帝国が来た!
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「イッテェ……」
円堂は頭を抑えて軽く涙目になっていた。それもそのはず、瑞貴が遠慮なく鉄拳をくらわせたからだ。秋を含めた部員は自業自得だ、という顔をしている。
あのあと瑞貴は部室で別のユニフォームに着替えようとしたがサイズが合わず、17番のユニフォームを着ている。そして10番のユニフォームは目金に渡った。
「円堂くん円堂くん!」
「…………」
慌てながらやってきたのはサッカー部の顧問である冬海卓という先生だ。瑞貴は彼の正体も知っているので、目金より嫌な顔をした。他の者は冬海に注目していたので瑞貴の表情には気づいてない。
「どうなってるんですかぁ!?」
「冬海先生。今、壁山がトイレに……」
冬海は焦りながらチラリと帝国学園の車を見る。こっそり冬海の視線の先を見ると、帝国学園の総帥で監督である影山零治がいる。どうやら彼の機嫌を損なわせないようにしているのだろう。
「もう! これ以上お客様を待たせられませんよ! さっさと……」
「あっ、はい! わかりました!」
円堂は勢いよく返事をする。それから瑞貴は腕を組んで円堂の隣に立った。
「じゃあ私は帝国学園の人たちに少し言ってから探してくるね。なんだかんだ言って、ずいぶん待たせちゃってるし」
「ああ。頼むぜ瑞貴!」
円堂がそう言うと瑞貴以外の部員は壁山の捜索をするため学校へ向かう。アニメでも見ていたが考えてみると帝国学園は何も言わずに随分と待ってくれている。目的があるとはいえ何も言っていないので謝っておこうと思っていたのだ。
瑞貴は一度影山を見ると向こうも気づいたのか目が合った気がした。瑞貴は彼の過去を思いだして少し悲しげな表情をして目を閉じ、一つ礼をして鬼道たちの元へ走って行く。
「ホォ……」
影山がその瞳に、瑞貴に興味を持ったことを知らずに。
――瑞貴がやってきたことに気づいた鬼道。他の部員も鬼道につられて瑞貴を見る。
「大変申し訳ありませんが、部員が戻ってくれるまでもうしばらくお待ちください」
深々と頭を下げて謝罪をする瑞貴に鬼道は少し目を見開く。
(こいつ……プライドがないのか?)
そう思っている者は鬼道だけではない。源田幸次郎、佐久間次郎、成神健也、洞面秀一郎も驚いている。
「あの眼鏡をかけた男が来たことで十一人になったはずだ。捜す必要はないんじゃないか?」
「彼も大切なチームメイトです。人数の問題ではありません」
寺門大貴のもっともな正論に、瑞貴は真剣な眼差しで答えて、ニコッと微笑む。すると鬼道が瑞貴の前に立った。
「お前、名前はなんだ?」
名前を聞かれたことに瑞貴はキョトンとした顔をし、驚きながらも答えた。
「雷門中二年の井上瑞貴です」
「井上か。俺は帝国学園二年、鬼道有人だ」
挨拶をし終えた瑞貴は壁山を捜すべく帝国学園に一つ礼をしてから離れ、校舎へ向かって走り去って行った。帝国学園サッカー部はそれを見送り、源田は鬼道に近づく。
「鬼道、あいつがお前の言ってた面白いものか?」
「いや違う。だが……」
鬼道は腕を組み、瑞貴を見ながらニヤリと笑う。
「とても興味深い――」
☆☆☆☆☆
一通り壁山を捜しながら校舎を走り回った瑞貴は、前方に集まっている円堂と半田と宍戸と松野と影野仁を見つけた。円堂たちも気づいたのか瑞貴の方を振り向いた。
「塀吾郎はいた?」
「どこにも」
「どこに行っちまったんだ?」
「あいつが行きそうな所はほとんど見たんだけどなぁ?」
半田が首を振り、円堂も肩を落とし、宍戸も呟く。
