恋は突然に…【堀田徳男】
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「葉月ちゃん、徳男くんのこと、好き?」
ある朝、突然、友にそんなことを聞かれた私は心臓が飛び出るかと思うほどにびっくりした。
友にも気付かれるくらい、私、徳男くんのこと好きなんだ…
『…分かる?』
「うん、もちろん!とってもお似合いだと思う!」
自分のことのように嬉しそうな友に、徳男くんのこと、好きでいていいんだって自信が持てた。
『ありがと…嬉しい!』
「応援してる!そうだ!もう旗も完成しそうだし…今日の放課後、二人きりで旗づくり出来るように徳男くんのお友達にも言っとくから!」
妙に張り切っている友に押されて、私は、こくりと頷いた。
友は、嬉しそうに徳男くんたちの教室に行ったけれど、私はドキドキしてどうにかなっちゃいそうだった。
徳男くんと二人きりで過ごすなんて…
ドキドキしたまま迎えた放課後。
「葉月さん、今日は、俺たち以外は用事あるみたいっす…」
『そ…そうみたいだね…』
友が気を利かせてくれたとは言えない私は、緊張気味に徳男くんに返事をした。
いつも旗づくりに使っている空き教室には、私と徳男くんだけ。
いつも座っている場所に自然に座ればいいのに、二人きりだし隣の方がいいかな?と座る場所すら戸惑ってしまう。
「どうかしたっすか?」
『ううん!私ももう一針くらい縫わせてもらおっかなって…』
「お願いっす!」
起ち上った徳男くんに促されるように私は席について、ふぅーっと深呼吸した。
「そんなに緊張しなくても、俺がしっかり教えるから大丈夫っす!」
徳男くんはそう言うと私に近づいて、私の前の机に縫いかけの旗を置いて針を渡してくれた。
針を持った手をそっと握って、
「ここから、縫うっす…」
そう言って、重ねた手をそっと動かしてくれる。
ドキドキが止まらない私は、徳男くんにされるがまま一針を縫い終えたと同時に、
「おう!如月、いねえか?」
いきなり教室の扉が開いて、声をかけられた。
徳男くんが慌てて旗を隠して、
「みみみみみ…三っちゃん…!今日、如月さんは用事があるって言ってたぜ!」
「さんきゅ!で…何慌ててんだ?」
「い…いや…」
『三っちゃんには…えっと……関係ないことだよ…』
私たちは、何とか旗のことを知られないよう必死に隠した。
三っちゃんは何か思い出したように、
「…そっか!お前ら、付き合ってんだったっけ?」
『えぇ!?』
「み…三っちゃん!?」
「如月がそんなこと言ってたと思ったんだけど、違ったか…でも、お似合いだと思うぜ!じゃ、邪魔したな!」
三っちゃんはそう言うと、さっさと帰っていった。
はぁ…とため息を一つついて、徳男くんの方を見ると真っ赤な顔で立っていた。
『徳男くん、何とかバレなくて良かったね…』
徳男くんは、三っちゃんが開けっぱなしで行った扉を見つめたまま立ち尽くしている。
『徳男くん?』
声をかけても微動だにしないので、心配になって、徳男くんをつついてみた。
「あ…えっと…あの…三っちゃんが…!」
いきなりの三っちゃんの登場に驚いたのか何なのか分からないけれど、真っ赤な顔で慌てる徳男くんを見て、私は今しかないって思った。
『徳男くん、さっき…三っちゃんが言ってたことだけど…』
「えっ…あ…う……あれ……っ…」
ますます顔が赤くなる徳男くんが面白くて、私の緊張が少しほぐれた。
『私、徳男くんのこと、好きだよ!三っちゃんに言われたからってみたいで、ちょっと悔しいけど…出会った時から、私、堀田徳男くんのことが好きでした!』
徳男くんは今度は目を白黒させて、ますます硬直して、今にも倒れそうな顔をしていた。
でも…ちゃんと、伝えたい!
