最強軍団・オーガ襲来
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半田たちは円堂がいつもより気合いが入っている様子を怪訝そうに見る。
「何一人で熱くなってんだ?」
「がんばってもしょうがないさ。もうすぐ廃部って噂もあるしな」
「「「「「廃部ぅ!?」」」」」
染岡のひと言を聞いて、そんなことを今まで全く思ってなかったのか他の五人は盛大に驚いた。
そんな会話をしているとは露知らず、円堂は軽くドリブルをしていると駆け寄ってくる秋に気付いてボールを片足で止める。
「円堂くん!」
「あっ、秋!」
「ごめん……。グラウンド借りられなくって……」
「仕方ないさ」
確かにグラウンドを借りようと提案していたが、今までの経験で想定内だったので円堂は秋を責めることなくそう言った。
「みんなは?」
「いつもと同じ」
「練習しろって言って来ようか?」
「いいよ。その内きっと、やる気を出してくれるさ。あいつらだって、ホントはサッカー大好きなんだから」
ボールを片足で上げて両手でキャッチした円堂は、全くやる気なしだったみんなを信じていた。
「じゃあ、また河川敷に行くんだ。小学生のチーム相手で練習になってる?」
「ああ……。あいつら、結構やるんだぜ? 秋も見りゃわかるって!」
中学生の円堂にとって『練習になってるか』と訊かれれば、答えは『NO』だろう。しかしサッカーができることは変わりないので秋を河川敷のグラウンドに誘った。
☆☆☆☆☆
時は少し遡る。別の次元で瑞貴は学校の屋上でシンに出会っていた。
「単刀直入に訊きますが、私に何の用ですか?」
「……本当に直撃だね。――君にお礼がしたくってさ」
「お礼?」
瑞貴が首を傾げるとシンは「僕の大切なバッジを拾ってくれたから」と言った。別にお礼されるほどではないので瑞貴は首を振る。
「気にしなくていいよ。たまたま通りがかって見つけたから」
「でもこのバッジがなかったら、僕、神様の資格がなくなっちゃうから」
「……神様?」
「そう。僕は神様なんだ。最近暇で仕方なくてね、退屈しのぎにこの世界を見ていたらついバッジを落としちゃってさ、慌てて探しているときに君が拾ってくれたってわけ」
頭がおかしい、もしくは自分をからかっているんだと瑞貴は思った。瑞貴が男で『神様』と呼ばれると思い浮かぶのはキリストとかポセイドンとか少し年代が高い男だ。目の前にいるシンは自分と十近くは歳が離れていると思うので若すぎる。
「僕は幼くして神様になったんだ。天界では史上初の天才と言われるぐらいでね。人間で言うとまだ若いよ」
(なんで考えがわかったんだろう……。神様というくらいなら読心術が使えるのかな)
「うん。使えるよ」
「人の心を勝手に読まないで」
「ごめんごめん。でもこれで信じてくれた?」
瑞貴自身は二次元類のモノは信じているが、それも全ての答えを照らし合わせてから最終的に結論を辿り着けばの話だ。
しかし信じてもどうにもならないので瑞貴は一つ溜息をつく。
「本題に入るね。君が今大好きなアニメ――イナズマイレブンの世界に招待してあげる」
「……ハァ?」
瑞貴はあまりにも衝撃なことに呆気に取られてしまった。
だって当たり前だろう。いきなり現れて神とか言うし、おまけに親切にしてくれたからお礼にイナズマイレブンの世界に招待してあげるって。
(――トリップ?)
