鬼道の決意!
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フットボールフロンティア全国大会一回戦、雷門中は戦国伊賀島中に勝利し、二回戦へと駒を進めた。そして今日は帝国学園対世宇子中の試合日である。
盛り上がる歓声の中、井上瑞貴は観客席の入口で電話をしていた。
「うん。今着いたところだよ」
〈そうか。迷わなかったか?〉
「……幸次郎、それどういう意味?」
〈ハハッ。冗談だ〉
電話の相手は帝国のGK・源田幸次郎。瑞貴は彼らに招待されたので、部活を休んで帝国の応援に来ていた。このことを話したら円堂守は快く承諾してくれ、明日からの練習をがんばろうと思った。
だけど今の瑞貴は内心穏やかではなかった。この試合を見てくれと頼まれたときはOK出すのにも迷ったが、彼らの好意を無にするわけにはいかない。
〈瑞貴?〉
「あっ、ごめん。そろそろ試合が始まるよ」
〈ああ。俺もそろそろ用意する〉
「……幸次郎」
〈なんだ?〉
言おうかどうか迷った。彼らが傷つけられ、そしてこの先の辛い出来事を乗り越えるためにはこれが第一歩なのだ。それでも嫌な気分だった。
「……ノーマークの学校だからって油断しないでね。全国大会へ推薦されるほどだから、スゴイい実力を持ってるかもしれないから」
〈わかってるって。なんとしてでも決勝でお前たちと戦いからな。絶対に勝つ〉
「うん。がんばって」
〈ああ、それじゃ――〉
〈源田先輩! いつまで瑞貴先輩と話してるんスか!〉
〈源田ー! 前回俺がやったからって自分だって長電話してるじゃねぇか!〉
〈うわっ! 成神! 佐久間!〉
なんだか帝国戦のときもこんな感じだった気がする、と思った瑞貴だが気のせいではない。この声だと成神健也と佐久間次郎が突っ掛かってきたのだろう。
「じゃ、幸次郎。またね」
〈あ、ああ。また〉
通話を切った瑞貴はフロンティアスタジアムの観客席に座る。それから時間になると両校入場し、コイントスが終了すと帝国学園サッカー部はポジションに着いた。キャプテンの鬼道有人は地区大会決勝で足にダメージを負ったからベンチ入りだ。
瑞貴はギュッと両手を握る。これからの悲劇を耐えるかのように……。
―――雷門中サッカー部は二回戦へ向けてイナビカリ修練場で特訓をしている。壁山塀吾郎は動くタイヤのレールに乗って走ったり、染岡竜吾はロッククライミングのような機械で鍛えている。円堂と豪炎寺修也は休憩がてらみんなの特訓を見ていた。
すると修練場の扉が開き、音無春奈が血相を変えて入ってきた。全速力で来たようで膝に手を当てて息が上がっている。
「て、帝国学園が……!」
「初戦突破か!」
円堂は嬉しそうに豪炎寺に拳を当て、豪炎寺は手の平でそれを受けて笑う。
「10対0で……」
「結構な点差だなぁ」
「世宇子中に……――完敗しました」
「「「「!?」」」」
春奈から告げられた言葉に、円堂と豪炎寺と染岡と壁山は驚きを隠せなかった。
「嘘だろ? 音無……」
「ガセじゃねぇのか!? あの帝国が初戦で負けるわけねぇだろ!」
円堂と染岡がそう言うも、春奈は表情を変えない。それは否定の意味があった。壁山は信じられないという顔をしている。
「それも10対0って……帝国が1点も取れないなんてありえないっスよ!」
「音無、どういうことだ!?」
「見たこともない技が次々決まって、帝国が手も足もでなかったそうです……」
「あの帝国が……」
帝国が手も足も出ない、ということに豪炎寺も驚くように呟いた。
「そんなわけない! 帝国だぞ!? あいつらの強さは戦った俺たちが一番よく知ってる! あいつら本気で強いんだ! 鬼道がいるんだぞ!?」
「お兄ちゃん……出なかったんです」
「「「「えっ?」」」」
「お兄ちゃん、うちとの試合で怪我したじゃないですか。相手はノーマークの学校だったから、大事をとって控えに回っていたんです。そしたら相手が圧倒的で…傷を圧してお兄ちゃんが出ようとしたときには……」
春奈はそこから先は言わなかったが、それは誰もが予想できることだった。
「あの鬼道が……そんなこと絶対ありえねぇ! クッ……!」
「キャプテン、落ち着いてほしいっス……」
「落ち着いていられるか!」
「音無、瑞貴はどうした? 試合を見に行ってたはずだが」
「瑞貴先輩は救急車を呼んで、倒れた帝国の選手と一緒に病院に行きました」
あいつらしいな、と豪炎寺を始めとする誰もが思った。……心中穏やかではない円堂以外は。
「鬼道たちが完敗なんて……――ありえねぇ!」
