来たぜ! 全国大会!!
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次の日。
「あなたが井上瑞貴さんですか?」
「どわぁ!」
サッカー部の部室に向かおうとした瑞貴の目の前に現れたのは宮坂だ。突然出てきて物凄い目で睨んできたので瑞貴は若干ビビり、一歩あとずさる。
「そ、そうだけど……」
「風丸さんはあなたのプレーが好きだっていいましたけど、僕は認めませんから! いや、あなたのせいで風丸さんは陸上部に戻って来ないんじゃないですか!?」
ビシッと指差す宮坂に瑞貴は少しカチンとして両腕を組む。
「勝手に言わないでくれる? 一郎太が陸上部に戻るにしろ戻らないにしろ、それを私のせいにしてもらっちゃ困るんだけど。陸上部かサッカー部か、結果がどんなことになっても、それは一郎太が決めたことだ」
「っ!」
ジロッと瑞貴は宮坂を睨み返す。宮坂は少し肩が跳ねたがすぐに元の表情に戻って去って行った。その様子に人知れず瑞貴は溜息をつく。
「瑞貴!」
「あっ、守……って! どうしたの、それ!?」
円堂は膝ぐらいまでズボンを上げ、足がビショビショに濡れていた。
「ボールを川に落としちゃってな」
「気をつけないとダメじゃん」
「ハハッ。さっ、部室に行こうぜ」
円堂はそう言って部室に向かって走り風丸がいないことに不安を抱きつつも、瑞貴も円堂のあとに付いて行った。
部室の前に着き扉を開こうとすると、先に来ているメンバーが風丸のことについて話しているのが聞こえた。
「――もともと奴は、帝国との練習試合の助っ人だったからなぁ。俺たちを全国に送ってやめるなんてカッコよすぎだろ」
「えぇー! やっぱりやめちゃうんスかぁ!?」
「そんなの嫌ですよー!」
染岡の言葉に壁山と少林寺が悲惨な声を上げると、円堂は扉を開く。
「落ち着け、みんな!」
「騒いだって何も解決しないよ!」
主将の二人登場に部室にいた全員が顔を向け、栗松が声を上げる。
「キャプテン! 瑞貴さん!」
「たたた、大変なんスよぉ! 風丸先輩が――」
「わかってる。――決めるのは風丸だ」
「みんなも一郎太に何も言わないように。――それで迷うのは一郎太なんだから」
――それから一同は風丸が気になったまま部活が始まり、今日も炎の風見鶏の練習をする。
しかし昨日とは違って風丸と豪炎寺が放った炎の風見鶏は見事ゴールに入った。
「いいぞ! その調子だ!」
「二人ともいい感じ!」
「昨日より制度が上がってるな。パワーも充分だ。もう一回!」
「「はい!」」
円堂も瑞貴も響木も技の様子に嬉しげな顔をする。瑞貴が風丸をチラッと見ると、どこか吹っ切れたような顔をしていたことにホッとする。
すると携帯が鳴る音が聞こえた。夏未が出ていたので気にせず練習を見ようとしたが――。
「えっ……!」
「夏未さん……?」
様子がおかしい夏未に気づいた秋。瑞貴と円堂も気になって駆け寄る。――それは総一郎が事故にあったという連絡だった。
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瑞貴と円堂と秋と夏未はすぐに病院へと駆け付けた。エレベータを降りると夏未は椅子に座っている場寅に一目散に駆け寄った。
「場寅! お父様は!?」
夏未の声に気づいた場寅は立ち上がるが浮かない顔をしている。
そうして場寅に案内された病室の中には、体や頭に包帯を巻き呼吸マスクをつけている理事長がベッドに横たわっていた。
「あれだけの傷を負いながらも、気を失うまでずっとフットボールフロンティアの成功を気にかけておられました……」
休憩室に移動して椅子に座るが、顔をうつむける夏未の目には涙が溜まっている。瑞貴はギュッと夏未の手を握る。
「夏未ちゃん……」
「大丈夫…大丈夫よ……」
口ではそう言っても声が震えている夏未に瑞貴は優しく抱きしめて頭を撫でる。秋も反対側に座って夏未の手を握った。