夜を歩く

「ううん…。おねえちゃん、どこに行っちゃったのかなあ…」

リンネ様の部屋の外。まん丸いお月さまが照らす広い世界で、カノン様はとてもコマっていらっしゃいました。
なんでも、リンネ様の“忘れモノ”を届けようとセマい部屋を飛び出したのに、見つけたのはノンキにおサンポ中のシセルさんだけだったとか。
そのシセルさんは、ウロウロ歩いて考えこむカノン様を見上げ耳をパタパタ動かすと、ボクに向かって「ジッとしていられないのはアンタと同じだな」って言っちゃってくれました。
や。こればっかりはどうも。キョーミのあるモノを見つけたら、走り出さずにはいられませんッ。

「キッチンチキンにもいなかったし…。ね。ミサイルはわかる?」

おおおおおッ。きたッ!きましたねッ!カノン様のお役に立とうとがむしゃらに追いかけたかいがありました!こんな時こそビンカンな鼻の出番ですッ。シッポを元気よくはね上げてほえると、カノン様はボクに微笑んでくれました。

「あんたは見つけるの得意だもんね。頼りにしちゃおうかな」

お任せくださいッ!カベとカベのスキマから、暗くてさびしい海の底まで。カノン様が一緒なら、どこまでも行きますともッ!
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