「そう、トリップ! 僕、君が気に入っちゃったからね。君もイナズマイレブンのみんなとプレーしたいでしょ?」
「人の心を読むな。そして私はあんたが気に入る要素なんて一つもない。しかもイナズマイレブンは二次元だから行けるわけないでしょ」
ズバズバと遠慮ナシに言ってくる瑞貴にシンは面白そうに笑いながら少し苦笑する。
「まあまあ、それは置いといて。君を気に入ったのは今までの経歴も見せてもらったから。なんたって僕、神様だからね。それを見たから君を気に入ってトリップさせてあげようと思ったの。ちなみにこれは運命だから逆らえない」
人の過去を勝手に見んなと瑞貴は内心強くそう思った。シンもそれがわかったのか口の端を引きつらせながら一歩後ずさる。
「さ、さあこの話はここまで! それと君に拒否権はないから。神の力を使えば君は負けるから。それに、この世界に未練はないだろう? 唯一のことは今朝の友達と、弟くんかな?」
瑞貴の親は幼い頃に亡くなり、唯一の弟はお気に入りの親戚に住んでいるので、瑞貴は親戚に援助されながら一人暮らしをしている。そのせいか家事も上達し、もはや腕はプロ並みだ。
「……彼女は私の大切な幼馴染で親友だからね。それに弟のことも気がかり」
急にこの世界から消えてしまえば二人はどういう反応をするだろう。悲しんでしまうなら絶対に嫌だ。
「大丈夫。君が向こうの世界に行けばこの世界にいる君の経歴は全て抹消される。そうしないと釣り合わないからね。向こうに行けば、今までなかった目標が見えるかもしれないよ」
「……わかった」
大人しく従おうとするとシンが頭を撫でてきた。突然のことに驚いて顔を上げるとシンが跪いて瑞貴を優しい目で見ている。
「僕が向こうの世界の生活も保障してあげる。物語のことも気にしなくていいから思いっきりやっておいで。君ならきっと、彼らとうまくやっていけるよ」
「彼ら……」
「何か他に願いごとはない? 一つだけなら叶えてあげる。戸籍や生活保障は安心していいからそれ以外で」
「……今はない」
「わかった。決まったら教えてね。――さあ、行こっか」
シンが瑞貴の頭から手を離すと突然足下から光が現れ、目を瞑っていても意味がないくらい強い光だった。瑞貴はそれに包まれると足から体がどんどん消えていく。そして光が治まると屋上にはシン以外誰もいない。
「その世界なら君は幸せになれる。応援しているよ。――瑞貴」
青空を見上げながらシンはそう呟いた。
☆☆☆☆☆
瑞貴がトリップして稲妻町を巡り最後に河川敷を通りがかると、円堂が稲妻KFCとサッカーをして秋はベンチで見学をしていた。
もしや、と思いうしろをチラッと見てみると、一人の男子が瑞貴と同じように豪炎寺修也もグラウンドを見ていた。
「見ろ。俺の必殺シュート!」
元気な少年――稲妻KFCのメンバーである間竜介の声に視線を戻すと、彼の勢いよく撃ったシュートがフィールドのそばを通っていた男たちの前を通り過ぎた。
「誰だぁ!? こいつ蹴ったのは!」
「だ、大丈夫ですか!? すいませんでした……」
背の高い男がボールに足を乗せて怒鳴ると円堂がすぐに駆け付け頭を下げて謝る。ちゃんと謝るのは良いことだ。
「あの、ボールを返して……」
ドカッ!
「ウッ!」
「円堂くん!?」
ボールは未だに背の高い男は足を乗せているので、円堂はさりげに返してほしい、と言うと今度は背の低い男が円堂の腹に足蹴りした。秋やKFCの如月まこもあまりのことに驚いている。
「ボールってこれかぁ?」
背の高い男――安井が挑発気味に言いながらボールを椅子代わりにして座る。
サッカーボールはサッカー選手にとって大事な物だ。瑞貴も選手でないとはいえ、サッカーを愛するのでその行為には眉を顰める。
「あれ? 雷門中じゃねぇの。安井さん、部員の全然いねぇ弱小サッカー部ですよ」
背の低い男――臼井が円堂を雷門中の生徒だとわかると、バカにした口調で安井に伝えた。安井はそれを聞くと面白そうに笑う。
「くだらねぇ。ガキ相手にタマ蹴りか?」
ヒャヒャヒャと笑う男たち。――さすがに我慢ができなかった。
「ちょっと! そんな言い方ないじゃないですか!?」
「「「「「!?」」」」」
突然発せられた声に全員驚いたように瑞貴に目を向けた。瑞貴はあとのことも考えずにグラウンドに下りる。
「ボールがあなた方に当たりそうなことを彼は謝りました。今度はあなたたちが彼に侮辱したこと、足蹴りしたことを謝るべきです。――今すぐ彼に謝ってください」
「「!」」
瑞貴がそう言うと円堂や秋は驚いているが、安井は少し面食らったあと、「へぇ」と言って瑞貴をジロジロと見る。ハッキリ言って気持ち悪い。
「なかなか可愛いじゃねぇか。なぁ彼女、俺たちと遊ばねぇ?」
「私の用件が先です。それに謝ってきた彼に足蹴りをするとは何事ですか! ふざけるのも大概にしてください!」
その言葉に円堂は目を見開く。瑞貴の態度が気に入らなかったのか、臼井は安井に言う。
「安井さん、お手本見せてやっちゃどうです?」
「いいねぇ」
安井は臼井の言葉にニヤニヤしながら立ち上がる。
「やってやろうじゃねぇの。ペッ」
「「「!」」」
