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記事一覧

  • 初めの1歩

    20230328(火)22:00
    「コレはシセルくんの分。コッチはキミの分の弁当だ。ハラが減ったら食べてくれ」
    「ありがたいが……どちらも多くないか?」
    「旅ってのは、キモチも胃袋も大きくさせるものだぞ。いくら持っていてもソンはないな」
    「そんなモンか…。それじゃあ、ありがたくいただいておくよ、ジョード刑事」
    「ああ。それと、頼まれていたシセルくんの折りたたみ式キャリーだ」
    「助かるよ。《今》のオレはそんなベンリなモノは持っていないからな」
    と、ジョードからヨミエルへ黒く四角い、メッシュ状のキャリーケースが手渡される。右手には弁当、左手は真っ赤なスーツケース。その上にシセルの家となるキャリーをヨミエルがくくり付けた。
    「なかなかの大荷物だな、ヨミエル」
    「そうだな。《大冒険》の始まりってカンジだろう?」
    足元でシッポを立て、荷物を点検していたシセルからの“コア”を通した呼びかけに、ヨミエルはニヤリと笑って応える。
    (まずは第一歩、というところか)
    たくさんの旅行雑誌を読み、行き先を決めたのはヨミエルだ。きっと、未知のモノに出会えるだろう。シセルは胸を高鳴らせると、勢いを付けてヨミエルの肩に飛び乗り、そこからするりとキャリーの中に潜り込んだ。
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    2人旅

  • 小さい頃の思い出は

    20230327(月)21:42
    「シセルさん、聞いてくださいッ!実はボク、兄弟がいたんですッ」
    「それは…おどろかないな(小犬クンにいるのならば、この私にもいたのかもしれない)」
    「あれそうですか。じゃあアレですか?とても仲がよかったとか」
    そう言うと、ミサイルは耳をペタンと寝かせた。どうやら気を使ってくれているらしい。
    私はカラダにシッポを巻き付け座ると、昔を思い出そうと目を細めた。子ネコの頃のコトは遠いキオクだ。
    「…そこまでは覚えていない。気づいたらひとりぼっちだったからな。きっとどこかで気ままに暮らしているか…私と同じように大切な者と暮らしているのだろう」
    「へぇ、そうなんですか」
    私の答えを聞くと、小犬クンのカオがパッと明るくなる。
    「じゃあ今度、ボクの兄弟を紹介しますね!」
    「ああ。アンタと兄弟たちの共通点を見つけるのも悪くないな」
    キゲンよく飛びかかってくるミサイルをいなして、毛づくろいを始める。運命の出会いは、生まれた瞬間からと言う場合もあるかもしれない。
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  • 見守る

    20230326(日)17:35
    「老いていくキミを見ているだけで、何もできないというのは…もどかしいな」
    「なんだ、そんなコトか。…できているじゃないか」と、シセルに手を差し伸べるヨミエル。
    「え?」と、ヨミエルの手を取るシセル。
    すると、ヨミエルはシセルのアタマを優しく撫でた。
    「オレはな、シセル。キミがオレにしてくれたように見守ってきたつもりだぜ? だから、オレはこうして生きているんだ。……ありがとうな、シセル。本当に感謝しているよ」
    そう言って、笑うヨミエルのカオはとても優しかった。
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  • 冬のヤキイモは

    20230322(水)17:53
    「”おいしいシルクスイート”だって。コレはモチロン買うべきね。シセルもそう思うでしょ?」
    「(台の上を見張る猫の横に、たくさんのイモが並んでいる。私にはどれも同じに見えるが…)あえて聞くのだが、それは“世界を救う”ヤキイモになるのだろうか」
    「そうね。紅あずまのしっとりホクホクな味もいいけど、シルクスイートはねっとりと甘い冬の味を感じさせてくれるわ。こんな世界なんてヨユーで救えちゃうわよ」
    「(ココロなしか、店番を任されている猫氏の表情が柔らかくなったな。トーゼンと言ったトコロだろう)…ココはキミのオススメに乗るとするか。世界を救うヤキイモの腕前、期待しよう」
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  • 10年間をやり直して

    20230316(木)20:18
    「何だか落ち着きが出たんじゃないかい、相棒。何かヒミツがあるのかな」
    「そりゃあ、オマエさんより人生経験があるからだろうな。何事もやってみるコトだよ。中でも脱獄なんてスリルがあって最高だ」
    「あっはっは!ラブリーなジョークだね、相棒。その時はボクが捕まえ直してあげるよ」
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  • 《大冒険》の始まり

    20230313(月)16:31
    「シセル。旅行という《大冒険》に出かけないか?」
    「《大冒険》か…。ワクワクするコトバだな。ヨミエルと一緒なら、きっと。《キオク》に残る旅になるのだろうな」
    「決定だな。オレも、キミと一緒で楽しみだよ」
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    2人旅

