最強軍団・オーガ襲来
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一連の試合をモニターで見ていた男たちは、あきらめの悪い円堂と瑞貴に呆れていた。
「全くバカげている。勝ち目のない試合に、何故ここまで本気になれる?」
「奴らは勝ち目がないと思っていない」
ヒビキが答えると、扉からカノンとリオのことを調べていたバウゼンが戻って来た。
「何かわかったか?」
「いえ、それが……例の謎の少年少女ですが、確かにあの時代の生命ではありません。彼らだけに異なる時間が流れているようです」
「やはりな……。謎の少年少女については引き続き調べろ。我々はこれから始まる歴史の分岐点に『揺さぶり』をかける」
「と、言いますと……?」
モニターに表示されたのは豪炎寺だった。彼の姿を見たヒビキは口角を上げる。
「豪炎寺修也という少年の危機が、円堂守と井上瑞貴に大きく関わって来るのだ。もしこの練習試合に彼が出場できなくなったら……?」
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――後半が始まり、両チームがポジションに着く。
《さあ、後半戦のスタートです! 雷門は8番宍戸に代わり、雷門中サッカー部の紅一点、17番・井上が入ります。圧倒的な帝国リードの前にどう立ち向かうのか!? 雷門イレブン!》
帝国学園のキックオフが始まり、佐久間に渡されたボールを寺門が鬼道に回す。
「いくぞ……。デスゾーン、開始」
鬼道の言葉を合図に帝国学園サッカー部が雷門エリアに上がって行く。
「そして奴を――引きずり出せ!」
鬼道が上げたボールを佐久間と寺門と洞面が続いて体を回転させながら飛び上がる。空中で三角形を作って回り続け、中心のボールへパワーを注いだ。
「「「デスゾーン!」」」
三人が撃ったボールは真っ直ぐにゴールへ向かい、円堂は反応できず顔面にぶつかってゴールへ叩きつけられた。
「守!」
「続けろ。奴をあぶりだすまで」
雷門中のボールになっても万丈一道の必殺技・サイクロン半田が吹き飛ばしたり、寺門の必殺技・百裂ショットでゴールが決まったり、次々と帝国学園サッカー部のラフプレーに近い攻撃で雷門中サッカーが倒れていく。
瑞貴が攻撃をカットしてパスを繰り出すも、それすら帝国学園サッカー部が止めてしまう。
そして14…15…16…17…18…19と次々点が決まっていく。だが瑞貴が知っている原作と違い点が一つ多かった。
(原作の違いが出てきた……。私がいるから……?)
「出て来いよ……出て来い……。さもなければ、あの最後の二人を……あいつらを――」
「叩きのめす!」
鬼道が指差したのは円堂と瑞貴。寺門が繰り出したシューが再びを円堂の顔面にぶつかりゴールに入ることなく跳ね返って戻って来た。
もちろんそれも計算の上なので、次々と交代で帝国学園サッカー部は円堂と瑞貴にボールをぶつけていく。
「ああ……あいつら……!」
「ゴールを決めることが目的じゃない……。円堂と瑞貴を潰すのが目的……!」
帝国学園サッカー部の意図に影野と松野は目を見開いた。
「ふざけるな……。こんなの……こんなの……サッカーじゃねぇ!」
風丸は円堂を押しのけて自らシュートに当たった。そのボールはそのまま鬼道に渡る。
「風丸!」
「風丸くん!」
「風丸!」
「一郎太!」
その光景に円堂や秋や染岡や瑞貴が叫ぶ。円堂と瑞貴が駆け寄ると風丸はもうボロボロだった。
「風丸!」
「一郎太、しっかり!」
「え…ん…どう……。み…ずき……」
円堂はギュッと目を閉じ帝国イレブンを睨む。
「お前の気持ち、受け止めたぜ。瑞貴、お前もポジションに戻れ」
「でも――!」
「安心しろ」
「っ!」
ハッと円堂を見ると今までと違う目をしていた。瑞貴は一つ頷いて元のポジションに着く。円堂は風丸を支えながら立ち上がる。
「絶対……このゴールは守ってみせる!」
「フッ。一度として守れてはいないが」
「いくぞ! 百烈ショット!」
鬼道は再びボールを高く上げると寺門が撃つ。あれをもう一度くらったら円堂でも倒れてしまうかもしれない。
部員の誰もが痛む体を抑えても円堂を守ろうとした。だが――瑞貴は技が放たれたと同時に帝国エリアに向かって走って行く。これには雷門中だけでなく、帝国学園も、誰もが驚いた。
《なんと井上! 円堂をフォローせずに、一人、帝国ゴールに向かって走っていく! これはどういうことだ!?》
――あのときの円堂の目を瑞貴はよく知っている。
「このシュート……決めさせるもんかぁ!」
――絶対という決意にあふれた目。
「瑞貴も俺を信じて走ってるんだ。俺が止めるって……」
――この目をしているときが彼の一番頼りになるときだ。
(私は彼を――円堂守を信じてる!)
円堂が拳を握ると周りにオーラが出てきた。今までとは違うオーラを。
「これを止めた俺から、必ずパスが来ると信じて! ――ゴッドハンド!」
円堂のオーラは拳に集まり大きく光る手を空中に出した。そしてそれを前に突き出し、百烈ショットを受け止め手中に収めた。
(あれはゴッドハンド……! 守がこの場面で使うなんて……!)