安井はボールに唾を吐く。その行為に瑞貴も円堂も豪炎寺も目を見開き、眉を寄せた。
「あ~らよ、っと!」
ボールを蹴った衝撃で安井は倒れる。素人でコントロールはなってないが自分たちより年上で男なので威力はある。そのボールはそのまままこに向かっていく。
「危ない!」
瑞貴が叫ぶのと同時に豪炎寺が現れる。豪炎寺は跳び上がってボールを安井の顔面に蹴り返して、まこの前に着地する。しかし次にそのボールは瑞貴に向かってきた。
「よけて!」
「なっ!」
「ふっ!」
秋の声や、豪炎寺がしまった、というような顔をしているが、瑞貴はそのままボールを「安井さん!」と叫んでいる臼井の顔面に向かって蹴り返した。
円堂は二人のシュートを見て唖然としていた。豪炎寺も瑞貴のシュートは驚いていた。臼井はダメージによろけながらも、瑞貴と豪炎寺を見て叫ぶ。
「て、てめぇら!」
「彼に謝らなかった罰と、女の子にボールをぶつけようとした罰です」
「こ、この女ぁ!」
平然と言う瑞貴の言葉に臼井は肩を震わせながら威勢よく睨みつけて瑞貴の腕をつかむ。瑞貴は振り払おうとすると突然その手の上に別の手が重なる。
「その手を離せ」
「ヒッ……! 覚えていろよー!」
しかし臼井より何倍にも殺気を含んだ視線を出す豪炎寺は、瑞貴の腕を掴む臼井の手を捻り上げて突き飛ばすと、情けない声を上げて走り去って行った。
「ありがとうございます」
「いや……。腕、大丈夫か?」
豪炎寺が心配そうに瑞貴に声をかける。幸いそんなに腫れてはいないし軽く回しても痛くも何ともないので瑞貴は「大丈夫です」と言って笑いかける。すると豪炎寺は頬が少し朱に染めて顔を背けた。
「ありがとう!」
まこがお礼を言うと豪炎寺は我に返り、まこに微笑んでそのまま立ち去ろうと踵を返したので、瑞貴も帰ろうとする。が――。
「待ってくれ!」
突然呼び止められたので二人は足を止めて瑞貴だけ振り返る。案の定、円堂がボールを持ってキラキラした目で見ていた。
「何一人で熱くなってんだ?」
「がんばってもしょうがないさ。もうすぐ廃部って噂もあるしな」
「「「「「廃部ぅ!?」」」」」
染岡のひと言を聞いて、そんなことを今まで全く思ってなかったのか他の五人は盛大に驚いた。
そんな会話をしているとは露知らず、円堂は軽くドリブルをしていると駆け寄ってくる秋に気付いてボールを片足で止める。
「円堂くん!」
「あっ、秋!」
「ごめん……。グラウンド借りられなくって……」
「仕方ないさ」
確かにグラウンドを借りようと提案していたが、今までの経験で想定内だったので円堂は秋を責めることなくそう言った。
「みんなは?」
「いつもと同じ」
「練習しろって言って来ようか?」
「いいよ。その内きっと、やる気を出してくれるさ。あいつらだって、ホントはサッカー大好きなんだから」
ボールを片足で上げて両手でキャッチした円堂は、全くやる気なしだったみんなを信じていた。
「じゃあ、また河川敷に行くんだ。小学生のチーム相手で練習になってる?」
「ああ……。あいつら、結構やるんだぜ? 秋も見りゃわかるって!」
中学生の円堂にとって『練習になってるか』と訊かれれば、答えは『NO』だろう。しかしサッカーができることは変わりないので秋を河川敷のグラウンドに誘った。
☆☆☆☆☆
時は少し遡る。別の次元で瑞貴は学校の屋上でシンに出会っていた。
「単刀直入に訊きますが、私に何の用ですか?」
「……本当に直撃だね。――君にお礼がしたくってさ」
「お礼?」
瑞貴が首を傾げるとシンは「僕の大切なバッジを拾ってくれたから」と言った。別にお礼されるほどではないので瑞貴は首を振る。
「気にしなくていいよ。たまたま通りがかって見つけたから」
「でもこのバッジがなかったら、僕、神様の資格がなくなっちゃうから」
「……神様?」
「そう。僕は神様なんだ。最近暇で仕方なくてね、退屈しのぎにこの世界を見ていたらついバッジを落としちゃってさ、慌てて探しているときに君が拾ってくれたってわけ」
頭がおかしい、もしくは自分をからかっているんだと瑞貴は思った。瑞貴が男で『神様』と呼ばれると思い浮かぶのはキリストとかポセイドンとか少し年代が高い男だ。目の前にいるシンは自分と十近くは歳が離れていると思うので若すぎる。
「僕は幼くして神様になったんだ。天界では史上初の天才と言われるぐらいでね。人間で言うとまだ若いよ」
(なんで考えがわかったんだろう……。神様というくらいなら読心術が使えるのかな)
「うん。使えるよ」
「人の心を勝手に読まないで」
「ごめんごめん。でもこれで信じてくれた?」
瑞貴自身は二次元類のモノは信じているが、それも全ての答えを照らし合わせてから最終的に結論を辿り着けばの話だ。
しかし信じてもどうにもならないので瑞貴は一つ溜息をつく。
「本題に入るね。君が今大好きなアニメ――イナズマイレブンの世界に招待してあげる」
「……ハァ?」
瑞貴はあまりにも衝撃なことに呆気に取られてしまった。
だって当たり前だろう。いきなり現れて神とか言うし、おまけに親切にしてくれたからお礼にイナズマイレブンの世界に招待してあげるって。
(――トリップ?)
