もう少しだけ…【沢北栄治】
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『ごめん!忘れ物しちゃったから先行ってて!』
私は友達と移動教室へ向かっていると、忘れ物を思い出した。
急いで教室に戻る途中で、どんっと大きな何かにぶつかった。
『痛った…』
「大丈夫…?」
尻もちをついて、前を見ると山王工業高校で一番有名人と言っても差し支えない生徒でありバスケ部員でありクラスメイトでもある、沢北栄治その人だった。
『うわっ!さ、沢北栄治!ご…ごめん!』
「お、俺の方こそ、ごめん…!って、何でフルネーム?」
くくっと、笑った顔は、バスケしてる時とは違って子どもっぽい。
そんな表情も、いいなぁ…なんて、尻もちを付いたまま栄治くんを見上げた。
1年生も2年生も偶然同じクラスになった栄治くんとは、友達って言ってもいい関係だと思う。
だけど、私は密かに恋心抱いてるんだ。
山王は工業高校だから女子は少ないけれど、バスケで有名な栄治くんのことを好きな女の子は全国にたくさんいるだろうから、友達としてそばにいられるだけでも十分だって思わなくちゃいけないよね。
授業中はよく居眠りをして怒られてることや、いつも朝のホームルームが始まる前にメロンパン食べてること、英語はリスニングや喋ることだけ得意でテストは赤点ギリギリ、そんなことを知ってるのはクラスメイトの特権だ。
クラスメイトのただの友達じゃなくてもう少しだけ、栄治くんと近づきたい…そんな願いが神様に届いたのかなって思うくらいのタイミングで、ぶつかった。
栄治くんは、私に手を伸ばして、起き上がらせてくれようとしたけれど、途中で固まって、手で顔を覆ってしまった。
「ちょっ…待って…」
『どうしたの?』
「パ…パンツ…」
栄治くんは、顔を真っ赤にして訴えてきたので慌ててスカートを見ると、見事にめくれあがって、パンツが丸見えになっていた。
『ごご、ごめん!!』
私は慌ててスカートを直して、栄治くんに謝った。
ぶつかってラッキーなんて思ったバチが当たっちゃのかな…今日はそんなにお気に入りのパンツでもないし、何よりも好きな男の子にパンツを見られたことに動揺してしまう。
「俺こそ、ごめん!目ぇ、つぶってるからさ、立てる?」
『あ、ありがと…』
左手で目を覆って、反対の手を差し出してくれた栄治くんの手を慌てて掴んで立ち上がろうとしたけれど、上手くいかなくて、力強く栄治くんの手を引っ張ってしまったようだ。
「うおっ!」
栄治くんはよろけて私に覆いかぶさってきた。
『きゃっ!』
栄治くんが目を覆っていた手は見事、私の胸を鷲掴みにしてきてビックリしてしまう。
偶然には出来すぎた事態に動揺して、お互いに固まってしまう。
「ごめん、責任取るから!」
顔を真っ赤にした栄治くんは、とんでもないことを口走っている。
『え、栄治くん?』
「お、俺…何言ってんだ?ななみちゃんのこと、えっと…その…」
おろおろとしながらも、手は胸に置かれたままで…
『えっと…栄治くん、手、ちょっと恥ずかしい…かも…』
「うおっ!?…ちょ、おっぱい…ごめん!」
栄治くんは、手を離してお尻を付けたままずるずると後ろに下がった。
私も栄治くんに胸を触られて、その上責任取るなんていう言葉にも動揺して、立ち上がれないでその場に座り込んでいた。
心臓がどきどきして、顔もかぁっと熱いから、私もきっと栄治くんみたいに真っ赤な顔をしてるんだろうと思う。
お互いどうしていいか分からなくって、俯いたままでいると、
「ななみー!もうすぐ授業、始まるよ!」
友達が私のことを心配して見に来てくれたようだ。
「あれ?沢北君も一緒?」
『まあ…』「お、おう…」
「…もしかして、やっと告白できた?」
友達は私の気持ちを知ってるからって、とんでもないことを言ってくる。
「告白…」
「あれ?違った!?…ごめん!」
慌てて謝ったって、もう遅い。
私の気持ちに気付かれたら、栄治くんと友達でいられなくなっちゃうじゃん…
「もしかして…ななみちゃんも、俺のこと…」
栄治くんは何か言っているようだが、そんなの今の私には関係ない。
どうせ私が栄治くんを好きなことばれちゃったんだし、友達でいられなくなるなら、最初で最後だ。
意を決して、栄治くんの方を見つめた。
「好きだ」『好き…』
同時に被った声にビックリして栄治くんの顔を見れば、栄治くんも驚いたようなぽかんとあいたまぬけな顔をしている。
しばらく見つめあった後で、ふふふっとお互いに笑みがこぼれる。
「やっとくっついた……おめでとう!って授業!遅れるって伝えとくから、二人で教室行って忘れ物とってきなよ!くれぐれも遅くならないようにね!」
友達の声に私と栄治くんは急いで立ち上がった。
どちらからともなく手をつないで、教室に向かって歩き出す。
つないだ栄治くんの左手は、さっき私のおっぱい触った手だ…なんてバカなことを考えたことは内緒にすることにしよう。
栄治くんの好きの言葉より、責任取るからの言葉を思い出して、私はまた顔を赤くするのだった。
***
2021.10.27.
Thank you for ななみsama request!
