サッカーやろうぜ!
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そして試合当日――雷門中サッカー部は部室に集まっていた。
「みんな、紹介するよ。今日の試合、助っ人に入ってくれる松野空介だ」
「僕のことはマックスって呼んでいいよ。君たちのキャプテン見てたら、なんだか退屈しなさそうだって思ってさ」
松野空介はどこからか円堂が部活勧誘のときに持ってた看板を取り出して言った。その様子に染岡も風丸も半田も呆れたような顔をする。
「退屈って……遊びじゃないんだぜ、試合は」
「心配いらないよ。サッカーはまだやったことないけど、こう見えて器用なんだよね」
「と、いうことだ。期待しようぜ」
すると松野は瑞貴の前に来た。いきなりのことで瑞貴は首を傾げる。
「井上瑞貴さんだよね。君のことは同じクラスの中途半田から聞いてるよ」
「誰が中途半田だ!」
「僕のことはマックスでいいよ。敬語も使わないでね」
松野が握手をするために手を差し出すと、瑞貴も笑顔を浮かべた。
「あっ、うん。今日はよろしくね、マックス――」
グイッ。
「えっ?」
「「「「「ああぁぁあああ!」」」」」
なんと松野は重ねた手を引いて瑞貴を抱きしめた。突然のことに瑞貴は顔が赤くなり、半田と風丸が即座に引き剥がす。
「コラァ! マックス!」
「何やってんだ!」
「僕、初めて見たときから瑞貴のこと気に入っちゃったんだ。よろしくね」
「あわわわっ」
免疫がないせいか瑞貴の顔の赤みは引かず、半田は無理矢理にでも話を変えることにした。
「し、しかし! これでもまだ十人だぜ」
「十一人だ……」
「ウッ!?」
半田の背後には、いつからいたのか髪の長い男子――影野仁がいた。
「ごめん、気づかないで……」
「影野も入部したんだっけな」
「いいのさ。俺はもっと存在感を出せる男になりたくて来たんだからね……。フフフ……」
影野の不気味な笑いに苦笑する者は一人や二人じゃなかった。
――それからグラウンドに移動して帝国学園を待っていると、さっきまで晴れていた空が曇り始め、雷門中の校門に大きな黒いバスがパタパタと細長い旗がなびいている。
バスが開くとレッドカーペットが綺麗に敷かれ、中からたくさんの生徒がレッドカーペットの両脇に並んでボールを足で押さえて構える。すると威圧のある帝国学園サッカー部が出てきた。
(……軍人だ)
アニメを見ていたときからそう思ったが、あの統率の取れた動きを実際に見ていると迷いもなく思える。しかも帝国学園の総帥――影山零冶はバスの上に現れ椅子に座って雷門中を見ていた。
「雷門中サッカー部のキャプテン、円堂守です。練習試合の申し込みありがとうございます」
そう円堂が挨拶して手を差し出すと帝国学園サッカー部のキャプテン、鬼道有人はそれを無視した。
「初めてのグラウンドなんで、ウォーミングアップしてもいいかな」
(感じ悪い……)
どうぞ、と円堂は言うが瑞貴はさすがにそう思ったが、鬼道と目が合った気がした。口角を上げて仁王立ちしている所を見ると気のせいではない。
「女がサッカーやんのか」
「さすが弱小、と言ったところですね鬼道さん」
「それほどまで切羽詰ってんだな」
帝国学園の寺門大貴、辺見渡、咲山修二が瑞貴を見て愉快そうに笑う。
(落ち着け、落ち着け)
笑われるのは予想していたとはいえ、実際に感じると違うので瑞貴は心の中で繰り返して深呼吸をする。
「どうせ大したことないんだろう」
(なんだと!?)
辺見の追い打ちに瑞貴はピキッとコメカミに青筋が立つ。
「おい! 好き勝手に言ってるんじゃねぇ!」
急に半田が声を上げたので、つい先ほどまでの怒りが吹っ飛んだ。見れば今にも殴りかかりそうな勢いだ。瑞貴はそんな半田の腕をつかむ。
「真一、落ち着いて」
「でも!」
「私は大丈夫。なんだったら試合で見返してやればいいんだから」
「そ、そうだな」
瑞貴は片目を閉じて笑いかける。半田は顔を赤くした。
ウォーミングアップを始めた帝国学園に、円堂を初めとするみんなが口を開けた。彼らのスピードやパワーのレベルが違いすぎるので、部員から焦る声も聞こえる。が――。
(あれ?)
瑞貴が目を擦っているのを風丸は気づいた。
「瑞貴、どうした。目にゴミでも入ったか?」
「なんでもない。大丈夫だよ、一郎太」
「そうか。それにしても帝国のプレーはスゴいな」
風丸の言葉に瑞貴はうんともすんとも言わなかった。何故なら――。
(見える……)
他のみんなは帝国学園の動きに驚いているが瑞貴にはどれも見えていた。彼らの動きが見えていた。佐久間次郎の速さも、洞面秀一郎の動きも、何もかも一挙一動が全て。
すると鬼道が、ニヤッと笑って指を鳴らしたかと思うと、寺門が辺見にパスをし、さらに鬼道へ繋げていくと円堂に向かってシュートが放たれた。
円堂は驚きながらシュートを受けると少し後方に下がりながらもなんとか止めた。周りからは「キャプテン!」や「円堂!」とみんなが声を上げた。円堂のグローブには摩擦力でこげたで後があった。円堂はそれを見ると絶望や恐怖に怯えることはなかった。
「面白くなってきたぜ!」
☆副キャプテン 今日の格言☆
私――井上瑞貴。サッカー部に入ります!
以上!!