長い夜が明けた後の話(運命更新後)

小さなレディの手のひらで、小さな花が次々と編まれていく。それはやがて冠のカタチになり、色とりどりに飾り付けられる。私が興味深く眺めて待っていると、よしと小さなレディは満足げに頷いて立ち上がった。

「はい、シセルちゃん。プレゼントだよ」

そう言うと、小さなレディは私のアタマの上にそっと花の冠を乗せた。私は目を瞬かせ、落とさないように慎重に座り直す。ちょうどいい具合に耳に引っかかり、私を飾りつける位置に収まったようだ。普段は何も乗っていない方がいいが、こういうのも悪くない。

「いいんじゃない?似合っているよ、シセル」

手のひらほどのコンパクトなカメラを構えたリンネが、私にレンズという大きな目を向けて、シャッターを押す。その横でヨミエルも、リンネより立派で本格的なカメラのシャッターを切っていた。

「たまにはこういう可愛らしいモンもいいな。とても絵になる」
「そうでしょ。カノン、お花の冠作るの練習したんだよ」

ボクのコトも見てください!とばかりに走り回る子犬くんを捕まえ膝の上に乗せると、カノン嬢はもう一つ冠を編み始めた。その様子をパシャリとリンネがカメラに収める。ヨミエルは辺りを見渡し2、3歩離れ、この花畑全体が収まるようにカメラを構えると、「撮るぜ」とヒトコト告げ、春風に吹かれるワレワレを今日という記念に残した。その日はとても暖かく、よい散歩日和だった。
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