鬼道の決意!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
☆☆☆☆☆
稲妻総合病院では帝国の選手が治療を受けている中、瑞貴は病院の廊下にあるベンチに座っていた。ギュッと握られたその手は震えて顔をうつむいている。
「「――瑞貴先輩!」」
「!」
腰辺りに抱きついてきた衝撃に瑞貴がハッと我に返ると、成神と洞面秀一郎が抱きついてきた。そのうしろからは二人と同じく入院着を来た帝国学園のメンバーがいる。……源田と佐久間を除いて。
「怪我はどう?」
「しばらく入院することになるっスけど、大したことないっス!」
「でも、佐久間先輩と源田先輩は重傷でして……」
「っ!」
洞面の呟きに瑞貴は感情を抑えるかのように二人をギュッと抱き寄せる。彼女の表情を見たので想いを寄せる辺見渡も咲山修二も何も言わなかった。
しかし瑞貴はメンバーに一人足りないことに気づく。
「……ねぇ、鬼道くんは?」
「鬼道なら今頃帝国学園にいる。行ってやってくれないか」
咲山がそう言うと、瑞貴は一瞬驚いた顔をするが頷いてその場から離れた。
――帝国学園の入口に着くと、反対方向から見覚えのある人物が自分と同じように走ってやってきた人物がいた。
「守!」
「瑞貴!」
瑞貴は彼が来ることがわかっていたが、円堂は瑞貴の様子からして自分と同じ用だとわかり、頷き合って帝国学園に入り再び走る。
「瑞貴、本当なのか!? あの帝国学園が負けたって!」
「……嘘じゃないよ。私も見た。1点も取れずに……」
「嘘だ!」
信じられないように叫ぶ円堂だが、観客席で全て見ていた瑞貴は悔しそうに口をつむぐ。
すると前方から光が見え、目的地だとわかった円堂と瑞貴の足はスピードアップした。
「鬼道!」
「っ!」
帝国学園のグランド……その中心に鬼道が私服で佇んでいた。
「よぉ円堂、井上。笑いに来たのか」
いつもと違う覇気のない声に円堂と瑞貴は一瞬顔を歪ます。
「「ンなわけねぇだろ/そんなわけありません!」」
だが鬼道は体の向きを変えるだけで何も答えない。円堂は持っていたボールを撃つ。
「鬼道!」
ドンッ!
円堂が蹴ったボールを鬼道は何もせずにぶつかり、その反動で腰を落とす。
「鬼道くん……」
「どうした!? 蹴り返せよ!」
「…………」
信じられないものを見るような目で瑞貴と円堂がそう言うと、鬼道はゆっくりと立ち上がり、ボールを拾う。そして悔しそうに、悲しそうに顔を歪ますと二人に向けてボールを軽く投げる。
「四十年間無敗の帝国学園……俺たちは、その伝説を終わらせたんだ。ただひたすら勝つことだけを考えて戦い続けてきた……。それが、ボールに触れる前に試合が終わってたんだ……」
そう――鬼道がフィールドに立とうとしたときには、すでに他の選手が倒され、試合続行は不能となっていたのだ。次々と仲間が倒されていく姿を鬼道は誰よりも近くで見ていたのだ。悔しさは半端ではない。
「今までずーっと、寝ても覚めてもサッカーのことしか考えてこなかった。それが……こんな形で終わるなんてな。……俺のサッカーは終わったんだ」
「そんなことはない。お前が見捨てない限り、サッカーはお前のものだ!」
「あきらめてしまったらそこで終わりです。それこそ、本当に鬼道くんのサッカーは終わってしまいます!」
「鬼道!」
円堂と瑞貴の言葉で再び意識が戻った鬼道は、円堂が思いっきり投げてきたボールを今度はちゃんと蹴り返した。円堂と瑞貴はそれを嬉しく思い笑った。鬼道も二人の熱意に負けたのか、苦笑した。