原作と違うが、四十年前の伝説のイナズマイレブンのキーパーが使っていた必殺技。それがこのフィールドに――円堂守の元に甦ったのだ。
その姿に鬼道も帝国学園サッカー部も、観客も驚きを隠せず、秋と春奈は手を合わせて喜んでいる。
《止めた――っ!! ついに帝国のシュートを止めた――っ!!》
「これだ!」
祖父・円堂大介のノートにあった必殺技の一つを、円堂は見事に身に付けた。
「これはまた……なかなか面白い余興だな」
影山は面白そうに笑って呟いた。
「いっけぇ――っ!! 瑞貴――っ!!」
円堂が投げたボールはそのまま帝国エリアにいた瑞貴に渡された。瑞貴はボールを受け取ってドリブルする。
「女如きに通させるもんか!」
「ふっ!」
「なっ!?」
辺見渡が立ち塞がり止めようとするが瑞貴はあっという間に抜いた。いつ抜かれたのかわからないくらいの速さだった。
次々と帝国学園サッカー部を見事なテクニックでかわし、DFが全員で止めようとすると瑞貴はボールを高く上げて自らも飛んだ。
「なんだと!?」
《おおーっと! 井上、見事なフェイントで帝国の選手をかわして飛んだー! ゴールにはキーパーしかいない!!》
源田はここまで来れると思っていなかったらしく驚くが、すぐに迎え撃つべく構える。
(守は体を張って、原作を変えて、ゴッドハンドを生み出して止めてくれた。その思いがこもったこのボール……絶対に決める!)
鉄塔広場で感じた力が瑞貴の体中から溢れ、ボールが光り始めると同時に体を回転させる。
「シューティングアロー!」
叩きつけるように蹴ったボールは流星の如く光が現れ、流星の矢の如く一直線にゴールに向かう。源田はそのスピードに反応ができず、ボールはそのままゴールに入った。そして瑞貴が着地すると同時にホイッスルが鳴る。
《ゴォ――ルッ!! ついに、ついに雷門イレブン、帝国学園から1点をもぎ取りました――っ!!》
「「やったー!」」
熱くなりながら実況する角馬、抱き合って喜ぶ秋と春奈、眉を八の字にして驚く冬海、雷門中サッカー部も喜びに溢れていた。
「やった! しかも伝説のゴッドハンド誕生がこの目で見られるなんて!」
「それを言うならシューティングアローもでしょ! スッゴーい!」
茂みに隠れて試合を見ていたカノンとリオも、あまり大声は出せないが生で見るのとモニターで見るのとは興奮が違うのを感じた。
「嘘……」
瑞貴は目の前に起こった現実が信じられなかった。無我夢中とはいえ必殺技を出せたことや、帝国学園にゴールを奪えたことにも。
しかし、帝国学園ボールで試合再開になったとき、再び悲劇が襲った。
「「「デスゾーン!」」」
「わあっ!」
瑞貴はデスゾーンをマトモにくらってしまった。動けないほどではないがダメージは高い。
「嫌だ……もうこんなの嫌だ――っ!!」
帝国学園の恐怖に怖気づいた目金が10番のユニフォームを脱ぎ捨てて逃げて行った。これで雷門中サッカー部は十人になってしまい、ベンチにいた宍戸は震えながらも立ち上がる。
「瑞貴さん! 俺が――」
「佐吉は来ちゃダメ! 怪我が悪化する!」
「――無様だな」
ボールに足で押さえた鬼道が、寺門と辺見と共に瑞貴たちを見下す。
「ムリだ」
「しょせんお前らはその程度だったということだ」
「「「フフフ……フハハハハッ!!」」」
「「――まだだ!」」
三人の高笑いをかき消すように声を上げた遠藤と瑞貴がよろめきながらも立ち上がった。
「まだ、終わってねぇ……」
「そう、終わってない……」
「「まだ……終わってねーぞ!!」」
「「!?」」
まさかまだ戦う気があると思っておらず、鬼道と木の陰に隠れて見てた豪炎寺は二人の姿に驚いた。
豪炎寺の脳裏に浮かぶのは、事故に遭って一年も病室で眠ったままでいる妹・豪炎寺夕香の姿だ。
(夕香が大好きなサッカー……俺の応援に向かう途中であんなことになって……今もまだ眠り続ける夕香……。だから俺もサッカーを封印しよう、そう決めていたのに……。あいつらの…あきらめない闘志が俺を揺さぶる……)
豪炎寺の目の前にあるのは、目金が脱ぎ捨てたエースナンバー10番のユニフォーム。眉を顰めた豪炎寺は静かに決意した。
「今回だけお兄ちゃんを、許してくれないか……?」
豪炎寺は10番のユニフォームを力強くつかんだ。今一度だけ、ピッチに戻るために。
「ウッ!」
「うわあ!」
寺門のシュートは瑞貴に当たり、跳ね返って円堂にも当たってゴールに入ってしまった。
《ゴォ――ルッ!! 帝国これで、20点目!!》
20点目が入ったとき、ユニフォームに着替えた豪炎寺はグラウンドへ向かおうとするが――。
「お兄ちゃん……」
「夕香……! どうして……!?」
豪炎寺を呼び止めたのはなんと未だ病院で眠っているはずの夕香だった。いきなり現れた妹の姿に豪炎寺は驚かずにはいられない。