鬼道の決意!
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――鬼道の提案で、二人は鬼道家に寄ることにした。部屋に上がり大人しくソファに座る瑞貴とは反対に、円堂は初めての豪邸に感激して眺めながら歩き回る。
鬼道の部屋は華美ではないものの、整った調度品や部屋の広さは普通じゃありえないほどだ。
「うわー! スッゲースッゲー!」
「守……恥ずかしいから少しは落ち着いて……。ヘタすれば物を壊しそうだし」
「なあ、兄弟とかいるの?」
「知ってるだろう。春奈のこと」
「あぁ、いや、そうじゃなくって……――さっ!」
「って言ってるそばから!」
危うく調度品を落とすところだった円堂に、鬼道も瑞貴も慌てて腰を浮かす。
「この家に……」
「……俺だけだ」
「マジ!? こんな広い部屋に一人かよ」
円堂の行動が面白かったのか、鬼道と瑞貴は顔を見合わせると同時に鬼道は吹き出し、瑞貴は苦笑を漏らした。
すると勉強机であろうその上に円堂は年季の入っている『月刊SOCCER MAG』というタイトルの雑誌を見つけた。
「ん? スッゲー古いサッカー雑誌だな」
「まあな……」
鬼道は円堂の隣に立ち横から雑誌を受け取る。瑞貴もそれにならうかのように円堂とは反対側に鬼道の隣に立つ。
「俺が何でサッカーをやり始めたか、知ってるか?」
「ううん」
「存じません」
「だろうな。俺だって人に話すのは初めてだ」
「「なんだよ/なんですか……」」
鬼道の言葉に円堂と瑞貴はガクッと肩を落とした。
「俺の両親……飛行機事故で死んだんだ」
「「えっ……」」
三人はソファのうしろを背もたれにして並んでカーペットに座った。
両親は海外勤務が多く鬼道と春奈は二人っきりだった。そしてあの事故で……本当に二人っきりになってしまった。家族の写真一枚残ってなく、小さかったから両親の記憶もほとんどない。
「残ったのはこれだけ……これだけが、父さんと俺を繋ぐ絆なんだ。……だからサッカーを始めた。ボールを蹴れば父さんと一緒にいるような気がした」
「鬼道……」
聞いているだけでも鬼道の気持ちが伝わってきた。円堂が呟くと、鬼道は円堂の持つサッカーボールを見つめ、視線を前に戻す。
「最初はそうだったのさ。ボールを蹴ってれば楽しかった……。だが、周りは勝つことだけを求めてきた。サッカーは勝たなきゃいけないものになってしまったんだ。どんなことをしてでも勝たなきゃならないものに……だから、影山が神様に思えた。あんな奴がだ……!」
鬼道は悔しげに雑誌を強く握る。今まで慕っていた人物の正体が、勝つためならどんな悲惨なことでも手段は選ばない人だったのだ。
「……強く握っちゃダメですよ」
「大事な雑誌だろ?」
瑞貴は鬼道の肩に優しく手を置き、円堂はその手からそっと雑誌を取って元の場所である机の上に置く。
「でも、お前も同じだったんだな」
突然の言葉に鬼道は驚いた顔をした。それに構わず円堂は話を続ける。
「俺にもさ、死んだじいちゃんがいて、スッゴい選手で――」
「円堂大介――。伝説の天才キーパー、のちにイナズマイレブンの監督となる」
「スゲッ。知ってんだ」
「まあな」
円堂は鬼道と向かい合うように腰を低く下ろした。
「お前に関するデータは全て集めた……」
「?」
すると鬼道はチラリと瑞貴を見る。視線の意図がわからない瑞貴は首を傾げると、その空気に気づかない円堂がキラキラした目で嬉しそうに言う。
「じいちゃん、いっつもボール蹴ってばっかで、それこそメシ食うのも忘れるくらいだったんだって」
「……おじいさんも、お前と同じでサッカーバカだったわけか」
「えっ? 俺サッカーバカなの?」
キョトンとした表情に、「自覚なかったのか……」と思うくらい鬼道の髪はゴボウ化し、顔を引きつらせながら瑞貴を見ると、瑞貴も苦笑しながら首を振った。円堂守という人物はこういう奴なのだ。
「まっ、いいや」
「いいのかよ!」
「…………」
「ア、アハハハ……」
瑞貴は鬼道がいる前だというのに思わずツッコミを入れた。もちろん瑞貴のツッコミを初めて見る鬼道が驚いたような顔をすると、瑞貴は誤魔化すように笑った。
「でさ、そのじいちゃんの特訓ノートやなんかを読んで俺もボールを蹴り始めたんだよ。だから、お前と俺と――同じだろ?」
「お前と……同じか……」
「なんだよ。嫌なのか?」
「……いや、そうじゃない」
お互いに顔を見合わせて笑い合う二人に、瑞貴は自分までなんだか嬉しくなって笑う。すると二人が一斉に瑞貴を見てきた。
「な、何?」
「なあ! 瑞貴はさ、どうしてサッカーを始めたんだ?」