『だから…付き合ってください!』
私が言い終わると、徳男くんはよろけてその場にうずくまった。
『ご…ごめん!大丈夫?』
私は慌てて駆け寄ると、徳男くんは私を制止して、
「葉月さん…俺…そんな目で葉月さんのこと、見た事ねえから…その…どうしたらいいか…」
どこまでも硬派な徳男くんのことが好きだなって改めて思う。
『だからね…これから、もっと私のこと、知って欲しいなって…』
再び徳男くんに近寄って、私は徳男くんの手に私の手を重ねた。
「や…その…葉月さん…」
『だから、手始めに徳くんって呼ぶから、私のことも麗って呼んで…ね?』
小首をかしげて徳男くんに訴えてみる。
今はまだ、付き合うまではいかなくても、私が徳くんのこと好きだって分かってもらえればそれで十分だ。
何故か絶対惚れさせてやるんだって、闘志みたいなものまで湧き上がってくる。
「えっと…麗…さん…?」
『うん!徳くん、これからもよろしくね!』
ここから、私たちの恋は始まる。
***
「なぁ、友、徳男と葉月って付き合ってるんだよな?」
「えっ?まだ、これから…だよ?」
「まだ、付き合ってねぇんだっけ?さっき、二人でいたからよ、てっきり付き合ってるんだと思って…そう言っちまった…」
「本当に!?もう…余計なこと言っちゃだめだよ!」
「悪ぃ…」
「でも、寿くんの一言で、付き合うことになったら嬉しいかも…」
「だろっ?俺、ナイスアシストだな!」
「もう…調子いいんだから…」
***
2021.5.22. Happy BirthDay to Hisashi Mitsui!!
こぼれ話→恋は突然に…【堀田徳男】
ある朝、突然、友にそんなことを聞かれた私は心臓が飛び出るかと思うほどにびっくりした。
友にも気付かれるくらい、私、徳男くんのこと好きなんだ…
『…分かる?』
「うん、もちろん!とってもお似合いだと思う!」
自分のことのように嬉しそうな友に、徳男くんのこと、好きでいていいんだって自信が持てた。
『ありがと…嬉しい!』
「応援してる!そうだ!もう旗も完成しそうだし…今日の放課後、二人きりで旗づくり出来るように徳男くんのお友達にも言っとくから!」
妙に張り切っている友に押されて、私は、こくりと頷いた。
友は、嬉しそうに徳男くんたちの教室に行ったけれど、私はドキドキしてどうにかなっちゃいそうだった。
徳男くんと二人きりで過ごすなんて…
ドキドキしたまま迎えた放課後。
「葉月さん、今日は、俺たち以外は用事あるみたいっす…」
『そ…そうみたいだね…』
友が気を利かせてくれたとは言えない私は、緊張気味に徳男くんに返事をした。
いつも旗づくりに使っている空き教室には、私と徳男くんだけ。
いつも座っている場所に自然に座ればいいのに、二人きりだし隣の方がいいかな?と座る場所すら戸惑ってしまう。
「どうかしたっすか?」
『ううん!私ももう一針くらい縫わせてもらおっかなって…』
「お願いっす!」
起ち上った徳男くんに促されるように私は席について、ふぅーっと深呼吸した。
「そんなに緊張しなくても、俺がしっかり教えるから大丈夫っす!」
徳男くんはそう言うと私に近づいて、私の前の机に縫いかけの旗を置いて針を渡してくれた。
針を持った手をそっと握って、
「ここから、縫うっす…」
そう言って、重ねた手をそっと動かしてくれる。
ドキドキが止まらない私は、徳男くんにされるがまま一針を縫い終えたと同時に、
「おう!如月、いねえか?」
いきなり教室の扉が開いて、声をかけられた。
徳男くんが慌てて旗を隠して、
「みみみみみ…三っちゃん…!今日、如月さんは用事があるって言ってたぜ!」
「さんきゅ!で…何慌ててんだ?」
「い…いや…」
『三っちゃんには…えっと……関係ないことだよ…』
私たちは、何とか旗のことを知られないよう必死に隠した。
三っちゃんは何か思い出したように、
「…そっか!お前ら、付き合ってんだったっけ?」
『えぇ!?』
「み…三っちゃん!?」
「如月がそんなこと言ってたと思ったんだけど、違ったか…でも、お似合いだと思うぜ!じゃ、邪魔したな!」
三っちゃんはそう言うと、さっさと帰っていった。
はぁ…とため息を一つついて、徳男くんの方を見ると真っ赤な顔で立っていた。
『徳男くん、何とかバレなくて良かったね…』
徳男くんは、三っちゃんが開けっぱなしで行った扉を見つめたまま立ち尽くしている。
『徳男くん?』
声をかけても微動だにしないので、心配になって、徳男くんをつついてみた。
「あ…えっと…あの…三っちゃんが…!」
いきなりの三っちゃんの登場に驚いたのか何なのか分からないけれど、真っ赤な顔で慌てる徳男くんを見て、私は今しかないって思った。
『徳男くん、さっき…三っちゃんが言ってたことだけど…』
「えっ…あ…う……あれ……っ…」
ますます顔が赤くなる徳男くんが面白くて、私の緊張が少しほぐれた。
『私、徳男くんのこと、好きだよ!三っちゃんに言われたからってみたいで、ちょっと悔しいけど…出会った時から、私、堀田徳男くんのことが好きでした!』
徳男くんは今度は目を白黒させて、ますます硬直して、今にも倒れそうな顔をしていた。
でも…ちゃんと、伝えたい!
『だから…付き合ってください!』
私が言い終わると、徳男くんはよろけてその場にうずくまった。
『ご…ごめん!大丈夫?』
私は慌てて駆け寄ると、徳男くんは私を制止して、
「葉月さん…俺…そんな目で葉月さんのこと、見た事ねえから…その…どうしたらいいか…」
どこまでも硬派な徳男くんのことが好きだなって改めて思う。
『だからね…これから、もっと私のこと、知って欲しいなって…』
再び徳男くんに近寄って、私は徳男くんの手に私の手を重ねた。
「や…その…葉月さん…」
『だから、手始めに徳くんって呼ぶから、私のことも麗って呼んで…ね?』
小首をかしげて徳男くんに訴えてみる。
今はまだ、付き合うまではいかなくても、私が徳くんのこと好きだって分かってもらえればそれで十分だ。
何故か絶対惚れさせてやるんだって、闘志みたいなものまで湧き上がってくる。
「えっと…麗…さん…?」
『うん!徳くん、これからもよろしくね!』
ここから、私たちの恋は始まる。
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「なぁ、友、徳男と葉月って付き合ってるんだよな?」
「えっ?まだ、これから…だよ?」
「まだ、付き合ってねぇんだっけ?さっき、二人でいたからよ、てっきり付き合ってるんだと思って…そう言っちまった…」
「本当に!?もう…余計なこと言っちゃだめだよ!」
「悪ぃ…」
「でも、寿くんの一言で、付き合うことになったら嬉しいかも…」
「だろっ?俺、ナイスアシストだな!」
「もう…調子いいんだから…」
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2021.5.22. Happy BirthDay to Hisashi Mitsui!!
こぼれ話→恋は突然に…【堀田徳男】
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