5章:遠出と取引と少しばかりの罪悪感
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「『無事に了承して頂けたようでなによりだ』」
「よく言うぜ半ば脅してたくせに・・・どうせお前のことだ、俺が断ればその身体に何かしら危害を加えたんだろ?」
「『ご名答!そういう考え方が出来るって事はディセプティコンとしてもやっていけるぜ、悪代官将校殿?』」
「その呼び名は止めろ!!」
はぁ、と疲れたように息を吐いたジャズに向かいストラトスは楽しげな笑い声を投げかけるだけだ。
その声を聞きながらジャズは何故自分の元に居る部下は手の掛かる奴しかいないのだ?と必死に考えたが、そもそも上官であるオプティマスも責任ある立場だというのに割と自分勝手な行動を取ったりしていることを思い出す。
自分の状況が色々と詰んでいるのだということを理解したのと同時にドッと疲れが襲ってきた気がした。
「『おい悪代官将校殿』」
「だぁーかぁーらぁー・・・その呼び方を止めろっての!!」
「『俺は寝る』」
「・・・はぁ!?」
コイツは突然何を言うのだ?そう言いたげなジャズの声にストラトスは楽しげに笑いながら答える。
「『色々とやることがあるんでね。ってことで手を出すなよ?』」
意味深な視線を向けられたジャズは驚いた顔をしてストラトスを見ると、ジャズの考えている事など解っていると言いたげに笑う目と視線が合った。
なんとも言えない顔をしているジャズの姿を見たストラトスは少しばかり不快そうに目を細める。
「『むっつりスケベ将校殿』」
「止めろッ!!」
間髪を入れずに返してきたことから自覚があったのか、コイツ。と密かに思うのと同時に、こういったタイプは一度でも一線を越えることを決めれば色々と早いのだとストラトスは自分に言い聞かせると沈黙しているサイドスワイプへと視線を向けた。
サイドスワイプがティスランドに対して色々とこじらせていることは記憶から解っていた。けれど彼はある意味安全だとストラトスは判断している。
だからこそオプティマス・プライムはサイドスワイプを同行させたのだろう。いざとなれば抑止力になれるという確信を抱いて。
「『クソガキ。このスケベ野郎が手を出しそうになったら容赦なく殴れ』」
『サイドスワイプだ!!!・・・お前、俺に上官殴れってのかよ!?』
「『おう。可愛い妹分のピンチだ。それくらいしろ。ってかしろ。・・・それでこの件はチャラにしてやる』」
ヒラヒラと右手を振ったストラトスの言葉にサイドスワイプは絶句した。
右手には傷一つ無い。
けれどその手をかつて自分は理不尽な理由で傷つけたことを思い出す。
反論することは許されない。そう理解したサイドスワイプであったが、大人しく命令に従うことは少しばかり躊躇われたので不満そうな声で言葉を返した。
『解った』
「『偉いぞぉクソガキ』」
『・・・ッ!!だ・か・らッ!サイドスワイプだって言ってんだろうが!!!』
我慢できねぇと言うかのようなサイドスワイプの声にストラトスがケラケラと笑えば、ジャズもプッと小さく吹き出して笑う。
「『まぁテメェのことはそれなりに信頼してるさ。だから取引を提案したんだ・・・そこは自信持って良いぜ、ジャズ』」
これ以上の会話は望まない。
そう言うかのようにストラトスは目を閉じると意識を閉ざす。
薄れていく意識の中、何かを必死に言っているジャズの声と、それに対して必死に何かを言っているサイドスワイプの声を聞きながらストラトスの意識はシャットダウンした。