「そう、トリップ! 僕、君が気に入っちゃったからね。君もイナズマイレブンのみんなとプレーしたいでしょ?」
「人の心を読むな。そして私はあんたが気に入る要素なんて一つもない。しかもイナズマイレブンは二次元だから行けるわけないでしょ」
ズバズバと遠慮ナシに言ってくる瑞貴にシンは面白そうに笑いながら少し苦笑する。
「まあまあ、それは置いといて。君を気に入ったのは今までの経歴も見せてもらったから。なんたって僕、神様だからね。それを見たから君を気に入ってトリップさせてあげようと思ったの。ちなみにこれは運命だから逆らえない」
人の過去を勝手に見んなと瑞貴は内心強くそう思った。シンもそれがわかったのか口の端を引きつらせながら一歩後ずさる。
「さ、さあこの話はここまで! それと君に拒否権はないから。神の力を使えば君は負けるから。それに、この世界に未練はないだろう? 唯一のことは今朝の友達と、弟くんかな?」
瑞貴の親は幼い頃に亡くなり、唯一の弟はお気に入りの親戚に住んでいるので、瑞貴は親戚に援助されながら一人暮らしをしている。そのせいか家事も上達し、もはや腕はプロ並みだ。
「……彼女は私の大切な幼馴染で親友だからね。それに弟のことも気がかり」
急にこの世界から消えてしまえば二人はどういう反応をするだろう。悲しんでしまうなら絶対に嫌だ。
「大丈夫。君が向こうの世界に行けばこの世界にいる君の経歴は全て抹消される。そうしないと釣り合わないからね。向こうに行けば、今までなかった目標が見えるかもしれないよ」
「……わかった」
大人しく従おうとするとシンが頭を撫でてきた。突然のことに驚いて顔を上げるとシンが跪いて瑞貴を優しい目で見ている。
「僕が向こうの世界の生活も保障してあげる。物語のことも気にしなくていいから思いっきりやっておいで。君ならきっと、彼らとうまくやっていけるよ」
「彼ら……」
「何か他に願いごとはない? 一つだけなら叶えてあげる。戸籍や生活保障は安心していいからそれ以外で」
「……今はない」
「わかった。決まったら教えてね。――さあ、行こっか」
シンが瑞貴の頭から手を離すと突然足下から光が現れ、目を瞑っていても意味がないくらい強い光だった。瑞貴はそれに包まれると足から体がどんどん消えていく。そして光が治まると屋上にはシン以外誰もいない。
「その世界なら君は幸せになれる。応援しているよ。――瑞貴」
青空を見上げながらシンはそう呟いた。
☆☆☆☆☆
瑞貴がトリップして稲妻町を巡り最後に河川敷を通りがかると、円堂が稲妻KFCとサッカーをして秋はベンチで見学をしていた。
もしや、と思いうしろをチラッと見てみると、一人の男子が瑞貴と同じように豪炎寺修也もグラウンドを見ていた。
「見ろ。俺の必殺シュート!」
元気な少年――稲妻KFCのメンバーである間竜介の声に視線を戻すと、彼の勢いよく撃ったシュートがフィールドのそばを通っていた男たちの前を通り過ぎた。
「誰だぁ!? こいつ蹴ったのは!」
「だ、大丈夫ですか!? すいませんでした……」
背の高い男がボールに足を乗せて怒鳴ると円堂がすぐに駆け付け頭を下げて謝る。ちゃんと謝るのは良いことだ。
「あの、ボールを返して……」
ドカッ!