するとどこからか叫び声が上がった。全員松野のうしろを見ると栗松が四つん這いになり、慌てた顔でガンガンと動いているロッカーを指差す。
円堂は頭を抑えて軽く涙目になっていた。それもそのはず、瑞貴が遠慮なく鉄拳をくらわせたからだ。秋を含めた部員は自業自得だ、という顔をしている。
あのあと瑞貴は部室で別のユニフォームに着替えようとしたがサイズが合わず、17番のユニフォームを着ている。そして10番のユニフォームは目金に渡った。
「円堂くん円堂くん!」
「…………」
慌てながらやってきたのはサッカー部の顧問である冬海卓という先生だ。瑞貴は彼の正体も知っているので、目金より嫌な顔をした。他の者は冬海に注目していたので瑞貴の表情には気づいてない。
「どうなってるんですかぁ!?」
「冬海先生。今、壁山がトイレに……」
冬海は焦りながらチラリと帝国学園の車を見る。こっそり冬海の視線の先を見ると、帝国学園の総帥で監督である影山零治がいる。どうやら彼の機嫌を損なわせないようにしているのだろう。
「もう! これ以上お客様を待たせられませんよ! さっさと……」
「あっ、はい! わかりました!」
円堂は勢いよく返事をする。それから瑞貴は腕を組んで円堂の隣に立った。
「じゃあ私は帝国学園の人たちに少し言ってから探してくるね。なんだかんだ言って、ずいぶん待たせちゃってるし」
「ああ。頼むぜ瑞貴!」
円堂がそう言うと瑞貴以外の部員は壁山の捜索をするため学校へ向かう。アニメでも見ていたが考えてみると帝国学園は何も言わずに随分と待ってくれている。目的があるとはいえ何も言っていないので謝っておこうと思っていたのだ。
瑞貴は一度影山を見ると向こうも気づいたのか目が合った気がした。瑞貴は彼の過去を思いだして少し悲しげな表情をして目を閉じ、一つ礼をして鬼道たちの元へ走って行く。
「ホォ……」
影山がその瞳に、瑞貴に興味を持ったことを知らずに。
――瑞貴がやってきたことに気づいた鬼道。他の部員も鬼道につられて瑞貴を見る。
「大変申し訳ありませんが、部員が戻ってくれるまでもうしばらくお待ちください」
深々と頭を下げて謝罪をする瑞貴に鬼道は少し目を見開く。
(こいつ……プライドがないのか?)
そう思っている者は鬼道だけではない。源田幸次郎、佐久間次郎、成神健也、洞面秀一郎も驚いている。
「あの眼鏡をかけた男が来たことで十一人になったはずだ。捜す必要はないんじゃないか?」
「彼も大切なチームメイトです。人数の問題ではありません」
寺門大貴のもっともな正論に、瑞貴は真剣な眼差しで答えて、ニコッと微笑む。すると鬼道が瑞貴の前に立った。
「お前、名前はなんだ?」
名前を聞かれたことに瑞貴はキョトンとした顔をし、驚きながらも答えた。
「雷門中二年の井上瑞貴です」
「井上か。俺は帝国学園二年、鬼道有人だ」
挨拶をし終えた瑞貴は壁山を捜すべく帝国学園に一つ礼をしてから離れ、校舎へ向かって走り去って行った。帝国学園サッカー部はそれを見送り、源田は鬼道に近づく。
「鬼道、あいつがお前の言ってた面白いものか?」
「いや違う。だが……」
鬼道は腕を組み、瑞貴を見ながらニヤリと笑う。
「とても興味深い――」
☆☆☆☆☆
一通り壁山を捜しながら校舎を走り回った瑞貴は、前方に集まっている円堂と半田と宍戸と松野と影野仁を見つけた。円堂たちも気づいたのか瑞貴の方を振り向いた。
「塀吾郎はいた?」
「どこにも」
「どこに行っちまったんだ?」
「あいつが行きそうな所はほとんど見たんだけどなぁ?」
半田が首を振り、円堂も肩を落とし、宍戸も呟く。
するとどこからか叫び声が上がった。全員松野のうしろを見ると栗松が四つん這いになり、慌てた顔でガンガンと動いているロッカーを指差す。