夜を歩く

「そろそろ時間かな?相棒」
「そうだな。シセルくんが教えてくれた通りだ」

チャリリと澄んだ音を響かせ、ジョードの手のひらから金色のクサリが真っ直ぐにこぼれる。
月明かりに照らされて輝く懐中時計は、ちょっと前にボクがプレゼントしたものなんだけど。こうしてつかってくれてるのを見ると、なんか感動しちゃうなあ。

「オマエさんが選ぶものはどれも役に立つからな。信用してるよ」
「そいつはありがたいねえ」

そんなボクの視線に気づいたのか、ジョードはクサリと同じ色のフタをパチリと閉めて軽く掲げて見せた。
”ホメコトバはクチに出す”ってのが相棒の方針だから、コレはスナオに受け取っていいだろうね。

「それにしても…まさかオマエさんから時計をもらうとはな」
「ビックリしたかい?」
「ウッカリ死んじまうかと思ったよ」

ただ。クチに出さない隠しゴトが増えた。
初めて見たハズの懐中時計を懐かしそうに眺めるワケも。ついさっき黒猫クンと本当に“会話”してるように見えたワケも。
何かゼッタイにヒミツがある。

「じゃあ、ハンニンくんをラブリーに捕まえてやろうか。ジョード」
「ああ。任せてくれ。カバネラ」

キミが話してくれないのなら、自力でたどり着くまでさ。
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