鬼道の決意!
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「私はどっちかというと遊びから始まったんだ」
「遊び?」
「私の両親もさ、小さい頃に亡くなってるんだ」
「お前も……?」
自分と同じ境遇だったことに鬼道は驚くように言うと、瑞貴は頷く。
「たった一人の弟がいたんだけど、親戚の人たちは私より弟が気に入ってたんだよね。当時の私は……まあひと言でいえば大人びてて、出張に行く度に両親が『弟をよろしくね』って言ったから『自分がしっかりしなきゃ』って思ってたの。だから子供らしくない私が気に入らなかったみたい」
瑞貴が顔をうつむけると円堂が瑞貴の隣に座る。「話すのやめようか?」と聞いたが二人とも否定の意を込めて首を振る。円堂と鬼道、二人がそばにいてくれるから瑞貴も落ち着いて続きを話す。
「でも私は孤児院とか入らず家族が残した家で暮らすことを決め、親戚がとりあえず自分たちのメンツを守るために保護者になってくれたり、援助された資金で一人暮らしをしてたんだ」
円堂と鬼道は思いっきり驚いた顔をするが、同時に複雑な気持ちでいた。そんな幼い頃から一人だったという衝撃的な事実にショックを受けたのだ。
「神崎さんは昔から一緒じゃなかったのか?」
「うん。シンはこっちに来てからの保証人みたいなものだから」
「神崎シン……あの神崎財閥の社長か?」
「ちょっと縁があって……」
鬼道財閥はトップに立つグループだ。夏未や豪炎寺が知っているくらいだから鬼道が知っていてもおかしくはない。だが正体を話すわけにはいかないので瑞貴は誤魔化す。
「それから近所の人たちが同情したのか、自分の子供たちと一緒に遊ばせようとしてくれたの。でも同年代の女の子は一人だけで、他は男の子ばっかりだったんだ。だから遊ぶスポーツもサッカーだけでなく、野球とか女の子じゃあまりありえないことばかり」
瑞貴はそれを思い出すかのように微笑む。その表情に円堂と鬼道は見惚れていた。
「一人だった私に、その女の子がサッカーに誘ってくれたの。彼女のおかげで男子がいる中でも楽しく過ごせたんだ」
「へ~。いい奴なんだな」
「うん。今でも大事な親友だよ」
トリップする前も一緒だった女の子――加藤綾香は瑞貴にとって大きな存在だ。
「本格的にサッカーを始めたのは去年だったかな。たまたま見た番組がサッカーで、その熱い試合に目が離せなくなっちゃって」
瑞貴は円堂を見る。――太陽のような笑顔でチームを励まし勝利に導く。そんな円堂の強い思いに瑞貴は惹かれていた。もちろん一人のプレーヤーとして。
見られている対象の円堂はキョトンとした顔をする。
「なんだ?」
「ううん。今思えば守にそっくりだなぁって」
「どうやらその人も、サッカーバカのようだな」
「はい!」
見つめ合って笑い合う二人に、円堂はさっきから『バカ』を繰り返されているので二人を交互に見たあと「なんだよー!」と叫んだ。
「守たちがいるから、私も心からサッカーが好きだと感じるんだ。私たちの共通点って『サッカーが好き』ってことだね」
ニコッと笑って言う瑞貴の言葉に、円堂と鬼道は声をそろえる。
「「ああ!」」
☆☆☆☆☆
次の日――雷門中サッカー部は部室で全国大会二回戦へ向けて作戦会議をしていた。
「みんな! 全国大会二回戦の相手は――千羽山中だ!」
円堂は『千羽山中』と書かれたホワイトボードを叩く。
「千羽山中は山々に囲まれ、大自然に鍛えられた選手たちがいます」
「きっと、自然に恵まれた環境なんスね」
「みんなのんびりしてそ~」
春奈の情報に壁山と少林寺歩は大自然の中で過ごすイメージをする。
「彼らは『無限の壁』と呼ばれる鉄壁のディフェンスを誇っています……。今だかつて得点を許していません」
「全国大会まで!?」
「ええ。1点たりとも」
全国大会二回戦まである試合を1点たりとも許していない彼らに、木野秋だけでなくチーム全員驚く。
「シュート力には難点もありますが、この鉄壁のディフェンスでここまで勝ち抜いてきたんです」
「わかった! その無限の壁とかいう鉄壁のディフェンスを破ればいいんだな!」
あまりの円堂の前向きさに壁山を始めとする全員は呆れる。
「破ればいいって……」
「簡単に言うよね……。破れないから鉄壁なんじゃないのかな」
「「「「「うん……」」」」」
みんな少林寺の言葉に賛同するように頷き、瑞貴と豪炎寺は笑いをこぼしていた。
「鉄壁って、鉄の壁だろ?」
「まあ、意味はそうだな」
「うん」
円堂が聞くと豪炎寺はそう言い、瑞貴も頷く。
「だったら! こっちはダイヤモンドの攻めをすればいいんだよ!」
「「「「「ハァ!?」」」」」
「ダイヤモンドの攻め……」
今度はみんな数多く振ってくるダイヤモンドが鉄の壁を壊していくイメージをした。
「鉄壁のディフェンスが崩れるまで攻める、これがダイヤモンドの攻めだ!」
「いいかもね。うまくいったら敵の隙を突けれるかもしれないし」
「だろ?」
瑞貴が賛同すると円堂は嬉しそうに聞き返した。
「「そのためには……特訓だ――っ!!」」
「「「「「オ――ッ……」」」」」
