傷心と真心【牧紳一】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ホテルのオーセンティックなバーが素敵だと友達に聞いて、紳一さんを誘った。
本当であれば、誘ってもらいたいのだけれど、最近、仕事が忙しいのか中々会えないどころか連絡すらもらえない日が続いていたので、思い切って私から声をかけた。
友達の紹介で知り合った私たちは、二人で会うことも増え、恋人まであと一歩……という関係を築いている。
今日こそ、告白されたいな…なんて下心をうまく隠して、日にちを決めてやってきた。
明日はお休みの金曜日だから、一杯だけ飲んでまた…なんて別れるのは惜しすぎる。
『紳一さん、もう一杯飲みませんか?』
「ん、ああ……」
でも、紳一さんは、私と一緒にいても心ここにあらずといった様子だ。
きっと、紳一さんが考えている過去の女性ともここに来たことがあるのだろう。
友達から紹介されたときに、長年付き合った女性と別れたばかりだと聞いていたから、まだ忘れられないようだ。
私だけを見て欲しいのに……
『フルーツベースの軽めのものを。紳一さんは?』
「スコッチウイスキー、ロックで」
やはり心ここにあらずというような態度の紳一さんに、私はそっとため息をついた。
なんで、私という女性がいながらいつまで過去を引きずっているの?なんて聞ける訳もなく、当たり障りのないうわべだけの会話を続ける。
女性から男性をお酒を飲みに誘うのって、それなりの意味があるの分かっているのかしら?
「ミモザです」
と、シャンパングラスに注がれたオレンジ色のカクテルが差し出された。
花の名前と色味は、悩んでいる私の心をどこかほっとさせてくれる。
「オレンジジュースとシャンパンを使ったカクテルです。カクテル言葉は、真心。なんだかお二人はまだ真心を持ってお互い接しきれていないような気がしまして。もし、よろしければ、お連れ様にスコッチウイスキーではなく同じシャンパンを使った違ったカクテル、試していただきたいのですが」
「ああ、お願いしようかな」
「ありがとうございます」
バーテンダーは、私と同じ形のシャンパングラスに静かにシャンパンを注ぐ。
そして、よく冷えた瓶ビールを同じようにそっと注いだ。
ビールは黒ビールのようで、私のグラスとは違い、黒いカクテルが出来上がった。
もっと素敵な色のカクテルが出来ると思ったのだけれど…
でも、素敵なカクテル言葉があるかもしれないと、バーテンダーの言葉を待つ。
「ブラック・ベルベット。カクテル言葉は忘れないで。過去の恋は無理に忘れなくてもいいと思うんです。忘れられない記憶があるから、次の女性にも優しくできる。私から見ても素敵なお二人ですから、ちょっとだけおせっかいを承知で作らせていただきました」
私と紳一さんは目を見合わせた。
見透かされていたなんて……と少し気恥ずかしいのはお互い様だろう。
『「ありがとうございます」』
私たちがお礼を言うと、
「ごゆっくりどうぞ」
一礼すると私達から距離を取るように離れて他のお客さんの接客へいってしまった。
「なんだか、すまない。もう一度、乾杯してくれるか?」
『はい。私の方こそ、ちゃんと紳一さんに気持ち伝えきれてなくてすいません』
シャンパングラスをカチリと触れ合わせて、口に含む。
さわやかなオレンジジュースの香りと、控えめながらしゅわっとしたシャンパンの炭酸が心地いい。
紳一さんに愛されることばかりを望んでいた自分が少し恥ずかしくなる。
紳一さんを愛することの方が大切なのに。
「うん、なかなかうまい」
紳一さんはそう呟いて、私に微笑みかけてくれた。
私ももう一口、このカクテルに口をつけて、私の真心を伝える。
『紳一さん、私、紳一さんのことが好きです。あなたの側にいさせてください』
「ありがとう。前の彼女との別れがあって、まどかさんも傷つけてしまうんじゃないかと臆病になっていたんだ。俺の方こそ、まどかさんが側にいてくれると嬉しい。出来れば、結婚を前提にお付き合いして欲しい。」
『はい』
「はー、よかった。もう一杯、飲ませてくれ」
紳一さんはカクテルを飲み干すと、先ほどのバーテンダーを呼んだ。
「おかげで、上手くいきそうです。何かもう一杯、お願いします。それから、宿泊も……どうだ?」
『え?……も…もちろん』
「では、2名様の宿泊、お調べするようスタッフに伝えてまいりますね。カクテルは…そうですね。x/y/zなんていかがでしょう?これが最後の恋というような意味です」
「頼む」
紳一さんの私を見つめる瞳が、急に妖艶さを携えたように感じて私は急に暑くなる。
こうなることを望んでいたけれど、急展開に心拍数もどんどん上がっていく…
ショートグラスに注がれた白色がかった透明の液体を見て、ウエディングドレスみたいだと思ってしまう私は、浮かれすぎだろうか。
「一口、どうだ?」
紳一さんに進められて、x/y/zのカクテルを味見させてもらう。
舞い上がって、その味なんて全く分からないけれど、さらに身体が熱くなるのはアルコールのせい?
今宵、熱い涙を紳一さんに捧げるまであと少し。
***
2023.11.29.
Thank you for your request!!!
