長い夜が明けた後の話(運命更新後)

冬のイモは世界を救う。
たしか、死の運命を更新する前にカレが言っていたコトバだ。
冷静な刑事さんや、勇敢なポメラニアンの熱い意欲も添えられて、キョーミを持つには十分だったのだが。

『たくさんのイモに、たくさんの落ち葉……。さらにココまで熱く燃やされると………食べるのにはカクゴがいりそうだな』
「これから捕まえるハンニンに負けないようにするには、まだまだ足りないぐらいよ。それに、いざという時にあなたがアヤツれないと」

寒そうな風が吹く公園で気合いを入れる女刑事さんの手には、すでにアツアツでホクホクなイモがシッカリとつかまれていた。
暖かな色で燃えるたき火にスルドい目を向けると、地面に置いていた棒を突き刺し、食欲をそそる焦げ目になったエモノに満足する。
イモへの情熱と、執着心。
幼い頃の熱意というのは、そうそう変わらないらしい。

『アツアツのイモでツブされるハメになるハンニン氏には悪いが……。キミが食べたいだけではないだろうか』
「よくわかったわね。冬のヤキイモは正義よ。それに……なぜだかコレを食べてると、守られているような気がするの」
『……冬のイモは世界を救う。きっと、そういうコトだろう』
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