留守番電話に残された。【南烈】
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【出られへんから、用があるなら留守電入れといて】
留守番電話サービスで流れる烈くんの音声。
付き合いたての頃、電話をしてもちっとも出てくれない烈くんにお願いして、烈くんの声を留守番電話の応答メッセージに設定してもらったその時の声のままだ。
「恥ずいから嫌や」なんて言いながらも、結局は短いながらも声を録音して設定してくれた。
岸本くんに「南に電話したらキショい留守電の声がして寒イボできたわ!」なんてからかわれても、私のために変更しないでいてくれたぶきらっぽうだけど優しい烈くん。
ちょっと変わってしまったのは、高2の夏のインターハイが終わってから。
「バスケが大事やから、おまえのことは構われへん」
遠くを見つめて、どこか思い詰めた様子で私に伝えてきた。
烈くんは、何かを背負いすぎてるんじゃないか…なんて思っても、私も一緒にその悩みを背負いたいなんて言えるような雰囲気ではない。
少しまえまでのバスケも私も大事だって言ってくれてた烈くんはどこかに行ってしまったみたいだ。
泣いてすがっても無駄なのだろうと、その表情を見て悟る。
『一切会わんでもええから、別れる…だけは言わんといて?』
色々溢れ出る感情を抑え込んで、何とか絞り出した一言に、
「勝手にしい…」
冷たく吐き捨てるようにして、烈くんは私の元を去っていった。
私は悲しいのと悔しいのと別れると宣言されなくてほっとしたのとぐっちゃぐちゃの感情のまま、家に帰ってひたすらに泣いた。
少しだけ落ち着いて、携帯に触れてみる。
もちろん、烈くんからの連絡はない。
絶対に出ないとわかっていても烈くんの電話番号をプッシュする。
……電話をかけずにはいられなかった。
いつもと同じだけ呼び出し音が鳴る。
そして切り替わった留守番電話のメッセージは変わらない烈くんの声だった。
を聞いて、きっとまだどこかで私のこと思っていてくれるんだって、願ってメッセージを残さずに電話を切った。
だから今日もまた、その留守番電話のメッセージが烈くんなのに心の底から安心して留守番電話にはメッセージを残さないで、電話を切る。
烈くんと会わなくなってもうすぐ一年…
私は相変わらず、週に一回だけ烈くんの留守番電話の自動メッセージを聞いて、心の中でバスケ頑張れって応援している。
今年もインターハイに出場するっていう噂を聞いたから、優勝できますようにって修学旅行で行った神社でお祈りして、必勝祈願のお守りだって買った。
でも、そんなこと烈くんが知る訳もなく、当然お守りを渡せるはずもなく私の部屋に飾ってある。
たまたま携帯を忘れて、友達と遊びに出てしまった。
家に帰って部屋に入ると、必勝祈願のお守りが床に落ちている。
何だか嫌な気持ちになって、枕もとに置きっぱなしの携帯を見れば、着信を知らせるランプが光っている。
一緒に遊んだ友達からだろうと、画面を見て、
『うっそ…』
思わず声が漏れる。
【烈くん】
そんなまさか…
震える指で何とかロックを解除して、留守番電話に残されたメッセージを再生する。
「会わへんか?」
たった一言だけど、涙が溢れて止まらない。
『会い…たい……よ…』
涙で携帯の画面は見えないけれど、指がちゃんと覚えていてくれて烈くんの番号に電話を掛ける。
いつもは長いコールの後、烈くんの留守番電話の応答メッセージだけれど、今日は数コールで声が聞こえる。
「もしもし」
『烈くん…』
「今から、そっちいってもええか?」
『うん』
あふれる涙が止めることは出来なさそうだけれど、少しでも笑顔で会いたい。
タオルでぎゅっと涙をぬぐって、烈くんを迎えるために家の外に出る。
「ジス!」
大好きな烈くんの肉声に、引っ込んだはずの涙がまたあふれそうになる。
でも、まだ泣いちゃだめだ。
ずっとまた会えたら言おうって決めていたセリフを伝える。
『おかえり、烈くん!』
にじむ視界に、ふっと優しい目をして笑ってくれる烈くんが見える。
烈くんは人目も気にせず、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「なぁ、なんでジスの留守番電話は自分の声やないん?俺だけとかめっちゃ恥ずいんやけど…」
おかえりにただいまを言わないで、真っ先に文句を言うのが烈くんらしくて私は笑いながら、泣いた。
そんな私が泣き止むまで、烈くんはずっと抱きしめていてくれた。
***
2022.10.29.