  • 写真を撮るよ

    20230311(土)00:54
    シセル「“しゃしん”か…。たしか。こうやってジッとしているのだったな(あとはポーズか。…めったに撮られることはない。ココはサービスをするべきだろう)」

    ミサイル「お。“しゃしん”ですか。任せてくださいッ。よ う こ そ !!」

    リンネ「待って!今イイ感じにキメるから!」

    カノン「お写真だね。カノンのイイ笑顔を撮って欲しいな」

    ジョード「わざわざ撮るのかい?キミの腕が試されるな」

    カバネラ「いいよ。ラブリーに撮ってくれるかな」

    ヨミエル「アンタが撮るのか?…いいぜ。カッコよく撮ってくれよ」
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  • ひな祭りとひな人形

    20230311(土)00:54
    「今日は《ひな祭り》ですって。ボクたち、ナニかもらえますかねッ」
    「いや。《ひな祭り》はそういうモノではないらしい。ひな人形を飾り、レディたちの健やかな成長と健康を願う日…だそうだ」
    「へえ。そうなんですね。元気なカノン様やリンネ様と、ずっと一緒に過ごせるようになるんですか。ステキなお祭りですねッ」
    「さらに、あのひな人形氏に自身の“ケガレ”をうつして“厄”を払う風習もあるらしい。アンタの《トリカエ》のようなチカラだな」
    「なるほど!ボク、今日はずっとリンネ様とカノン様の側にいますね!“ケガレ”をトリカエてやりますともッ」
    「(つまり。レディたちにとって、ミサイルが《ひな人形》になるのだな)…そうしてやるといい。アンタがホエれば、“厄”も大急ぎで逃げていくだろう」
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  • 黒猫神経衰弱

    20230311(土)00:53
    「コレだけ黒猫がいっぱいいると、どのコがシセルだかわからないね」
    「いや、カンタンなコトさ。コイツがシセルだよ」
    「え」
    「リンネ刑事の足元にいる黒猫は友達だな。シセルとよく一緒にいる」
    「え」
    「ちなみにアイツはその猫の兄弟だ」
    「え。え」
    (すべて正解…だな。さすがヨミエルだ)
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  • ヒミツのランデブー

    20230311(土)00:52
    「シセル。ギターの演奏の仕方なんて、一体どこで習ったんだ?」
    「…以前。キミがノドを枯らして歌い、情熱的にギターをかき鳴らしたコトがあっただろう。その時に覚えたのだ」
    「歌…?…ああ。《機密のランデブー》か。…たしかに。あの時は何度も練習したな。シセルにとってはメーワクだったかな?」
    「いや。何度も聴いたおカゲで、キミの歌にかける“想い”を知るコトができた。今度はゼヒ。静かな音楽で、静かな“想い”を聴きたいのだが…どうだろうか」
    「リクエストときたか…。いいぜ。いくらでも聴かせてやるよ」
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  • ミカンリンゴバナナ

    20230311(土)00:51
    「今日、用があってミカンを買いに行ったの。そうしたら、“バナナ“に貼ってあったシールに“リンゴ”と書いてあったのよ」
    「(どうやらウッカリな店員さんがいたようだ)それで、キミの目的は果たせたのかな?」
    「…ちょっと、イミが理解できなくて。お値段もソコソコだったし、買うのを諦めたの。欲しかったなあ…“リンゴ”」
    「(文字が読めても“読めない”…。そんなコトがあるのだな)」
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  • ぬいぐるみに嫉妬する

    20230311(土)00:50
    「かかか、カノン様ッ。ぼ、ぼぼぼボクという存在がありながらッ。そんなヤツと一緒に寝ちまうんですかッ!?」
    「落ち着け、ミサイル。タダのぬいぐるみだ」
    「その“タダ”なヤツに負けているのですよッ!シセルさんはくやしくないのですかッ?!」
    「…まあ。気になる存在ではあるが…(一緒に寝るのにはジャマだな。アヤツって落としてしまおうか)」
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  • 旅先で死んだ女刑事さんの“死”をなくす

    20230311(土)00:49
    「あ。来てくれたんだね」
    「言ったハズだ。かならず、キミを“死”から救う。…どんなに離れた場所で、キミが死のうとも、な」
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  • 更新前も後も同じ場所に立っている

    20230311(土)00:48
    「オマエさんは、何でまた《警部》になったんだい?」
    「“また”?ここに立ったのは初めてだよ、相棒」
    「……そうだったな。で、なぜなんだ?」
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  • “シセル”というオトコについて考える

    20230311(土)00:46
    「“シセル”ってダレだろうな、カバネラ警部」
    「それはこっちのセリフだろ?相棒。…“脱獄”を手助けしたおトモダチの名前かな?」
    「…オマエさんの想像に任せるよ」
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  • ウッカリ寝言に答える後輩クン

