伝説のイレブン!
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「だけど、理事長代理としての私への敬意は忘れないでいただきたいわ。私の言葉は理事長の言葉よ」
もちろん瑞貴だって夏未への敬意は忘れていない。だけど一人の女の子としても接しているから夏未もそれを許しているのだ。
「それじゃあ、理事長ならどんな言葉をこいつらに送るかね?」
響木がそう言うと、夏未は真剣実を帯びた表情をして立ち上がる。
「今やサッカー部は、雷門中の名誉を背負っているといえるわ」
いくら当初は弱小と名高かったとはいえ、フットボールフロンティア地区大会で優勝したのだ。それをわかっているので全員力強く頷く。
「必ず全国制覇を成し遂げてちょうだい」
「オウッ! やってやるぜ! なっ、なっ!」
円堂は豪炎寺修也と瑞貴に同意を求めると、豪炎寺はそれを表すかのように親指を立て、瑞貴は笑って頷く。
「よーし! やろうぜ!」
「うん。絶対に、全国制覇ー!」
「「「「「絶対に、全国制覇――っ!!」」」」」
マネージャーと豪炎寺以外、全員拳を高らかに突き上げた。
――夕方で祝賀会が終わり、土門と秋は前に土門がスパイだと知られたあのときのように河川敷のグラウンドが見渡せる土手に座っていた。
「俺さ、円堂と瑞貴ちゃんはファンタジスタだと思うんだよな」
「えっ? キーパーには使わない言葉よ」
「そうなんだけどさ、あいつらの閃きには誰も予想できない想像性がある。プレーだけじゃない、あいつらといられるといつも新しい何かが見られるような気がするんだ」
「そうね……。それが円堂くんと瑞貴ちゃんなんだね」
楽しそうに空を見上げる土門に秋も釣られて笑う。
「帝国学園では自分が蹴落とされないように必死でさ、チームメイトにさえ気を許せなかった。サッカーがこんなに楽しかったのを忘れてた。俺――このチームが好きだ。サッカーが好きだったんだ」
「……でも、瑞貴ちゃんには違う意味で好きなんでしょ」
「えぇ!?」
秋がイタズラっぽく言うと土門は顔を赤くして慌てた。あからさまに図星だとわかる。
「瑞貴ちゃんはライバルが多いし、鈍感だから一筋縄じゃいかないよ」
「あれ? 秋は俺を応援してくれるの?」
「私は瑞貴ちゃんが幸せならそれでいいわ。だから――泣かせたら承知しないからね」
「は、はい……」
秋の言葉が冗談じゃなく本気で、おまけにとてつもなく黒いオーラを出していることに気づき、土門は冷や汗をかきながら頷くしかなかった。
――場所は変わって雷雷軒。瑞貴と円堂は響木と一緒に後片付けをしている。すると扉が開かれる音が聞こえた。
「すいませんねぇ。今日はもう――」
来た客を見て言葉を止めた響木に、瑞貴と円堂も不思議そうに振り向く。そこには前髪で両目が隠れて髭も生やし、ところどころ服が汚れている少しみすぼらしい格好をした五十代の男だった。
「浮島!」
「忘れられてなかったか……」
「たった今まで思い出しもしなかったがな」
「口の減らない奴だ」
男――浮島一人(カズト)はカウンターの一角の席に座りながら響木に言う。
「雷門中が帝国学園を倒したって聞いてな。なんだか、お前の顔が見たくなったんだ」
「そうか。こいつがそのサッカー部キャプテン・円堂守。そして副キャプテン・井上瑞貴だ」
「っ! 『円堂』……!?」
響木の紹介を聞いて浮島は驚いたように円堂を見る。瑞貴は一つ礼をするだけだった。
「まさか、大介さんの……」
「孫だよ」
「そうか…そうなのか……」
浮島はどこか懐かしむかのように円堂を見る。彼らの話を聞いて円堂はもしかしてと思い響木に訊く。
「この人、まさか……」
「ああ。イナズマイレブンの一人だ」
「やっぱり!」
「ちょっと守!」
円堂は目を輝かせながら瑞貴の制止も聞かずに一目散に浮島の元へ駆け寄る。
「俺、じいちゃんとイナズマイレブンの話を知ってから、ずーっと憧れてたんです! ――伝説のイナズマイレブンに!」
「伝説の……」
「はい! 物凄く強かった無敵だったって! カッコいいー! ぜってーカッコいい!」
「……知ってるのか? イナズマイレブンの悲劇は」
重くなった浮島の声につられて円堂と瑞貴は真剣な顔をする。
「「もちろんです……」」
「そうか……」
四十年前のイナズマイレブンは決勝戦の会場に行く途中、事故を起こしてしまった。それでも試合会場に行ったが誰かから『試合を棄権する』という連絡があって試合はできなかった――ということだ。
