この恋の結末は…【三井寿】
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ガタンっ!
「うおっ!」『きゃっ!』
ぐらっと揺れて、ガタンと大きな音を立ててエレベーターは止まってしまった。
エレベーターの中には俺とひなの二人きり。
非常灯が付いたものの、薄暗い。
「大丈夫か?」
『三井くん、大丈夫だよ』
久しぶりに会ったひなの口調は昔と変わらず冷静だが、表情はこわばっている。
ホテルで行われた湘北高校バスケ部のOB懇親会。
ひなとは同級生で、バスケ部のマネージャーとして3年間…とは言ってもおれはグレて2年くらいはバスケから離れていたが…湘北のバスケ部を支えてくれた。
三年生の時、初めてインターハイ出場した後も自身の受験があるにもかかわらず、俺が残るならと冬の選抜までマネージャーとして残ってくれた。
好きだと自覚したのはいつ頃だっただろう…
もしかしたら、出会った時にはもう惹かれていたのかもしれない。
でも、俺は最後まで自分の恋心に素直になることは出来なかった。
いや、全国大会優勝したら、告白の一つでも出来たかもしれないが、冬の選抜は全国を逃しちまったし、卒業式でもバスケ部の仲間という関係が壊れるのが怖かった。
べつべつの進路に進んでも、同窓会なんかで年に1,2回は顔を合わせているが、二人っきりでゆっくり話すチャンスなんてなかったし、結局、自分の思いを伝えることも、ひなが俺のことをどう思っているかも聞く機会もないまま年を重ねた。
こんな大人になっても、まだ、昔の恋心を引きずってるなんて…だせぇのかも…なんて自虐的にすらなることもあった。
まさか、偶然二人きりで載ったエレベーターで、久しぶりだと世間話しようとしたところで、止まることになるなんて思っても見なかった。
非常用の呼び出しボタンを押しても中々反応はない。
『故障かな…』
不安そうなひなの顔をみて、俺は、安心させようと冗談を言ってみる。
「もしこのまま出れなくてもよ、ひなと二人きりで、人生終わりっつーのも悪くねーかもな!」
『……』
下を向いて押し黙ってしまったひなに俺の言葉がまずかったことに気づいて焦る。
「悪ぃ…」
謝ってみたものの、エレベーターの中に二人きりで、いつ出られるかもわからないこんな気まずい状況にどうしていいか分からない。
カチカチと何度も非常ボタンを押してみても反応はない。
「ちくしょう…」
俺が呟くと、ふふっと口を押さえるひなが目に入る。
「…んだよ?」
『本当に変わらないね、三井くんは!』
「おまえ、この状況楽しんでるのかよ…!?」
『そんなわけないじゃん…不安だけど、それ以上に三井くんが不安で焦ってるし、二人きりなんて、何だかんだで初めてだし…三井くん、あんなこと言うからビックリしちゃって…なんか笑えてきちゃって…』
「俺、何か変なこと言ったか?」
『私と二人きりで人生終わりでも悪くないってやつだよ。…あれって、どういう意味?』
「どういうって…」
俺は、顎の傷に手をやってポリポリと掻いてから、意を決して伝える。
「ずっと好きだった」
『えっ…?』
「ひなのこと、ずっと好きだったんだよ!」
心の中にずっとしまい込んでいた言葉は、人生最後かもしれないと思えば、すんなりと口から出てきた。
俺の言葉に目を丸くしたひなは、
『もっと…早く言ってよね…』
そうつぶやいて、目を伏せた。
そうか…今、彼氏でもいるのか…俺は肩を落とした。
ひなは、そんな俺の気持ちを見透かしたように首を振って微笑んだ。
『私も、ずっと好きだった。三井くんがバスケ部に入った時から…ずっと…』
「まじか…」
ずっと同じ気持ちでいたことに頬を緩めたところで、
ガタンっ!
エレベーターが揺れたので、ひなをギュっと抱きしめた。
こんな状況で、人生終わっちまうなんて…
最後にキスだけでも…
そう思って、必死にひなの顔をとらえて顔をよせる。
『三井くん…?ちょっと…』
焦ったようなひなの声を気に留めることもなく、俺は唇を奪った…
と同時にチーンっとエレベーターの扉が開いた。
「やべっ…」
そうつぶやいた時には、バスケ部の奴らがエレベーターの前に集まって心配そうに俺たちを見つめていた。
ガタンと揺れたのは、エレベーターが正常に動き出したからなのに、俺はこのまま落ちるんだと早とちりしてしまったようだ。
ひなを抱きしめたまま、俺は固まった 。
「やっとくっついたんだな…」
と木暮の呆れた声と、やれやれとため息をつく赤木。
「三井サン…こういうことは自宅でやってくださいよ」
宮城のからかうような声と、嬉しそうに頷く彩子。
「ミッチー、結婚式はいつだ?」
桜木も嬉々として聞いてくるし、流川も珍しく目を見開いて俺を見ている。
安西先生も嬉しそうに微笑んでるのを見て、俺は恥ずかしさと出られた安心感と何だかよく分からない感情に支配されて、叫んだ。
「俺は、俺は決めたぞ…!来年までにひなと結婚する!」
『えぇ!?』
ひなの驚きの声と祝福の拍手がその場で巻き起こった。
俺たちの結婚式が無事行われたかどうかは、想像にお任せするぜ。
***
2021.10.18.