「俺たちだけ話しておいてお前が話さないというのはフェアじゃないだろ」
そういう問題かと瑞貴は思ったが口には出さなかった。……まあいいかもしれない。
鬼道の部屋は華美ではないものの、整った調度品や部屋の広さは普通じゃありえないほどだ。
「うわー! スッゲースッゲー!」
「守……恥ずかしいから少しは落ち着いて……。ヘタすれば物を壊しそうだし」
「なあ、兄弟とかいるの?」
「知ってるだろう。春奈のこと」
「あぁ、いや、そうじゃなくって……――さっ!」
「って言ってるそばから!」
危うく調度品を落とすところだった円堂に、鬼道も瑞貴も慌てて腰を浮かす。
「この家に……」
「……俺だけだ」
「マジ!? こんな広い部屋に一人かよ」
円堂の行動が面白かったのか、鬼道と瑞貴は顔を見合わせると同時に鬼道は吹き出し、瑞貴は苦笑を漏らした。
すると勉強机であろうその上に円堂は年季の入っている『月刊SOCCER MAG』というタイトルの雑誌を見つけた。
「ん? スッゲー古いサッカー雑誌だな」
「まあな……」
鬼道は円堂の隣に立ち横から雑誌を受け取る。瑞貴もそれにならうかのように円堂とは反対側に鬼道の隣に立つ。
「俺が何でサッカーをやり始めたか、知ってるか?」
「ううん」
「存じません」
「だろうな。俺だって人に話すのは初めてだ」
「「なんだよ/なんですか……」」
鬼道の言葉に円堂と瑞貴はガクッと肩を落とした。
「俺の両親……飛行機事故で死んだんだ」
「「えっ……」」
三人はソファのうしろを背もたれにして並んでカーペットに座った。
両親は海外勤務が多く鬼道と春奈は二人っきりだった。そしてあの事故で……本当に二人っきりになってしまった。家族の写真一枚残ってなく、小さかったから両親の記憶もほとんどない。
「残ったのはこれだけ……これだけが、父さんと俺を繋ぐ絆なんだ。……だからサッカーを始めた。ボールを蹴れば父さんと一緒にいるような気がした」
「鬼道……」
聞いているだけでも鬼道の気持ちが伝わってきた。円堂が呟くと、鬼道は円堂の持つサッカーボールを見つめ、視線を前に戻す。
「最初はそうだったのさ。ボールを蹴ってれば楽しかった……。だが、周りは勝つことだけを求めてきた。サッカーは勝たなきゃいけないものになってしまったんだ。どんなことをしてでも勝たなきゃならないものに……だから、影山が神様に思えた。あんな奴がだ……!」
鬼道は悔しげに雑誌を強く握る。今まで慕っていた人物の正体が、勝つためならどんな悲惨なことでも手段は選ばない人だったのだ。
「……強く握っちゃダメですよ」
「大事な雑誌だろ?」
瑞貴は鬼道の肩に優しく手を置き、円堂はその手からそっと雑誌を取って元の場所である机の上に置く。
「でも、お前も同じだったんだな」
突然の言葉に鬼道は驚いた顔をした。それに構わず円堂は話を続ける。
「俺にもさ、死んだじいちゃんがいて、スッゴい選手で――」
「円堂大介――。伝説の天才キーパー、のちにイナズマイレブンの監督となる」
「スゲッ。知ってんだ」
「まあな」
円堂は鬼道と向かい合うように腰を低く下ろした。
「お前に関するデータは全て集めた……」
「?」
すると鬼道はチラリと瑞貴を見る。視線の意図がわからない瑞貴は首を傾げると、その空気に気づかない円堂がキラキラした目で嬉しそうに言う。
「じいちゃん、いっつもボール蹴ってばっかで、それこそメシ食うのも忘れるくらいだったんだって」
「……おじいさんも、お前と同じでサッカーバカだったわけか」
「えっ? 俺サッカーバカなの?」
キョトンとした表情に、「自覚なかったのか……」と思うくらい鬼道の髪はゴボウ化し、顔を引きつらせながら瑞貴を見ると、瑞貴も苦笑しながら首を振った。円堂守という人物はこういう奴なのだ。
「まっ、いいや」
「いいのかよ!」
「…………」
「ア、アハハハ……」
瑞貴は鬼道がいる前だというのに思わずツッコミを入れた。もちろん瑞貴のツッコミを初めて見る鬼道が驚いたような顔をすると、瑞貴は誤魔化すように笑った。
「でさ、そのじいちゃんの特訓ノートやなんかを読んで俺もボールを蹴り始めたんだよ。だから、お前と俺と――同じだろ?」
「お前と……同じか……」
「なんだよ。嫌なのか?」
「……いや、そうじゃない」
お互いに顔を見合わせて笑い合う二人に、瑞貴は自分までなんだか嬉しくなって笑う。すると二人が一斉に瑞貴を見てきた。
「な、何?」
「なあ! 瑞貴はさ、どうしてサッカーを始めたんだ?」
「俺たちだけ話しておいてお前が話さないというのはフェアじゃないだろ」
そういう問題かと瑞貴は思ったが口には出さなかった。……まあいいかもしれない。