来たぜ! 全国大会!!
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「一郎太……」
「風丸! 遅いぞー!」
「遅れてスマン!」
「あいつ、何してたんだ?」
「それが……」
「――始めようか」
「じゃあ頼むぞー!」
土門が栗松に呼びに行ったときの様子を訊こうとすると、風丸の言葉に遮られた。円堂は風丸も戻って来たことで練習に励もうとする。
「あの一年に何を言われた?」
「大したことじゃないさ」
豪炎寺の疑問の問いかけに風丸はなんでもないように言った。
グラウンドにはセンターサークルにいる半田と響木、両サイドに風丸と豪炎寺、ゴールには円堂だけで、他の部員は離れて見学したり、観察している。
「風丸、豪炎寺。炎の風見鶏だ!」
「「はい!」」
響木の合図で半田が風丸と豪炎寺に向かってボールを上げ、二人は炎の風見鶏の体勢に入る。
「「炎の風見鶏!」」
だがボールはゴールには入らず、そのまま大きく反れてしまった。
「さっきまで決まってたのに……」
円堂は疑問だったがマグレだと思って構えを正す。
しかし、それから何度撃ってもボールはゴールに入るどころかかすりもせずに反れてしまう。見ていた部員は唖然としている中、瑞貴は腕を組み、眉をひそめていた。
(今の一郎太は宮坂くんの言葉で陸上かサッカーか、どちらかに迷っている。迷いはプレーに表れるものだから……)
息が上がっている風丸に豪炎寺は声をかける。
「意外とわかりやすい奴なんだな」
「何が?」
「陸上部に戻って来てくれとでも言われたんじゃないのか」
豪炎寺の推測に風丸は肯定も否定もせず苦笑し、円堂はそんな風丸の様子を心配そうに見ていた。
――それから部活はなんともいえない空気のまま終わってしまった。急いで制服に着替えた瑞貴は校門で自分のサッカーボールを眺めながらある人物を待っていた。
何人かの生徒が通り過ぎると、目的の人物が現れたので駆け寄る。
「一郎太」
「瑞貴……」
「ちょっと話をしない?」
「えっ? わかった」
そう言った瑞貴に風丸は了承し、二人は河川敷に来ると土手に座り込む。
「……修也の言う通り陸上部に戻って来いって言われた?」
「お前も気づいていたのか」
「あの様子を見てたら、普通に気づくよ」
瑞貴は苦笑しながらサッカーボールを撫でる。すると風丸がポツリと呟いた。
「俺を呼び止めていたあいつ、宮坂っていうんだ」
「一郎太を尊敬してるんだね。初対面の私から見てもわかる」
「……俺、もともと陸上部員だったこと宮坂に言われるまで忘れてた」
風丸は苦笑しながら夕焼け色の空を見上げる。
「知らない間に夢中になってたんだね」
「ああ。それに俺さ、お前のプレーが好きなんだ」
「へっ?」
いきなりのことに瑞貴は間の抜けた声を上げてしまった。
「いつも楽しそうにボールを蹴っている姿を見ると、なんだかこっちまで楽しく思える。俺たちが挫けそうなときも、時には励まして、時には叱咤してくれて……。転校してきたばっかりでサッカー部に入部したてなのに副キャプテンとしてチームを支えてくれた」
「一郎太……」
「俺はどうしたらいいんだ? 陸上部もサッカー部も大事な仲間だ。裏切るなんてできない」
「じゃあそういうこと考えなくていいんじゃない?」
いつもと違う瑞貴の声音に風丸が目を向けると、瑞貴は真剣な眼差しで風丸を見ていた。
「陸上部とかサッカー部とか関係なく、一郎太自身の気持ちはどうなの?」
「俺の…気持ち……」
「私は一郎太が出した答えがベストだと信じてる。納得できるまでいっぱい考えたらいいよ」
