7章:不機嫌と興味と戦闘
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鈍い音が頭の中に響くのと同時に、停止していた全てのシステムが一つずつ起動していく感覚でティスランドは目を覚ます。
ゆっくりと目を開いたティスランドは視界に表示された『正常に起動しました』の文字を読みホッと息を吐き出すと身体を起こした時、自分がベッドに横になっていたことに初めて気がつく。
最後の記憶はバンブルビーの後部座席だ。
カーリーと話をしているとき、外部からのハッキングを感じ取り強制的に意識を落とした所までは覚えている。
「ここはカーリー・スペンサーの自宅か」
ベッドから降りたティスランドが外の様子を伺えば、見慣れぬ建物に辺りは囲まれていた。
センサーを使って外に敵が居ないか確認してみたが特に怪しい人物を捕捉することはなく、ひとまずの身の安全は保証出来たなと思ったときだ。
ドアが開く音が聞こえたのと同時にカーリーが室内に入ってくる。
「起きていたの?」
「ついさっき。ここは貴方の家で間違いは無いか?」
「えぇ。私の家よ。って言っても上司の持っている物件を格安で借りている状態なんだけどね」
肩をすくめたカーリーの言葉にティスランドは随分と懐の広い上司なのだなぁと思う。
「お腹空いてない?」
「特に空腹は感じていない」
「えぇっと・・・コーヒーでもどうかしら?」
「不要だ。そもそも私は客人ではない」
感情を宿さぬ淡々とした声でティスランドが答えれば、カーリーは困惑した顔をしたまま沈黙してしまう。
「・・・すまない」
「え?」
「貴方を困らせるつもりは無いんだ・・・ただ、私はどうにも他者とのコミュニケーションがあまり得意ではなくて」
自分の行動一つが他人にどのような印象を与えるのかティスランドは解っている。
解っているのに、それを止めることも改善することも何故か出来ないのだ。
口から出てくるのは相手を威嚇するかのような冷たい声音、そして愛想笑いの一つも浮かべない素っ気ない態度。
新入隊員達がこっそりと自分の事を何を考えているのか解らない奴、まさに機械らしい機械だと言っていた事をティスランドは思い出す。
「(将校殿なら)」
ジャズならば持ち前の気さくさで何でもこなせるだろう。
ストラトスもそれなりに対応出来るだろうし、セイはその性格から相手を慮って行動する。
何も出来ないのは自分だけ、ティスランドだけではないかと思い自嘲の笑みを浮かべたときだ。
「なら練習してみない?」
「練習?」
どういう意味だと言うかのようにカーリーを見ると彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「ここで暮す間は私やサムと色々と交流しましょ?慣れてきたら私達の友人達と会って、色々とコミュニケーションするっていうのはどうかしら?」
「・・・それは貴方に対して何か利益が?」
「無いわ」
きっぱりと言い放ったカーリーはティスランドの手をそっと握る。
嫋やかな女の手は柔らかくて、そしてとても温かい。
「なんとなく私が貴方のために何かをしてあげたいだけなの」
そう言って微笑んだカーリーの顔を見たティスランドのスパークが一瞬だけ温かくなったような気がした。
ゆっくりと目を開いたティスランドは視界に表示された『正常に起動しました』の文字を読みホッと息を吐き出すと身体を起こした時、自分がベッドに横になっていたことに初めて気がつく。
最後の記憶はバンブルビーの後部座席だ。
カーリーと話をしているとき、外部からのハッキングを感じ取り強制的に意識を落とした所までは覚えている。
「ここはカーリー・スペンサーの自宅か」
ベッドから降りたティスランドが外の様子を伺えば、見慣れぬ建物に辺りは囲まれていた。
センサーを使って外に敵が居ないか確認してみたが特に怪しい人物を捕捉することはなく、ひとまずの身の安全は保証出来たなと思ったときだ。
ドアが開く音が聞こえたのと同時にカーリーが室内に入ってくる。
「起きていたの?」
「ついさっき。ここは貴方の家で間違いは無いか?」
「えぇ。私の家よ。って言っても上司の持っている物件を格安で借りている状態なんだけどね」
肩をすくめたカーリーの言葉にティスランドは随分と懐の広い上司なのだなぁと思う。
「お腹空いてない?」
「特に空腹は感じていない」
「えぇっと・・・コーヒーでもどうかしら?」
「不要だ。そもそも私は客人ではない」
感情を宿さぬ淡々とした声でティスランドが答えれば、カーリーは困惑した顔をしたまま沈黙してしまう。
「・・・すまない」
「え?」
「貴方を困らせるつもりは無いんだ・・・ただ、私はどうにも他者とのコミュニケーションがあまり得意ではなくて」
自分の行動一つが他人にどのような印象を与えるのかティスランドは解っている。
解っているのに、それを止めることも改善することも何故か出来ないのだ。
口から出てくるのは相手を威嚇するかのような冷たい声音、そして愛想笑いの一つも浮かべない素っ気ない態度。
新入隊員達がこっそりと自分の事を何を考えているのか解らない奴、まさに機械らしい機械だと言っていた事をティスランドは思い出す。
「(将校殿なら)」
ジャズならば持ち前の気さくさで何でもこなせるだろう。
ストラトスもそれなりに対応出来るだろうし、セイはその性格から相手を慮って行動する。
何も出来ないのは自分だけ、ティスランドだけではないかと思い自嘲の笑みを浮かべたときだ。
「なら練習してみない?」
「練習?」
どういう意味だと言うかのようにカーリーを見ると彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「ここで暮す間は私やサムと色々と交流しましょ?慣れてきたら私達の友人達と会って、色々とコミュニケーションするっていうのはどうかしら?」
「・・・それは貴方に対して何か利益が?」
「無いわ」
きっぱりと言い放ったカーリーはティスランドの手をそっと握る。
嫋やかな女の手は柔らかくて、そしてとても温かい。
「なんとなく私が貴方のために何かをしてあげたいだけなの」
そう言って微笑んだカーリーの顔を見たティスランドのスパークが一瞬だけ温かくなったような気がした。