初恋は眩しすぎたね【沢北栄治】
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私の初恋の相手、沢北栄治。
たまたま見たニュース番組で、アメリカの大学で実力を磨き、いずれはNBAに挑戦するという沢北栄治の特集を見て、私は恋に落ちた。
山王高校でのインターハイ初戦での敗戦をバネに挑戦を続けると語った沢北栄治のあの横顔は、目を閉じれば脳裏に浮かぶほどに鮮明に覚えている。
そこから、当時はインターネットの環境が整備されていなかったから、必至でバスケの雑誌を買いあさったり試合の映像を探すだけでは飽き足らず、国会図書館まで行って過去の沢北選手の記事の載った雑誌や新聞を漁ったこともある。
さらには少しでも沢北選手を感じたくて、イラストを書いてみたり、人形を作ってみたり……当時の友人達は優しく見守ってくれてはいたけれど、きっとどこかで引いていたと思う。
彼を一目見たいいう気持ちだけで、大学在学中に奨学金でのアメリカ留学も成し遂げた。
愛の力は実に偉大である。
そんな風に沢北栄治選手への愛を拗らせていた私が、留学中に沢北栄治本人にナンパされた時の心境を答えよ。
―――答えは、ドン引き。
だって、あんなにカッコいい沢北栄治が、ナンパなんていう低俗なことをするなんて、信じられない。
今だって、信じたくない。
けれど、ナンパしてきたのも、今目の前でTシャツ、パンイチのだらしない恰好で、テレビを見ているのも私が大好きなはずの沢北栄治なのだ。
どうしてこうなったのか…?
私にだってわからない。
初恋は実らないからこそ美しい!のだということに全力で同意したいくらいだ。
今だって、NBAで活躍する沢北選手はめちゃくちゃカッコいいし、テレビ出演したら、録画して永久保存するし、雑誌だって保存用と鑑賞用に二冊買う。
でも、今、容易に触れられる距離にいる沢北栄治と同一人物であると未だに信じ切れていない。
私のことを沢北栄治が好きだということが信じたくなくて、私の前に現れる沢北栄治のことを栗饅頭と呼んでいたこともあるくらいだ。
『ねぇ、どうして私のこと好きなの?』
「んなもん、理由なんてねぇ!」
お尻をポリポリ掻きながら近づいてきて、私を後ろから抱きしめて甘えてくる栗饅頭もとい、沢北栄治。
「ななみは、俺のこと好きなんだよな?」
『もちろん』
「じゃあ、なんでそんなにつれないんだよ?」
『あのね…バスケをしているキラキラした沢北栄治と、私の前に現れるちょっとだらしなくて私にベタベタしてくる栗饅頭と同一人物というのが未だに信じられないんだよ?』
「それ、聞き飽きた。いいかげん、どっちの俺も俺なんだから、もっと好きになってくれよ」
耳元で囁くように言われて、ぞくっとしてしまう。
けれど、こういう風にベタベタと甘えてくるのも私の頭の中の沢北選手と違っていて、そのチャラい感じに混乱する。
『あの時、ナンパされたくなかった』
「それも聞き飽きた。俺は、あの時、ナンパしてなかったら一生後悔するとこだった」
『私の眩しい初恋、返して』
「一目ぼれした俺のことは忘れて、情けない俺のことも、好きになって…」
振り向かされれば、真剣な表情の沢北栄治と目が合う。
その表情は、私の大好きな沢北栄治そのもの。
出会う前は、こういう風に二人っきりの家でのキスだって何度も何度も夢見ていた。
だけど、現実に顔が迫って、唇が重なれば、
『ダメ!くさい!!』
「同じ餃子食ったからだろ!気にしすぎ…」
『そう、だけど…』
ニンニク臭が嫌なわけではなくて、リアルに沢北栄治を感じられることに未だ慣れていないのだ。
本当は、ダメなんてこと全くないし、どんな沢北栄治だって受け入れたいし、ずっと私を傍にいさせてほしい。
ただ、長年拗らせてきたバスケ選手沢北栄治に対する愛情と、現実に私の前に存在する沢北栄治に対する恋愛を上手く切り替えられないのだ。
名前一つを取ったって、私の前にいる沢北栄治のことを『沢北さん』『栄治くん』『えいちゃん』『栄治』どう呼んでいいかすら悩んでいるくらいなのだ。
そんなメンドクサイ私のことを好きだと言ってくれるのだから、もっと自信をもっていいのだろうか?
NBAの沢北選手とパパラッチに写真を撮られた時の対応の仕方だって、結婚会見に同席するシミュレーションだって何年も前から妄想しているからバッチリだと思っていたけれど、現実にそれが起こったら?
むしろ、それが起こる可能性が高くなって尻込みしてしまっている。
まだまだ私の拗らせた理想の愛と現実を受け入れるという作業は果てなく続きそうだ。
眩しすぎる初恋と、現実の恋との狭間に揺れ動く私を……誰か助けてください。
***
Thank you for your request!!!