ニコッと笑う瑞貴に風丸はそれに返すように一つ微笑んだ。
「風丸! 遅いぞー!」
「遅れてスマン!」
「あいつ、何してたんだ?」
「それが……」
「――始めようか」
「じゃあ頼むぞー!」
土門が栗松に呼びに行ったときの様子を訊こうとすると、風丸の言葉に遮られた。円堂は風丸も戻って来たことで練習に励もうとする。
「あの一年に何を言われた?」
「大したことじゃないさ」
豪炎寺の疑問の問いかけに風丸はなんでもないように言った。
グラウンドにはセンターサークルにいる半田と響木、両サイドに風丸と豪炎寺、ゴールには円堂だけで、他の部員は離れて見学したり、観察している。
「風丸、豪炎寺。炎の風見鶏だ!」
「「はい!」」
響木の合図で半田が風丸と豪炎寺に向かってボールを上げ、二人は炎の風見鶏の体勢に入る。
「「炎の風見鶏!」」
だがボールはゴールには入らず、そのまま大きく反れてしまった。
「さっきまで決まってたのに……」
円堂は疑問だったがマグレだと思って構えを正す。
しかし、それから何度撃ってもボールはゴールに入るどころかかすりもせずに反れてしまう。見ていた部員は唖然としている中、瑞貴は腕を組み、眉をひそめていた。
(今の一郎太は宮坂くんの言葉で陸上かサッカーか、どちらかに迷っている。迷いはプレーに表れるものだから……)
息が上がっている風丸に豪炎寺は声をかける。
「意外とわかりやすい奴なんだな」
「何が?」
「陸上部に戻って来てくれとでも言われたんじゃないのか」
豪炎寺の推測に風丸は肯定も否定もせず苦笑し、円堂はそんな風丸の様子を心配そうに見ていた。
――それから部活はなんともいえない空気のまま終わってしまった。急いで制服に着替えた瑞貴は校門で自分のサッカーボールを眺めながらある人物を待っていた。
何人かの生徒が通り過ぎると、目的の人物が現れたので駆け寄る。
「一郎太」
「瑞貴……」
「ちょっと話をしない?」
「えっ? わかった」
そう言った瑞貴に風丸は了承し、二人は河川敷に来ると土手に座り込む。
「……修也の言う通り陸上部に戻って来いって言われた?」
「お前も気づいていたのか」
「あの様子を見てたら、普通に気づくよ」
瑞貴は苦笑しながらサッカーボールを撫でる。すると風丸がポツリと呟いた。
「俺を呼び止めていたあいつ、宮坂っていうんだ」
「一郎太を尊敬してるんだね。初対面の私から見てもわかる」
「……俺、もともと陸上部員だったこと宮坂に言われるまで忘れてた」
風丸は苦笑しながら夕焼け色の空を見上げる。
「知らない間に夢中になってたんだね」
「ああ。それに俺さ、お前のプレーが好きなんだ」
「へっ?」
いきなりのことに瑞貴は間の抜けた声を上げてしまった。
「いつも楽しそうにボールを蹴っている姿を見ると、なんだかこっちまで楽しく思える。俺たちが挫けそうなときも、時には励まして、時には叱咤してくれて……。転校してきたばっかりでサッカー部に入部したてなのに副キャプテンとしてチームを支えてくれた」
「一郎太……」
「俺はどうしたらいいんだ? 陸上部もサッカー部も大事な仲間だ。裏切るなんてできない」
「じゃあそういうこと考えなくていいんじゃない?」
いつもと違う瑞貴の声音に風丸が目を向けると、瑞貴は真剣な眼差しで風丸を見ていた。
「陸上部とかサッカー部とか関係なく、一郎太自身の気持ちはどうなの?」
「俺の…気持ち……」
「私は一郎太が出した答えがベストだと信じてる。納得できるまでいっぱい考えたらいいよ」
ニコッと笑う瑞貴に風丸はそれに返すように一つ微笑んだ。