「ウッ!」
「円堂くん!?」
ボールは未だに背の高い男は足を乗せているので、円堂はさりげに返してほしい、と言うと今度は背の低い男が円堂の腹に足蹴りした。秋やKFCの如月まこもあまりのことに驚いている。
「ボールってこれかぁ?」
背の高い男――安井が挑発気味に言いながらボールを椅子代わりにして座る。
サッカーボールはサッカー選手にとって大事な物だ。瑞貴も選手でないとはいえ、サッカーを愛するのでその行為には眉を顰める。
「あれ? 雷門中じゃねぇの。安井さん、部員の全然いねぇ弱小サッカー部ですよ」
背の低い男――臼井が円堂を雷門中の生徒だとわかると、バカにした口調で安井に伝えた。安井はそれを聞くと面白そうに笑う。
「くだらねぇ。ガキ相手にタマ蹴りか?」
ヒャヒャヒャと笑う男たち。――さすがに我慢ができなかった。
「ちょっと! そんな言い方ないじゃないですか!?」
「「「「「!?」」」」」
突然発せられた声に全員驚いたように瑞貴に目を向けた。瑞貴はあとのことも考えずにグラウンドに下りる。
「ボールがあなた方に当たりそうなことを彼は謝りました。今度はあなたたちが彼に侮辱したこと、足蹴りしたことを謝るべきです。――今すぐ彼に謝ってください」
「「!」」
瑞貴がそう言うと円堂や秋は驚いているが、安井は少し面食らったあと、「へぇ」と言って瑞貴をジロジロと見る。ハッキリ言って気持ち悪い。
「なかなか可愛いじゃねぇか。なぁ彼女、俺たちと遊ばねぇ?」
「私の用件が先です。それに謝ってきた彼に足蹴りをするとは何事ですか! ふざけるのも大概にしてください!」
その言葉に円堂は目を見開く。瑞貴の態度が気に入らなかったのか、臼井は安井に言う。
「安井さん、お手本見せてやっちゃどうです?」
「いいねぇ」
安井は臼井の言葉にニヤニヤしながら立ち上がる。
「やってやろうじゃねぇの。ペッ」
「「「!」」」
安井はボールに唾を吐く。その行為に瑞貴も円堂も豪炎寺も目を見開き、眉を寄せた。
「あ~らよ、っと!」
ボールを蹴った衝撃で安井は倒れる。素人でコントロールはなってないが自分たちより年上で男なので威力はある。そのボールはそのまままこに向かっていく。
「危ない!」
瑞貴が叫ぶのと同時に豪炎寺が現れる。豪炎寺は跳び上がってボールを安井の顔面に蹴り返して、まこの前に着地する。しかし次にそのボールは瑞貴に向かってきた。
「よけて!」
「なっ!」
「ふっ!」
秋の声や、豪炎寺がしまった、というような顔をしているが、瑞貴はそのままボールを「安井さん!」と叫んでいる臼井の顔面に向かって蹴り返した。
円堂は二人のシュートを見て唖然としていた。豪炎寺も瑞貴のシュートは驚いていた。臼井はダメージによろけながらも、瑞貴と豪炎寺を見て叫ぶ。
「て、てめぇら!」
「彼に謝らなかった罰と、女の子にボールをぶつけようとした罰です」
「こ、この女ぁ!」
平然と言う瑞貴の言葉に臼井は肩を震わせながら威勢よく睨みつけて瑞貴の腕をつかむ。瑞貴は振り払おうとすると突然その手の上に別の手が重なる。
「その手を離せ」
「ヒッ……! 覚えていろよー!」
しかし臼井より何倍にも殺気を含んだ視線を出す豪炎寺は、瑞貴の腕を掴む臼井の手を捻り上げて突き飛ばすと、情けない声を上げて走り去って行った。
「ありがとうございます」
「いや……。腕、大丈夫か?」
豪炎寺が心配そうに瑞貴に声をかける。幸いそんなに腫れてはいないし軽く回しても痛くも何ともないので瑞貴は「大丈夫です」と言って笑いかける。すると豪炎寺は頬が少し朱に染めて顔を背けた。
「ありがとう!」
まこがお礼を言うと豪炎寺は我に返り、まこに微笑んでそのまま立ち去ろうと踵を返したので、瑞貴も帰ろうとする。が――。
「待ってくれ!」
突然呼び止められたので二人は足を止めて瑞貴だけ振り返る。案の定、円堂がボールを持ってキラキラした目で見ていた。