7章:不機嫌と興味と戦闘
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『”選んだの””行方不明者リスト”』
カーリーが乗ってきてからずっと黙り込んでいたバンブルビーが突然会話に加わる。
ラジオから聞こえてきた言葉にサムとカーリーがその意味を理解出来ず、困惑した顔をする中、ティスランドはこれがバンブルビーが自分に出してくれた助け船である事を理解するとソレに乗ることにする。
「事故や何らかの事件に巻き込まれて行方不明者になった者の中からランダムに選んだんだ。下手に生きている人間の顔を真似て、そのせいで問題が起きたら大変だろう?」
もっともらしい答えにサムとカーリーは納得したらしく、何度か頷くのを見たティスランドはホッと胸をなで下ろすとこっそりとドアに触れると極秘回線を繋ぐ。
【助かった】
【別に・・・頼まれたからやっただけだよ】
【頼まれた?誰に?】
【ジャズ】
その名を聞いた瞬間、ティスランドの脳裏に銀色の車が浮かぶ。
彼にはいつだって迷惑しか掛けておらず、今回の件も彼は悪くないのに巻き添えをしてしまった事を悔いるかのようにティスランドはそっと目を伏せる。
この罰則が終わればジャズにちゃんと謝って感謝の気持ちを伝えよう、そして可能ならばもう少しばかり自分を信じて欲しい、ちゃんと1人でも任務も出来るし、一人前の戦士として生きていけると伝えようと思った瞬間だ。
そうか。アレがお前の存在を邪魔しているのだな?
ならば・・・お前自身がアレを破壊すべきだ。
頭の中に突然ノイズ音が聞こえたかと思えば、エフェクトが強い声が何かを伝えてくる。
外部からのハッキングかと思ったティスランドはすぐさま対処を開始するが、何故かセンサー系は一切の反応を示さない。
尚もノイズ音は絶えることは無くティスランドの顔に焦りが生まれる。
【ティスランド?】
【ハッキングを、受けている】
【え?】
極秘回線を使って会話をしていたティスランドだったが、今の自分と直に回線が繋がっているバンブルビーにも危険が及ぶと判断すると強制的に通信を遮断する。
突然のことにバンブルビーが驚き、走行に乱れが起きたためサムとカーリーが驚いたような声を上げるのをティスランドは聞きながら、情報漏洩を防ぐために自身の中にあるシステムを次々と切っていく。
活動できるギリギリまでシステムを遮断したティスランドだったが、それでも尚ノイズ音が途絶えることは無い為、最終的な決断を下す。
「バンブルビー。今から私の意識を強制的に落とす。1時間後に自動的に意識が戻るようにするが、目が覚めた私の様子がおかしければ迷うこと無く排除してくれ」
『”了解”』
人外の存在である2人にしか解らない会話が突然行われたかと思えば、かなり物騒なことを決断された事に対しサムの顔が引きつる。
戸惑う人間にティスランドは配慮することが出来ないまま、システムを強制的に落としたティスランドの意識はブツリと切れた。
運転席ではサムが事情を説明するように強い声で問いかけてきており、後部座席ではカーリーがティスランドに対して必死に話しかけている。
それを聞きながらバンブルビーはある事を抱いていた。
『(外部からのハッキング?そんなもの全く感じなかった・・・)』
サムの身を守るためにバンブルビーは自身の警戒レベルを最大限にしていたため、もしもそんな事をしてくるような者が居たのならばすぐに気づけた。
『(君の身に一体何が起きているの?)』
力無く目を閉じているティスランドの顔を見つめながらバンブルビーは問いかけるが、答えなど返ってくることは無い。