長い夜が明けた後の話(運命更新後)

テーブルの上へ「お待たせしました」という言葉と共に、透明なグラスがトンと置かれる。
中で層になっているのは下からカリカリのコーンフレーク、真っ赤なイチゴジャム、白く柔らかい生クリーム。隙間にカットしたイチゴを挟み、甘さの香るバニラを重ね、1番上にスライスされたイチゴが豪華なバラのように飾られている、いわゆる季節限定のイチゴパフェである。
それを満面の笑みで受け取ったリンネは、正面でホットコーヒーを受け取ったリンジューにお礼を言った。

「ありがとうございます、リンジューさん。なんか気を使ってもらったみたいで」
「いいって。この間のハンニン逮捕はリンネの手柄だしな。ゴーカイな食べっぷりをまた眺めてみたくなったと思ってくれればいい」
「じゃあ、おコトバに甘えますね。いただきます!」

パンと手を合わせると、細長いスプーンを手に取る。まずはひとくちとイチゴを掬い、パクリとクチの中へ運ぶ。甘くみずみずしい果汁がクチの中に広がり、リンネは思わず頬を押さえた。ほどよく甘く冷たいバニラアイスとの相性もバツグンだ。

「ん〜。やっぱり春はイチゴよね。この味、サイコー!」
「そう言ってもらえると、オレとしてもオゴリがいがあるよ」

思わずこぼれたリンネの感想に、リンジューの口元が弧を描く。ヤケドに注意しつつぐいとコーヒーをあおると、止まることなくスプーンを差し込むリンネの食べっぷりを、頬杖をついて眺めるのだった。
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