こぼれ話→傷心と真心【牧紳一】
本当であれば、誘ってもらいたいのだけれど、最近、仕事が忙しいのか中々会えないどころか連絡すらもらえない日が続いていたので、思い切って私から声をかけた。
友達の紹介で知り合った私たちは、二人で会うことも増え、恋人まであと一歩……という関係を築いている。
今日こそ、告白されたいな…なんて下心をうまく隠して、日にちを決めてやってきた。
明日はお休みの金曜日だから、一杯だけ飲んでまた…なんて別れるのは惜しすぎる。
『紳一さん、もう一杯飲みませんか?』
「ん、ああ……」
でも、紳一さんは、私と一緒にいても心ここにあらずといった様子だ。
きっと、紳一さんが考えている過去の女性ともここに来たことがあるのだろう。
友達から紹介されたときに、長年付き合った女性と別れたばかりだと聞いていたから、まだ忘れられないようだ。
私だけを見て欲しいのに……
『フルーツベースの軽めのものを。紳一さんは?』
「スコッチウイスキー、ロックで」
やはり心ここにあらずというような態度の紳一さんに、私はそっとため息をついた。
なんで、私という女性がいながらいつまで過去を引きずっているの?なんて聞ける訳もなく、当たり障りのないうわべだけの会話を続ける。
女性から男性をお酒を飲みに誘うのって、それなりの意味があるの分かっているのかしら?
「ミモザです」
と、シャンパングラスに注がれたオレンジ色のカクテルが差し出された。
花の名前と色味は、悩んでいる私の心をどこかほっとさせてくれる。
「オレンジジュースとシャンパンを使ったカクテルです。カクテル言葉は、真心。なんだかお二人はまだ真心を持ってお互い接しきれていないような気がしまして。もし、よろしければ、お連れ様にスコッチウイスキーではなく同じシャンパンを使った違ったカクテル、試していただきたいのですが」
「ああ、お願いしようかな」
「ありがとうございます」
バーテンダーは、私と同じ形のシャンパングラスに静かにシャンパンを注ぐ。
そして、よく冷えた瓶ビールを同じようにそっと注いだ。
ビールは黒ビールのようで、私のグラスとは違い、黒いカクテルが出来上がった。
もっと素敵な色のカクテルが出来ると思ったのだけれど…
でも、素敵なカクテル言葉があるかもしれないと、バーテンダーの言葉を待つ。
「ブラック・ベルベット。カクテル言葉は忘れないで。過去の恋は無理に忘れなくてもいいと思うんです。忘れられない記憶があるから、次の女性にも優しくできる。私から見ても素敵なお二人ですから、ちょっとだけおせっかいを承知で作らせていただきました」
私と紳一さんは目を見合わせた。
見透かされていたなんて……と少し気恥ずかしいのはお互い様だろう。
『「ありがとうございます」』
私たちがお礼を言うと、
「ごゆっくりどうぞ」
一礼すると私達から距離を取るように離れて他のお客さんの接客へいってしまった。
「なんだか、すまない。もう一度、乾杯してくれるか?」
『はい。私の方こそ、ちゃんと紳一さんに気持ち伝えきれてなくてすいません』
シャンパングラスをカチリと触れ合わせて、口に含む。
さわやかなオレンジジュースの香りと、控えめながらしゅわっとしたシャンパンの炭酸が心地いい。
紳一さんに愛されることばかりを望んでいた自分が少し恥ずかしくなる。
紳一さんを愛することの方が大切なのに。
「うん、なかなかうまい」
紳一さんはそう呟いて、私に微笑みかけてくれた。
私ももう一口、このカクテルに口をつけて、私の真心を伝える。
『紳一さん、私、紳一さんのことが好きです。あなたの側にいさせてください』
「ありがとう。前の彼女との別れがあって、まどかさんも傷つけてしまうんじゃないかと臆病になっていたんだ。俺の方こそ、まどかさんが側にいてくれると嬉しい。出来れば、結婚を前提にお付き合いして欲しい。」
『はい』
「はー、よかった。もう一杯、飲ませてくれ」
紳一さんはカクテルを飲み干すと、先ほどのバーテンダーを呼んだ。
「おかげで、上手くいきそうです。何かもう一杯、お願いします。それから、宿泊も……どうだ?」
『え?……も…もちろん』
「では、2名様の宿泊、お調べするようスタッフに伝えてまいりますね。カクテルは…そうですね。x/y/zなんていかがでしょう?これが最後の恋というような意味です」
「頼む」
紳一さんの私を見つめる瞳が、急に妖艶さを携えたように感じて私は急に暑くなる。
こうなることを望んでいたけれど、急展開に心拍数もどんどん上がっていく…
ショートグラスに注がれた白色がかった透明の液体を見て、ウエディングドレスみたいだと思ってしまう私は、浮かれすぎだろうか。
「一口、どうだ?」
紳一さんに進められて、x/y/zのカクテルを味見させてもらう。
舞い上がって、その味なんて全く分からないけれど、さらに身体が熱くなるのはアルコールのせい?
今宵、熱い涙を紳一さんに捧げるまであと少し。
***
2023.11.29.
Thank you for your request!!!
こぼれ話→傷心と真心【牧紳一】
1/1ページ
