夜明け前の話(運命更新前)

カラダの中で憎らしいほどの存在感を放つインセキ。
なんの断りもなく入ってきて、オレの人生を終わらせたそのカタマリ。
普段はイヤでイヤで仕方ない代物だが、歯がむず痒くて仕方がないらしい相棒が力いっぱい咬んできても痛くないというのは、あるイミ都合がいい。

「シセル。もっと強く咬んでもいいんだぜ」

投げかけたコトバに青色がかった瞳がシンパイそうにオレを見つめ、小さなキバが手からゆっくりとハズれていく。
何をするのかと眺めていたら、さっきまで咬んでいたトコロを今度はピンク色の舌で舐めてきた。

(この感覚もわからないのか…)
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