瑞貴と円堂は拳を高く上げて叫ぶが、それと反対にみんなの声は段々落ちていった。
「遊び?」
「私の両親もさ、小さい頃に亡くなってるんだ」
「お前も……?」
自分と同じ境遇だったことに鬼道は驚くように言うと、瑞貴は頷く。
「たった一人の弟がいたんだけど、親戚の人たちは私より弟が気に入ってたんだよね。当時の私は……まあひと言でいえば大人びてて、出張に行く度に両親が『弟をよろしくね』って言ったから『自分がしっかりしなきゃ』って思ってたの。だから子供らしくない私が気に入らなかったみたい」
瑞貴が顔をうつむけると円堂が瑞貴の隣に座る。「話すのやめようか?」と聞いたが二人とも否定の意を込めて首を振る。円堂と鬼道、二人がそばにいてくれるから瑞貴も落ち着いて続きを話す。
「でも私は孤児院とか入らず家族が残した家で暮らすことを決め、親戚がとりあえず自分たちのメンツを守るために保護者になってくれたり、援助された資金で一人暮らしをしてたんだ」
円堂と鬼道は思いっきり驚いた顔をするが、同時に複雑な気持ちでいた。そんな幼い頃から一人だったという衝撃的な事実にショックを受けたのだ。
「神崎さんは昔から一緒じゃなかったのか?」
「うん。シンはこっちに来てからの保証人みたいなものだから」
「神崎シン……あの神崎財閥の社長か?」
「ちょっと縁があって……」
鬼道財閥はトップに立つグループだ。夏未や豪炎寺が知っているくらいだから鬼道が知っていてもおかしくはない。だが正体を話すわけにはいかないので瑞貴は誤魔化す。
「それから近所の人たちが同情したのか、自分の子供たちと一緒に遊ばせようとしてくれたの。でも同年代の女の子は一人だけで、他は男の子ばっかりだったんだ。だから遊ぶスポーツもサッカーだけでなく、野球とか女の子じゃあまりありえないことばかり」
瑞貴はそれを思い出すかのように微笑む。その表情に円堂と鬼道は見惚れていた。
「一人だった私に、その女の子がサッカーに誘ってくれたの。彼女のおかげで男子がいる中でも楽しく過ごせたんだ」
「へ~。いい奴なんだな」
「うん。今でも大事な親友だよ」
トリップする前も一緒だった女の子――加藤綾香は瑞貴にとって大きな存在だ。
「本格的にサッカーを始めたのは去年だったかな。たまたま見た番組がサッカーで、その熱い試合に目が離せなくなっちゃって」
瑞貴は円堂を見る。――太陽のような笑顔でチームを励まし勝利に導く。そんな円堂の強い思いに瑞貴は惹かれていた。もちろん一人のプレーヤーとして。
見られている対象の円堂はキョトンとした顔をする。
「なんだ?」
「ううん。今思えば守にそっくりだなぁって」
「どうやらその人も、サッカーバカのようだな」
「はい!」
見つめ合って笑い合う二人に、円堂はさっきから『バカ』を繰り返されているので二人を交互に見たあと「なんだよー!」と叫んだ。
「守たちがいるから、私も心からサッカーが好きだと感じるんだ。私たちの共通点って『サッカーが好き』ってことだね」
ニコッと笑って言う瑞貴の言葉に、円堂と鬼道は声をそろえる。
「「ああ!」」
☆☆☆☆☆
次の日――雷門中サッカー部は部室で全国大会二回戦へ向けて作戦会議をしていた。
「みんな! 全国大会二回戦の相手は――千羽山中だ!」
円堂は『千羽山中』と書かれたホワイトボードを叩く。
「千羽山中は山々に囲まれ、大自然に鍛えられた選手たちがいます」
「きっと、自然に恵まれた環境なんスね」
「みんなのんびりしてそ~」
春奈の情報に壁山と少林寺歩は大自然の中で過ごすイメージをする。
「彼らは『無限の壁』と呼ばれる鉄壁のディフェンスを誇っています……。今だかつて得点を許していません」
「全国大会まで!?」
「ええ。1点たりとも」
全国大会二回戦まである試合を1点たりとも許していない彼らに、木野秋だけでなくチーム全員驚く。
「シュート力には難点もありますが、この鉄壁のディフェンスでここまで勝ち抜いてきたんです」
「わかった! その無限の壁とかいう鉄壁のディフェンスを破ればいいんだな!」
あまりの円堂の前向きさに壁山を始めとする全員は呆れる。
「破ればいいって……」
「簡単に言うよね……。破れないから鉄壁なんじゃないのかな」
「「「「「うん……」」」」」
みんな少林寺の言葉に賛同するように頷き、瑞貴と豪炎寺は笑いをこぼしていた。
「鉄壁って、鉄の壁だろ?」
「まあ、意味はそうだな」
「うん」
円堂が聞くと豪炎寺はそう言い、瑞貴も頷く。
「だったら! こっちはダイヤモンドの攻めをすればいいんだよ!」
「「「「「ハァ!?」」」」」
「ダイヤモンドの攻め……」
今度はみんな数多く振ってくるダイヤモンドが鉄の壁を壊していくイメージをした。
「鉄壁のディフェンスが崩れるまで攻める、これがダイヤモンドの攻めだ!」
「いいかもね。うまくいったら敵の隙を突けれるかもしれないし」
「だろ?」
瑞貴が賛同すると円堂は嬉しそうに聞き返した。
「「そのためには……特訓だ――っ!!」」
「「「「「オ――ッ……」」」」」
瑞貴と円堂は拳を高く上げて叫ぶが、それと反対にみんなの声は段々落ちていった。