こぼれ話→もう少しだけ…【沢北栄治】
私は友達と移動教室へ向かっていると、忘れ物を思い出した。
急いで教室に戻る途中で、どんっと大きな何かにぶつかった。
『痛った…』
「大丈夫…?」
尻もちをついて、前を見ると山王工業高校で一番有名人と言っても差し支えない生徒でありバスケ部員でありクラスメイトでもある、沢北栄治その人だった。
『うわっ!さ、沢北栄治!ご…ごめん!』
「お、俺の方こそ、ごめん…!って、何でフルネーム?」
くくっと、笑った顔は、バスケしてる時とは違って子どもっぽい。
そんな表情も、いいなぁ…なんて、尻もちを付いたまま栄治くんを見上げた。
1年生も2年生も偶然同じクラスになった栄治くんとは、友達って言ってもいい関係だと思う。
だけど、私は密かに恋心抱いてるんだ。
山王は工業高校だから女子は少ないけれど、バスケで有名な栄治くんのことを好きな女の子は全国にたくさんいるだろうから、友達としてそばにいられるだけでも十分だって思わなくちゃいけないよね。
授業中はよく居眠りをして怒られてることや、いつも朝のホームルームが始まる前にメロンパン食べてること、英語はリスニングや喋ることだけ得意でテストは赤点ギリギリ、そんなことを知ってるのはクラスメイトの特権だ。
クラスメイトのただの友達じゃなくてもう少しだけ、栄治くんと近づきたい…そんな願いが神様に届いたのかなって思うくらいのタイミングで、ぶつかった。
栄治くんは、私に手を伸ばして、起き上がらせてくれようとしたけれど、途中で固まって、手で顔を覆ってしまった。
「ちょっ…待って…」
『どうしたの?』
「パ…パンツ…」
栄治くんは、顔を真っ赤にして訴えてきたので慌ててスカートを見ると、見事にめくれあがって、パンツが丸見えになっていた。
『ごご、ごめん!!』
私は慌ててスカートを直して、栄治くんに謝った。
ぶつかってラッキーなんて思ったバチが当たっちゃのかな…今日はそんなにお気に入りのパンツでもないし、何よりも好きな男の子にパンツを見られたことに動揺してしまう。
「俺こそ、ごめん!目ぇ、つぶってるからさ、立てる?」
『あ、ありがと…』
左手で目を覆って、反対の手を差し出してくれた栄治くんの手を慌てて掴んで立ち上がろうとしたけれど、上手くいかなくて、力強く栄治くんの手を引っ張ってしまったようだ。
「うおっ!」
栄治くんはよろけて私に覆いかぶさってきた。
『きゃっ!』
栄治くんが目を覆っていた手は見事、私の胸を鷲掴みにしてきてビックリしてしまう。
偶然には出来すぎた事態に動揺して、お互いに固まってしまう。
「ごめん、責任取るから!」
顔を真っ赤にした栄治くんは、とんでもないことを口走っている。
『え、栄治くん?』
「お、俺…何言ってんだ?ななみちゃんのこと、えっと…その…」
おろおろとしながらも、手は胸に置かれたままで…
『えっと…栄治くん、手、ちょっと恥ずかしい…かも…』
「うおっ!?…ちょ、おっぱい…ごめん!」
栄治くんは、手を離してお尻を付けたままずるずると後ろに下がった。
私も栄治くんに胸を触られて、その上責任取るなんていう言葉にも動揺して、立ち上がれないでその場に座り込んでいた。
心臓がどきどきして、顔もかぁっと熱いから、私もきっと栄治くんみたいに真っ赤な顔をしてるんだろうと思う。
お互いどうしていいか分からなくって、俯いたままでいると、
「ななみー!もうすぐ授業、始まるよ!」
友達が私のことを心配して見に来てくれたようだ。
「あれ?沢北君も一緒?」
『まあ…』「お、おう…」
「…もしかして、やっと告白できた?」
友達は私の気持ちを知ってるからって、とんでもないことを言ってくる。
「告白…」
「あれ?違った!?…ごめん!」
慌てて謝ったって、もう遅い。
私の気持ちに気付かれたら、栄治くんと友達でいられなくなっちゃうじゃん…
「もしかして…ななみちゃんも、俺のこと…」
栄治くんは何か言っているようだが、そんなの今の私には関係ない。
どうせ私が栄治くんを好きなことばれちゃったんだし、友達でいられなくなるなら、最初で最後だ。
意を決して、栄治くんの方を見つめた。
「好きだ」『好き…』
同時に被った声にビックリして栄治くんの顔を見れば、栄治くんも驚いたようなぽかんとあいたまぬけな顔をしている。
しばらく見つめあった後で、ふふふっとお互いに笑みがこぼれる。
「やっとくっついた……おめでとう!って授業!遅れるって伝えとくから、二人で教室行って忘れ物とってきなよ!くれぐれも遅くならないようにね!」
友達の声に私と栄治くんは急いで立ち上がった。
どちらからともなく手をつないで、教室に向かって歩き出す。
つないだ栄治くんの左手は、さっき私のおっぱい触った手だ…なんてバカなことを考えたことは内緒にすることにしよう。
栄治くんの好きの言葉より、責任取るからの言葉を思い出して、私はまた顔を赤くするのだった。
***
2021.10.27.
Thank you for ななみsama request!
こぼれ話→もう少しだけ…【沢北栄治】
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