「円堂!」
「キャプテン!」
円堂は血相を変えて修練場を飛び出した。自分を呼ぶ染岡と壁山の声も振り払って……。
盛り上がる歓声の中、井上瑞貴は観客席の入口で電話をしていた。
「うん。今着いたところだよ」
〈そうか。迷わなかったか?〉
「……幸次郎、それどういう意味?」
〈ハハッ。冗談だ〉
電話の相手は帝国のGK・源田幸次郎。瑞貴は彼らに招待されたので、部活を休んで帝国の応援に来ていた。このことを話したら円堂守は快く承諾してくれ、明日からの練習をがんばろうと思った。
だけど今の瑞貴は内心穏やかではなかった。この試合を見てくれと頼まれたときはOK出すのにも迷ったが、彼らの好意を無にするわけにはいかない。
〈瑞貴?〉
「あっ、ごめん。そろそろ試合が始まるよ」
〈ああ。俺もそろそろ用意する〉
「……幸次郎」
〈なんだ?〉
言おうかどうか迷った。彼らが傷つけられ、そしてこの先の辛い出来事を乗り越えるためにはこれが第一歩なのだ。それでも嫌な気分だった。
「……ノーマークの学校だからって油断しないでね。全国大会へ推薦されるほどだから、スゴイい実力を持ってるかもしれないから」
〈わかってるって。なんとしてでも決勝でお前たちと戦いからな。絶対に勝つ〉
「うん。がんばって」
〈ああ、それじゃ――〉
〈源田先輩! いつまで瑞貴先輩と話してるんスか!〉
〈源田ー! 前回俺がやったからって自分だって長電話してるじゃねぇか!〉
〈うわっ! 成神! 佐久間!〉
なんだか帝国戦のときもこんな感じだった気がする、と思った瑞貴だが気のせいではない。この声だと成神健也と佐久間次郎が突っ掛かってきたのだろう。
「じゃ、幸次郎。またね」
〈あ、ああ。また〉
通話を切った瑞貴はフロンティアスタジアムの観客席に座る。それから時間になると両校入場し、コイントスが終了すと帝国学園サッカー部はポジションに着いた。キャプテンの鬼道有人は地区大会決勝で足にダメージを負ったからベンチ入りだ。
瑞貴はギュッと両手を握る。これからの悲劇を耐えるかのように……。
―――雷門中サッカー部は二回戦へ向けてイナビカリ修練場で特訓をしている。壁山塀吾郎は動くタイヤのレールに乗って走ったり、染岡竜吾はロッククライミングのような機械で鍛えている。円堂と豪炎寺修也は休憩がてらみんなの特訓を見ていた。
すると修練場の扉が開き、音無春奈が血相を変えて入ってきた。全速力で来たようで膝に手を当てて息が上がっている。
「て、帝国学園が……!」
「初戦突破か!」
円堂は嬉しそうに豪炎寺に拳を当て、豪炎寺は手の平でそれを受けて笑う。
「10対0で……」
「結構な点差だなぁ」
「世宇子中に……――完敗しました」
「「「「!?」」」」
春奈から告げられた言葉に、円堂と豪炎寺と染岡と壁山は驚きを隠せなかった。
「嘘だろ? 音無……」
「ガセじゃねぇのか!? あの帝国が初戦で負けるわけねぇだろ!」
円堂と染岡がそう言うも、春奈は表情を変えない。それは否定の意味があった。壁山は信じられないという顔をしている。
「それも10対0って……帝国が1点も取れないなんてありえないっスよ!」
「音無、どういうことだ!?」
「見たこともない技が次々決まって、帝国が手も足もでなかったそうです……」
「あの帝国が……」
帝国が手も足も出ない、ということに豪炎寺も驚くように呟いた。
「そんなわけない! 帝国だぞ!? あいつらの強さは戦った俺たちが一番よく知ってる! あいつら本気で強いんだ! 鬼道がいるんだぞ!?」
「お兄ちゃん……出なかったんです」
「「「「えっ?」」」」
「お兄ちゃん、うちとの試合で怪我したじゃないですか。相手はノーマークの学校だったから、大事をとって控えに回っていたんです。そしたら相手が圧倒的で…傷を圧してお兄ちゃんが出ようとしたときには……」
春奈はそこから先は言わなかったが、それは誰もが予想できることだった。
「あの鬼道が……そんなこと絶対ありえねぇ! クッ……!」
「キャプテン、落ち着いてほしいっス……」
「落ち着いていられるか!」
「音無、瑞貴はどうした? 試合を見に行ってたはずだが」
「瑞貴先輩は救急車を呼んで、倒れた帝国の選手と一緒に病院に行きました」
あいつらしいな、と豪炎寺を始めとする誰もが思った。……心中穏やかではない円堂以外は。
「鬼道たちが完敗なんて……――ありえねぇ!」
「円堂!」
「キャプテン!」
円堂は血相を変えて修練場を飛び出した。自分を呼ぶ染岡と壁山の声も振り払って……。