5章:遠出と取引と少しばかりの罪悪感
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車内は和やかな音楽と心地よい温度に保たれている。
運転しているのが車自体の為、あまり揺れることの無いのでだんだんと眠気が忍び寄ってきたことに気づいたセイの目がとろんとしたものへとなり始めた。
「(昨夜は一睡も出来なかった)」
ジャズが最初に決めた宿泊場所はモーテルと呼ばれる所だった。
後輩からその存在を聞いてからずっと泊まってみたかったのだと目をキラキラとさせて言われた言葉を聞いたセイも少しばかりモーテルに対して期待をしてしまった。
その数分後に、提案されたときに絶対に止めておけば良かったと凄まじく後悔した。
ジャズが取った部屋は一部屋だった。
幸いな事にベッドが2つあるツインルームであったものの、家族以外の異性と一つ屋根の下で過ごすという状況にセイは文字通り固まった。
入り口で言葉を失ってピシリと固まるセイとは対照的にジャズは嬉しそうに室内を探検して回っており、セイは必死に自分のような存在にジャズが手を出すことは無い、そうだ!そうに決まっている!!と言い聞かせると部屋の中に入ったのだ。
色々とあったものの無事に就寝を迎えることとなったセイであったが、隣のベッドでジャズが寝返りを打つ度、何やら聞き慣れぬ単語で寝言を言う度、ビクリと身体を震わせ目を覚ます事となったので結局昨夜は一睡も出来ないまま朝を迎えることとなった。
「(心臓に悪すぎ)」
二度とモーテルは使わない。
そう決意しながらセイは睡魔と必死に戦っていた。
コクリコクリと船を漕ぐセイを無視したまま、サイドスワイプとジャズは場違いなほど明るい会話をしており、時折声を上げて双方が笑いあう。
少しくらいは自分の心境を悟ってくれても良いでは無いか、とセイは思う反面、今の自分の気持ちが悟られぬ事に安堵した。
ジャズとサイドスワイプの間に交わされる会話のどれもがセイには聞き慣れぬ単語のはずなのに、何故かセイはその言葉を知っている気がした。
知識としてセイの中に確立しているのだ。
「(あぁ・・・・知っているのは”貴方”ね)」
嫌みなくらい真っ白なボディと生真面目で不器用な青い目をしたロボットの姿を思い浮かべたセイは笑う。
ティスランド。
誰もが彼女の帰還を願っている。
セイではなく、ティスランドの帰還を待っているのだ。
人としてではない存在を沢山の人が求めている。
自分という存在はただの障害物でしか無い、そう思ったセイの背を氷塊が伝い落ちていく。
”私”はこのまま消えるだけなの?
声にならぬ悲鳴をあげるがソレを聞く者はいない。
気が狂いそうな意識の中、誰かの、低い男の声が響く。
『”俺”にも”ティスランド”にもお前が必要だ。誰一人欠けることは許されない。下らねぇ事は考えるな』
初めて聞く声なのに酷く安心できたセイは肩の力を抜くとそのまま睡魔に身を委ねた。
少しずつ聞こえなくなってくるジャズとサイドスワイプの会話。
ソレを子守歌代わりにセイの意識は深い深い奥底へと落ちていく。
『あの変態に関しては身の危険を感じたのならば殴っておけ』
『あの人は悪い人ではないが・・・その少しばかり、過保護なだけだ』
聞こえてきた微かな声にセイは解っていると言うかのように笑う。
運転しているのが車自体の為、あまり揺れることの無いのでだんだんと眠気が忍び寄ってきたことに気づいたセイの目がとろんとしたものへとなり始めた。
「(昨夜は一睡も出来なかった)」
ジャズが最初に決めた宿泊場所はモーテルと呼ばれる所だった。
後輩からその存在を聞いてからずっと泊まってみたかったのだと目をキラキラとさせて言われた言葉を聞いたセイも少しばかりモーテルに対して期待をしてしまった。
その数分後に、提案されたときに絶対に止めておけば良かったと凄まじく後悔した。
ジャズが取った部屋は一部屋だった。
幸いな事にベッドが2つあるツインルームであったものの、家族以外の異性と一つ屋根の下で過ごすという状況にセイは文字通り固まった。
入り口で言葉を失ってピシリと固まるセイとは対照的にジャズは嬉しそうに室内を探検して回っており、セイは必死に自分のような存在にジャズが手を出すことは無い、そうだ!そうに決まっている!!と言い聞かせると部屋の中に入ったのだ。
色々とあったものの無事に就寝を迎えることとなったセイであったが、隣のベッドでジャズが寝返りを打つ度、何やら聞き慣れぬ単語で寝言を言う度、ビクリと身体を震わせ目を覚ます事となったので結局昨夜は一睡も出来ないまま朝を迎えることとなった。
「(心臓に悪すぎ)」
二度とモーテルは使わない。
そう決意しながらセイは睡魔と必死に戦っていた。
コクリコクリと船を漕ぐセイを無視したまま、サイドスワイプとジャズは場違いなほど明るい会話をしており、時折声を上げて双方が笑いあう。
少しくらいは自分の心境を悟ってくれても良いでは無いか、とセイは思う反面、今の自分の気持ちが悟られぬ事に安堵した。
ジャズとサイドスワイプの間に交わされる会話のどれもがセイには聞き慣れぬ単語のはずなのに、何故かセイはその言葉を知っている気がした。
知識としてセイの中に確立しているのだ。
「(あぁ・・・・知っているのは”貴方”ね)」
嫌みなくらい真っ白なボディと生真面目で不器用な青い目をしたロボットの姿を思い浮かべたセイは笑う。
ティスランド。
誰もが彼女の帰還を願っている。
セイではなく、ティスランドの帰還を待っているのだ。
人としてではない存在を沢山の人が求めている。
自分という存在はただの障害物でしか無い、そう思ったセイの背を氷塊が伝い落ちていく。
”私”はこのまま消えるだけなの?
声にならぬ悲鳴をあげるがソレを聞く者はいない。
気が狂いそうな意識の中、誰かの、低い男の声が響く。
『”俺”にも”ティスランド”にもお前が必要だ。誰一人欠けることは許されない。下らねぇ事は考えるな』
初めて聞く声なのに酷く安心できたセイは肩の力を抜くとそのまま睡魔に身を委ねた。
少しずつ聞こえなくなってくるジャズとサイドスワイプの会話。
ソレを子守歌代わりにセイの意識は深い深い奥底へと落ちていく。
『あの変態に関しては身の危険を感じたのならば殴っておけ』
『あの人は悪い人ではないが・・・その少しばかり、過保護なだけだ』
聞こえてきた微かな声にセイは解っていると言うかのように笑う。