この話は現サッカー部では瑞貴と円堂しか知らない。
もちろん瑞貴だって夏未への敬意は忘れていない。だけど一人の女の子としても接しているから夏未もそれを許しているのだ。
「それじゃあ、理事長ならどんな言葉をこいつらに送るかね?」
響木がそう言うと、夏未は真剣実を帯びた表情をして立ち上がる。
「今やサッカー部は、雷門中の名誉を背負っているといえるわ」
いくら当初は弱小と名高かったとはいえ、フットボールフロンティア地区大会で優勝したのだ。それをわかっているので全員力強く頷く。
「必ず全国制覇を成し遂げてちょうだい」
「オウッ! やってやるぜ! なっ、なっ!」
円堂は豪炎寺修也と瑞貴に同意を求めると、豪炎寺はそれを表すかのように親指を立て、瑞貴は笑って頷く。
「よーし! やろうぜ!」
「うん。絶対に、全国制覇ー!」
「「「「「絶対に、全国制覇――っ!!」」」」」
マネージャーと豪炎寺以外、全員拳を高らかに突き上げた。
――夕方で祝賀会が終わり、土門と秋は前に土門がスパイだと知られたあのときのように河川敷のグラウンドが見渡せる土手に座っていた。
「俺さ、円堂と瑞貴ちゃんはファンタジスタだと思うんだよな」
「えっ? キーパーには使わない言葉よ」
「そうなんだけどさ、あいつらの閃きには誰も予想できない想像性がある。プレーだけじゃない、あいつらといられるといつも新しい何かが見られるような気がするんだ」
「そうね……。それが円堂くんと瑞貴ちゃんなんだね」
楽しそうに空を見上げる土門に秋も釣られて笑う。
「帝国学園では自分が蹴落とされないように必死でさ、チームメイトにさえ気を許せなかった。サッカーがこんなに楽しかったのを忘れてた。俺――このチームが好きだ。サッカーが好きだったんだ」
「……でも、瑞貴ちゃんには違う意味で好きなんでしょ」
「えぇ!?」
秋がイタズラっぽく言うと土門は顔を赤くして慌てた。あからさまに図星だとわかる。
「瑞貴ちゃんはライバルが多いし、鈍感だから一筋縄じゃいかないよ」
「あれ? 秋は俺を応援してくれるの?」
「私は瑞貴ちゃんが幸せならそれでいいわ。だから――泣かせたら承知しないからね」
「は、はい……」
秋の言葉が冗談じゃなく本気で、おまけにとてつもなく黒いオーラを出していることに気づき、土門は冷や汗をかきながら頷くしかなかった。
――場所は変わって雷雷軒。瑞貴と円堂は響木と一緒に後片付けをしている。すると扉が開かれる音が聞こえた。
「すいませんねぇ。今日はもう――」
来た客を見て言葉を止めた響木に、瑞貴と円堂も不思議そうに振り向く。そこには前髪で両目が隠れて髭も生やし、ところどころ服が汚れている少しみすぼらしい格好をした五十代の男だった。
「浮島!」
「忘れられてなかったか……」
「たった今まで思い出しもしなかったがな」
「口の減らない奴だ」
男――浮島一人(カズト)はカウンターの一角の席に座りながら響木に言う。
「雷門中が帝国学園を倒したって聞いてな。なんだか、お前の顔が見たくなったんだ」
「そうか。こいつがそのサッカー部キャプテン・円堂守。そして副キャプテン・井上瑞貴だ」
「っ! 『円堂』……!?」
響木の紹介を聞いて浮島は驚いたように円堂を見る。瑞貴は一つ礼をするだけだった。
「まさか、大介さんの……」
「孫だよ」
「そうか…そうなのか……」
浮島はどこか懐かしむかのように円堂を見る。彼らの話を聞いて円堂はもしかしてと思い響木に訊く。
「この人、まさか……」
「ああ。イナズマイレブンの一人だ」
「やっぱり!」
「ちょっと守!」
円堂は目を輝かせながら瑞貴の制止も聞かずに一目散に浮島の元へ駆け寄る。
「俺、じいちゃんとイナズマイレブンの話を知ってから、ずーっと憧れてたんです! ――伝説のイナズマイレブンに!」
「伝説の……」
「はい! 物凄く強かった無敵だったって! カッコいいー! ぜってーカッコいい!」
「……知ってるのか? イナズマイレブンの悲劇は」
重くなった浮島の声につられて円堂と瑞貴は真剣な顔をする。
「「もちろんです……」」
「そうか……」
四十年前のイナズマイレブンは決勝戦の会場に行く途中、事故を起こしてしまった。それでも試合会場に行ったが誰かから『試合を棄権する』という連絡があって試合はできなかった――ということだ。
この話は現サッカー部では瑞貴と円堂しか知らない。