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こぼれ話→留守番電話に残された。【南烈】
留守番電話サービスで流れる烈くんの音声。
付き合いたての頃、電話をしてもちっとも出てくれない烈くんにお願いして、烈くんの声を留守番電話の応答メッセージに設定してもらったその時の声のままだ。
「恥ずいから嫌や」なんて言いながらも、結局は短いながらも声を録音して設定してくれた。
岸本くんに「南に電話したらキショい留守電の声がして寒イボできたわ!」なんてからかわれても、私のために変更しないでいてくれたぶきらっぽうだけど優しい烈くん。
ちょっと変わってしまったのは、高2の夏のインターハイが終わってから。
「バスケが大事やから、おまえのことは構われへん」
遠くを見つめて、どこか思い詰めた様子で私に伝えてきた。
烈くんは、何かを背負いすぎてるんじゃないか…なんて思っても、私も一緒にその悩みを背負いたいなんて言えるような雰囲気ではない。
少しまえまでのバスケも私も大事だって言ってくれてた烈くんはどこかに行ってしまったみたいだ。
泣いてすがっても無駄なのだろうと、その表情を見て悟る。
『一切会わんでもええから、別れる…だけは言わんといて?』
色々溢れ出る感情を抑え込んで、何とか絞り出した一言に、
「勝手にしい…」
冷たく吐き捨てるようにして、烈くんは私の元を去っていった。
私は悲しいのと悔しいのと別れると宣言されなくてほっとしたのとぐっちゃぐちゃの感情のまま、家に帰ってひたすらに泣いた。
少しだけ落ち着いて、携帯に触れてみる。
もちろん、烈くんからの連絡はない。
絶対に出ないとわかっていても烈くんの電話番号をプッシュする。
……電話をかけずにはいられなかった。
いつもと同じだけ呼び出し音が鳴る。
そして切り替わった留守番電話のメッセージは変わらない烈くんの声だった。
を聞いて、きっとまだどこかで私のこと思っていてくれるんだって、願ってメッセージを残さずに電話を切った。
だから今日もまた、その留守番電話のメッセージが烈くんなのに心の底から安心して留守番電話にはメッセージを残さないで、電話を切る。
烈くんと会わなくなってもうすぐ一年…
私は相変わらず、週に一回だけ烈くんの留守番電話の自動メッセージを聞いて、心の中でバスケ頑張れって応援している。
今年もインターハイに出場するっていう噂を聞いたから、優勝できますようにって修学旅行で行った神社でお祈りして、必勝祈願のお守りだって買った。
でも、そんなこと烈くんが知る訳もなく、当然お守りを渡せるはずもなく私の部屋に飾ってある。
たまたま携帯を忘れて、友達と遊びに出てしまった。
家に帰って部屋に入ると、必勝祈願のお守りが床に落ちている。
何だか嫌な気持ちになって、枕もとに置きっぱなしの携帯を見れば、着信を知らせるランプが光っている。
一緒に遊んだ友達からだろうと、画面を見て、
『うっそ…』
思わず声が漏れる。
【烈くん】
そんなまさか…
震える指で何とかロックを解除して、留守番電話に残されたメッセージを再生する。
「会わへんか?」
たった一言だけど、涙が溢れて止まらない。
『会い…たい……よ…』
涙で携帯の画面は見えないけれど、指がちゃんと覚えていてくれて烈くんの番号に電話を掛ける。
いつもは長いコールの後、烈くんの留守番電話の応答メッセージだけれど、今日は数コールで声が聞こえる。
「もしもし」
『烈くん…』
「今から、そっちいってもええか?」
『うん』
あふれる涙が止めることは出来なさそうだけれど、少しでも笑顔で会いたい。
タオルでぎゅっと涙をぬぐって、烈くんを迎えるために家の外に出る。
「ジス!」
大好きな烈くんの肉声に、引っ込んだはずの涙がまたあふれそうになる。
でも、まだ泣いちゃだめだ。
ずっとまた会えたら言おうって決めていたセリフを伝える。
『おかえり、烈くん!』
にじむ視界に、ふっと優しい目をして笑ってくれる烈くんが見える。
烈くんは人目も気にせず、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「なぁ、なんでジスの留守番電話は自分の声やないん?俺だけとかめっちゃ恥ずいんやけど…」
おかえりにただいまを言わないで、真っ先に文句を言うのが烈くんらしくて私は笑いながら、泣いた。
そんな私が泣き止むまで、烈くんはずっと抱きしめていてくれた。
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2022.10.29.
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