道に「無防備すぎだ」と説教され、松野が同意するように頷かれた。


「みなさ～ん！」


すると春奈が慌てて手を振りながら駆け付けて来た。全速力で来たのか息が上がっている。


「次の対戦相手が……決まりました……！」

「どこだ？」

「つ、次の対戦相手は……」


春奈は息を整えながら豪炎寺をチラリと見る。


「木戸川清修です……」

「っ！」


その学校名に豪炎寺は目を見開いて驚いた。

――それは豪炎寺が雷門に転校する前に通っていた学校だった。










☆副キャプテン　今日の格言☆



ここまでしてやるからこそ、成功させたいんだよ。



以上!!