    20230311(土)00:45
    「ちょっと、キミ」
    「なんスか?」
    「うん」
    「…………は?」
    「…うん」
    「……センパイ。寝言なら、ちゃんと寝てから言ってくださいよ。そしたら、オレ。ちゃんと仮眠室に放り投げておきますから」
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  • 日向ぼっこ

    20230311(土)00:43
    ポカポカと暖かい日差しが差し込む。
    パソコンの向こうに見えるシッポは、ソトに流れる光を追うようにゆらゆら揺れていて。

    「シセル。キミは一体、なにを見ているんだ?」

    にゃあ、と答える黒猫のキゲンがよさそうだから、おそらく“いいモノ”なのだろう。
    “コトバ”は通じなくとも、それでいい。

    「そうか。よかったな」


    サングラスの下でそっと眼を細めるヨミエルに、もう一度。にゃあ、というコエが返された。
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  • 異動前日の看守室にて

    20230311(土)00:41
    「あ、センパイ。オレは明日から刑事ですから。お疲れさまッス」
    「あああああッ。キミッ。そういうコトは前もって言っておくのが礼儀ですよッ」
    「今言ったッス。つーか上から聞いてなかったんスか?」
    「 凶悪な囚人の出所手続きで忙しくて踊っていました」
    「みんなで鑑賞したアレッスか。ますますキレキレで絶好調でしたね」
    「これからはダレが本官の任務メモを覚えてくれるのですかッ」
    「自分で覚えてくださいよ。ノーミソぐらいお持ちっしょ?」
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  • 恥を知れ

    20230311(土)00:39
    「ベイビイを巻き込むなんて大人げないねえ。必死すぎないかな、ヨミちゃん」
    「アンタこそ、少しは手段を選んだらどうだ?みっともないぜ」
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  • レイトンコラボ。奇跡の紳士と復讐者

    20230311(土)00:38
    「君は“生きている”のかな?“死んでいる”のかな?――もしかして、そこら辺に転がってる《モノ》と同じかい?」

    まっ白な月を背に、奇跡が問う。
    まっ赤なスーツをまとった復讐者は、コタエと同時にアゴを引き。
    瞬間。
    復讐者の狂気をまとった《モノ》たちが、夜空に浮かぶ奇跡へ憎悪を放った。

    「オレは《モノ》じゃない。《アヤツル者》だ」
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  • 警部さんのコートもおどろきの白さに!ヨミエールサイエンスプラス!

    20230311(土)00:36
    「アンタのコートにデカい“シミ”を作ってやるとしようか。コイツはオレとCM会社の《トリヒキ》でもあってね」
    「ゴーカイに垂らしてくれるねえ。“シミ”を取る宣伝じゃないのかい?」
    「安心してくれよ、警部さん。シス司令官がデジタル処理でまっ白にして放送してくれるそうだ」
    「それってさ、実はシミが付いたままだよね?」
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  • 運命更新後、死者のチカラを好意的有効活用するアヤツル者

    20230311(土)00:34
    「……スガタは同じでもさ。キミと相棒じゃ空気がちがうんだよね」
    「それはオレにはどうにもならないなあ……“オマエさん”」
    「…………」
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  • ある夏の日の刑事らとSE

    20230311(土)00:33
    「今日も溶けちゃいそうなぐらい暑いねえ。ヨミちゃんは暑くないの?」
    「…………」
    「スーツ姿は見ているこっちも暑いからな。せめて上着を脱いで腕まくりをしてくれないか?ヨミちゃん」
    「……。アンタら……わざとか?」
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  • 呼んだのは、おまえじゃない

    20230311(土)00:29
    「……シセル」
    ぽつりと落とされたコエに、黒猫がカオを上げる。
    うつむいたままのオトコを見つけ小さく鳴いたが、そのコエに返されることはなかった。
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  • 車イス生活のヨミエルさんと、松葉杖生活のジョードさん

    20230311(土)00:28
    「自分のカラダをアヤツれないのは、案外フベンなモノだな」
    「そうだなあ。だが、生きてるってカンジだろ?」
    「…ああ」
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  • 同じ価値のモノをトリカエる。

    20230311(土)00:17
    「“刑事”ねえ…。あるイミ合ってるんだけど、“警部”って呼んでもらいたいな。ボクとしては、さ」
    「“まっ白 な経歴”にこだわった結果をホメてもらいたい、ってワケかい?」
    「そうだねえ。それと、人質を解放してくれないかな。あの子は関係ないからね」
    「ああ。その代わりといっちゃなんだが… 」

    「ジョード刑事の死刑の執行を要求してもらおうか…カバネラ“警部”殿」

    ※同じ価値のモノをトリカエる。
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