6章:再会と反抗と不穏
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『違うッ!!私はオートボットだッ!!!』
気づけば極秘回線ではなく音声で発言していた。
ティスランドがその事に気づいた時には既に遅く、格納庫に居る者達全員がティスランドを見ており誰もが何事だと言うかのような顔をしている。
彼等の知っているティスランドはこのような事はしないはずだ、そう言うかのような視線と雰囲気にティスランドは自分のしでかしたことがどれだけの失態なのか悟ったときだ。
『サイドスワイプ。また後輩虐めか?ったくそんなんだからお前はいつまで経ってもお子様なんだよ』
吐き捨てるかのような音声でそう告げたのは真っ赤なボディをしているディーノだ。
彼はケラケラと笑いながらサイドスワイプへと近づくと、バンバンと力任せに彼の背を叩き始める。
『違うッ!俺はただ・・・コイツの様子がちょっと可笑しかったから』
『だから先輩として教育的指導をしたって?言い方ってのがあるだろ?そんなんだからお前はいつまで経ってもbambinoなんだよ』
『・・・ディーノッ!!いい加減にしろ!!!』
そのまま始まったサイドスワイプとディーノの軽い殴り合いの喧嘩を見たNEST隊員達がホッとした顔をするのをティスランドは見る。
今回はたまたまディーノが動いてくれたから良かった。
けれどもしかしたら次はないのかもしれない。
そう思いながらジャズへと視線を向けると彼はティスランドを見つめていた。バイザーによって彼の顔は良く解らないが、何となく良い感情を抱いていないことだけは理解出来たティスランドは無言のまま視線を逸らす。
『お前さん達。そろそろ辞めないとラチェット先生のスペシャルメンテコースにご案内することになるが?』
電鋸を持ってそう告げたラチェットの発言を聞いたサイドスワイプとディーノは動きを止める。
いつもは小生意気そうな雰囲気のある二機が子どものような反応をしたことに対し、NEST隊員達やオートボット達が声を上げて笑う中、ティスランドは二機へと近づくと小さな声で告げる。
『すまない。助かった』
自分のせいで二人に迷惑を掛けてしまった、そう言うかのような態度のティスランドに気づいたサイドスワイプは気にするなと言うかのようにティスランドの頭を乱暴になで回す。
それが彼らしい行動で、そしてとても嬉しかったティスランドがぎこちなく笑った時だ。
『悪いと思っているのなら、俺と一緒に朝まで過ごすってのはどうだ?なぁに後悔はさせねぇよ。お前も俺も楽しい一時を過ごせるぜ?』
何の前触れもなく突然、腰の部分に手を置かれたティスランドが咎めるかのように視線を向ける。
そこに居たのはディーノだ。
彼は鋭い青い目を楽しげに細めながら笑っており、ティスランドがどう反応するのか楽しんでいるように見える。
ディーノのこうした誘いは今回が初めてではない。
彼は隙あらばティスランドを誘ってくるのだ。
『お断りします』
やんわりと自分の腰に添えられている手を離したティスランドは無言のままサイドスワイプの後ろへと隠れると、ディーノは声を上げて笑い出す。
何がそんなに可笑しいのだろうか?と思いながらディーノを見ていると、それまで盛大に笑っていたはずのディーノはピタリと笑うのを止める。
真っ赤なボディがどことなく血の気が引いているかのような気がティスランドにはした。
『自業自得だ。馬鹿野郎』
吐き捨てるかのようにサイドスワイプが告げた言葉にティスランドはどういう意味だと思いながら彼を見るが、それらしい答えは教えてはもらえなかった。