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こぼれ話→この恋の結末は…【三井寿】
「うおっ!」『きゃっ!』
ぐらっと揺れて、ガタンと大きな音を立ててエレベーターは止まってしまった。
エレベーターの中には俺とひなの二人きり。
非常灯が付いたものの、薄暗い。
「大丈夫か?」
『三井くん、大丈夫だよ』
久しぶりに会ったひなの口調は昔と変わらず冷静だが、表情はこわばっている。
ホテルで行われた湘北高校バスケ部のOB懇親会。
ひなとは同級生で、バスケ部のマネージャーとして3年間…とは言ってもおれはグレて2年くらいはバスケから離れていたが…湘北のバスケ部を支えてくれた。
三年生の時、初めてインターハイ出場した後も自身の受験があるにもかかわらず、俺が残るならと冬の選抜までマネージャーとして残ってくれた。
好きだと自覚したのはいつ頃だっただろう…
もしかしたら、出会った時にはもう惹かれていたのかもしれない。
でも、俺は最後まで自分の恋心に素直になることは出来なかった。
いや、全国大会優勝したら、告白の一つでも出来たかもしれないが、冬の選抜は全国を逃しちまったし、卒業式でもバスケ部の仲間という関係が壊れるのが怖かった。
べつべつの進路に進んでも、同窓会なんかで年に1,2回は顔を合わせているが、二人っきりでゆっくり話すチャンスなんてなかったし、結局、自分の思いを伝えることも、ひなが俺のことをどう思っているかも聞く機会もないまま年を重ねた。
こんな大人になっても、まだ、昔の恋心を引きずってるなんて…だせぇのかも…なんて自虐的にすらなることもあった。
まさか、偶然二人きりで載ったエレベーターで、久しぶりだと世間話しようとしたところで、止まることになるなんて思っても見なかった。
非常用の呼び出しボタンを押しても中々反応はない。
『故障かな…』
不安そうなひなの顔をみて、俺は、安心させようと冗談を言ってみる。
「もしこのまま出れなくてもよ、ひなと二人きりで、人生終わりっつーのも悪くねーかもな!」
『……』
下を向いて押し黙ってしまったひなに俺の言葉がまずかったことに気づいて焦る。
「悪ぃ…」
謝ってみたものの、エレベーターの中に二人きりで、いつ出られるかもわからないこんな気まずい状況にどうしていいか分からない。
カチカチと何度も非常ボタンを押してみても反応はない。
「ちくしょう…」
俺が呟くと、ふふっと口を押さえるひなが目に入る。
「…んだよ?」
『本当に変わらないね、三井くんは!』
「おまえ、この状況楽しんでるのかよ…!?」
『そんなわけないじゃん…不安だけど、それ以上に三井くんが不安で焦ってるし、二人きりなんて、何だかんだで初めてだし…三井くん、あんなこと言うからビックリしちゃって…なんか笑えてきちゃって…』
「俺、何か変なこと言ったか?」
『私と二人きりで人生終わりでも悪くないってやつだよ。…あれって、どういう意味?』
「どういうって…」
俺は、顎の傷に手をやってポリポリと掻いてから、意を決して伝える。
「ずっと好きだった」
『えっ…?』
「ひなのこと、ずっと好きだったんだよ!」
心の中にずっとしまい込んでいた言葉は、人生最後かもしれないと思えば、すんなりと口から出てきた。
俺の言葉に目を丸くしたひなは、
『もっと…早く言ってよね…』
そうつぶやいて、目を伏せた。
そうか…今、彼氏でもいるのか…俺は肩を落とした。
ひなは、そんな俺の気持ちを見透かしたように首を振って微笑んだ。
『私も、ずっと好きだった。三井くんがバスケ部に入った時から…ずっと…』
「まじか…」
ずっと同じ気持ちでいたことに頬を緩めたところで、
ガタンっ!
エレベーターが揺れたので、ひなをギュっと抱きしめた。
こんな状況で、人生終わっちまうなんて…
最後にキスだけでも…
そう思って、必死にひなの顔をとらえて顔をよせる。
『三井くん…?ちょっと…』
焦ったようなひなの声を気に留めることもなく、俺は唇を奪った…
と同時にチーンっとエレベーターの扉が開いた。
「やべっ…」
そうつぶやいた時には、バスケ部の奴らがエレベーターの前に集まって心配そうに俺たちを見つめていた。
ガタンと揺れたのは、エレベーターが正常に動き出したからなのに、俺はこのまま落ちるんだと早とちりしてしまったようだ。
ひなを抱きしめたまま、俺は固まった 。
「やっとくっついたんだな…」
と木暮の呆れた声と、やれやれとため息をつく赤木。
「三井サン…こういうことは自宅でやってくださいよ」
宮城のからかうような声と、嬉しそうに頷く彩子。
「ミッチー、結婚式はいつだ?」
桜木も嬉々として聞いてくるし、流川も珍しく目を見開いて俺を見ている。
安西先生も嬉しそうに微笑んでるのを見て、俺は恥ずかしさと出られた安心感と何だかよく分からない感情に支配されて、叫んだ。
「俺は、俺は決めたぞ…!来年までにひなと結婚する!」
『えぇ!?』
ひなの驚きの声と祝福の拍手がその場で巻き起こった。
俺たちの結婚式が無事行われたかどうかは、想像にお任せするぜ。
***
2021.10.18.
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