こぼれ話→初恋は眩しすぎたね【沢北栄治】
たまたま見たニュース番組で、アメリカの大学で実力を磨き、いずれはNBAに挑戦するという沢北栄治の特集を見て、私は恋に落ちた。
山王高校でのインターハイ初戦での敗戦をバネに挑戦を続けると語った沢北栄治のあの横顔は、目を閉じれば脳裏に浮かぶほどに鮮明に覚えている。
そこから、当時はインターネットの環境が整備されていなかったから、必至でバスケの雑誌を買いあさったり試合の映像を探すだけでは飽き足らず、国会図書館まで行って過去の沢北選手の記事の載った雑誌や新聞を漁ったこともある。
さらには少しでも沢北選手を感じたくて、イラストを書いてみたり、人形を作ってみたり……当時の友人達は優しく見守ってくれてはいたけれど、きっとどこかで引いていたと思う。
彼を一目見たいいう気持ちだけで、大学在学中に奨学金でのアメリカ留学も成し遂げた。
愛の力は実に偉大である。
そんな風に沢北栄治選手への愛を拗らせていた私が、留学中に沢北栄治本人にナンパされた時の心境を答えよ。
―――答えは、ドン引き。
だって、あんなにカッコいい沢北栄治が、ナンパなんていう低俗なことをするなんて、信じられない。
今だって、信じたくない。
けれど、ナンパしてきたのも、今目の前でTシャツ、パンイチのだらしない恰好で、テレビを見ているのも私が大好きなはずの沢北栄治なのだ。
どうしてこうなったのか…?
私にだってわからない。
初恋は実らないからこそ美しい!のだということに全力で同意したいくらいだ。
今だって、NBAで活躍する沢北選手はめちゃくちゃカッコいいし、テレビ出演したら、録画して永久保存するし、雑誌だって保存用と鑑賞用に二冊買う。
でも、今、容易に触れられる距離にいる沢北栄治と同一人物であると未だに信じ切れていない。
私のことを沢北栄治が好きだということが信じたくなくて、私の前に現れる沢北栄治のことを栗饅頭と呼んでいたこともあるくらいだ。
『ねぇ、どうして私のこと好きなの?』
「んなもん、理由なんてねぇ!」
お尻をポリポリ掻きながら近づいてきて、私を後ろから抱きしめて甘えてくる栗饅頭もとい、沢北栄治。
「ななみは、俺のこと好きなんだよな?」
『もちろん』
「じゃあ、なんでそんなにつれないんだよ?」
『あのね…バスケをしているキラキラした沢北栄治と、私の前に現れるちょっとだらしなくて私にベタベタしてくる栗饅頭と同一人物というのが未だに信じられないんだよ?』
「それ、聞き飽きた。いいかげん、どっちの俺も俺なんだから、もっと好きになってくれよ」
耳元で囁くように言われて、ぞくっとしてしまう。
けれど、こういう風にベタベタと甘えてくるのも私の頭の中の沢北選手と違っていて、そのチャラい感じに混乱する。
『あの時、ナンパされたくなかった』
「それも聞き飽きた。俺は、あの時、ナンパしてなかったら一生後悔するとこだった」
『私の眩しい初恋、返して』
「一目ぼれした俺のことは忘れて、情けない俺のことも、好きになって…」
振り向かされれば、真剣な表情の沢北栄治と目が合う。
その表情は、私の大好きな沢北栄治そのもの。
出会う前は、こういう風に二人っきりの家でのキスだって何度も何度も夢見ていた。
だけど、現実に顔が迫って、唇が重なれば、
『ダメ!くさい!!』
「同じ餃子食ったからだろ!気にしすぎ…」
『そう、だけど…』
ニンニク臭が嫌なわけではなくて、リアルに沢北栄治を感じられることに未だ慣れていないのだ。
本当は、ダメなんてこと全くないし、どんな沢北栄治だって受け入れたいし、ずっと私を傍にいさせてほしい。
ただ、長年拗らせてきたバスケ選手沢北栄治に対する愛情と、現実に私の前に存在する沢北栄治に対する恋愛を上手く切り替えられないのだ。
名前一つを取ったって、私の前にいる沢北栄治のことを『沢北さん』『栄治くん』『えいちゃん』『栄治』どう呼んでいいかすら悩んでいるくらいなのだ。
そんなメンドクサイ私のことを好きだと言ってくれるのだから、もっと自信をもっていいのだろうか?
NBAの沢北選手とパパラッチに写真を撮られた時の対応の仕方だって、結婚会見に同席するシミュレーションだって何年も前から妄想しているからバッチリだと思っていたけれど、現実にそれが起こったら?
むしろ、それが起こる可能性が高くなって尻込みしてしまっている。
まだまだ私の拗らせた理想の愛と現実を受け入れるという作業は果てなく続きそうだ。
眩しすぎる初恋と、現実の恋との狭間に揺れ動く私を……誰か助けてください。
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Thank you for your request!!!
こぼれ話→初恋は眩しすぎたね【沢北栄治】
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