4章:戦闘と終幕と企事
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何かを訴えるかのようにワナワナと震える手がレノックスの心境を物語っており、ソレを見たラチェットは同情するかのように軽く背を叩いた後、毛布を被ったままぶるぶると震えているティスランドをジッと見つめる。不意に名案を思いついたと言うかのような声で問いかけた。
『私の名はラチェット。軍医をしている。君の治療もしたことがあり、君からの相談を色々と受けていた。・・・ちなみにこちらの魂が抜けかけた軍人はレノックス。悪い奴ではないし、君も色々と心を許していた。さてお嬢さん。もう一度名前を聞いても良いかな?』
「セイ」
『・・・そうか』
何か得心を得たかのような声でラチェットは告げると、放心したままのレノックスを掴み上げるとコソコソと何かを伝える。
レノックスは酷く疲れた顔をしたまま微かに頷くとそのまま退出したので、室内にはセイとラチェットのみになった。
広い室内にセイの泣く声が響く。
時折鼻水をすする音が毛布越しに聞こえ、痛々しいその音にラチェットは少しだけ罪悪感を抱く。
「お母さん」
母を求める子供の声は痛々しい。
気づけばラチェットは細心の注意を払いながらティスランドの、セイの頭を毛布越しに撫でていた。
『(バンブルビーから報告は受けていたが・・・どうやら”今”主導権を握っているのは報告に上がっていたディセプティコンではないようだな)』
バンブルビーからティスランドに起きた変化について報告がされていた。
目がディセプティコンのように赤くなり、そして言動も行動も酷く荒々しくなった、それを最初はラチェットは信じられず、すぐさま勘違いだと言ったのだが意外な人物がバンブルビーの発言を擁護した。
『本当だ。俺も見た。彼奴の目が赤くなっているのをな』
苦々しい音声でジャズが告げた事によりラチェットは報告が事実なのだと悟った。
もしも二人の言っている事が本当ならば自分達にとってティスランドという存在は危険なものとなる。そう判断したラチェットはティスランドに対して強制的にハッキングを行う事を決めると、最も危険値の低いヒューマンモードへと彼女の身体を変形させたのだ。
万が一、報告に上がっていた人格がティスランドの主導権を握ったとしても、この状態ならば暴れても自分一人で容易に押さえこむ事が出来ると判断した上での行動だった。
その際に記録なども調べてみたがディセプティコンに属する情報は何一つとして見つけることは出来なかった。
『君はチャイニーズかね?』
「私は日本人です」
鼻をすする音と共に返された言葉はしっかりとしたものだったことにラチェットはホッとする。問いかけに対してきちんとした返答を出来るだけの理性がある、それだけでかなり話し合いがしやすくなるのだ。
他愛ない世間話に見せかけつつもラチェットはセイから確実に情報を引き出していく。
そうして解ったのはセイがどのような人物なのかということだ。
家族旅行でアメリカに来て、ある街に突然現れた軍人達、そして最期に覚えているのは銃弾に倒れたこと。それらを聞いてラチェットはセイという人間はキューブを巡って戦った時に運悪く巻き込まれただけなのだと理解すると、すぐさまその時の死者、行方不明者のリストを確認すると該当する人物が一人だけヒットする。データを呼び起こせばその人物は今のティスランドと瓜二つの顔をしていた。
『(なるほど。そういうことか・・・・)』
自身の中で得心を得たラチェットは一人で頷いていた。
ティスランドからは想像出来ないほど幼い思考と言動、そして報告に上がっていたディセプティコンらしくない姿にラチェットはコレは自分の手に余る事態だと再認識すると、この面倒くさい事態を何とかするためには時間が必要だと判断した。
かと言って今のティスランドを、否、セイを一人にすることに対して不安もある。
『(さてこの子を誰に託そうか)』
そう思ったラチェットの脳裏に銀色の彼の姿が思い浮かぶ。
元々、彼はティスランドを気に掛けていたのだから適任だろうと判断したラチェットの口元に意味深な笑みが浮かんだがソレに気づいた者はこの場に誰一人として居なかった。
『私の名はラチェット。軍医をしている。君の治療もしたことがあり、君からの相談を色々と受けていた。・・・ちなみにこちらの魂が抜けかけた軍人はレノックス。悪い奴ではないし、君も色々と心を許していた。さてお嬢さん。もう一度名前を聞いても良いかな?』
「セイ」
『・・・そうか』
何か得心を得たかのような声でラチェットは告げると、放心したままのレノックスを掴み上げるとコソコソと何かを伝える。
レノックスは酷く疲れた顔をしたまま微かに頷くとそのまま退出したので、室内にはセイとラチェットのみになった。
広い室内にセイの泣く声が響く。
時折鼻水をすする音が毛布越しに聞こえ、痛々しいその音にラチェットは少しだけ罪悪感を抱く。
「お母さん」
母を求める子供の声は痛々しい。
気づけばラチェットは細心の注意を払いながらティスランドの、セイの頭を毛布越しに撫でていた。
『(バンブルビーから報告は受けていたが・・・どうやら”今”主導権を握っているのは報告に上がっていたディセプティコンではないようだな)』
バンブルビーからティスランドに起きた変化について報告がされていた。
目がディセプティコンのように赤くなり、そして言動も行動も酷く荒々しくなった、それを最初はラチェットは信じられず、すぐさま勘違いだと言ったのだが意外な人物がバンブルビーの発言を擁護した。
『本当だ。俺も見た。彼奴の目が赤くなっているのをな』
苦々しい音声でジャズが告げた事によりラチェットは報告が事実なのだと悟った。
もしも二人の言っている事が本当ならば自分達にとってティスランドという存在は危険なものとなる。そう判断したラチェットはティスランドに対して強制的にハッキングを行う事を決めると、最も危険値の低いヒューマンモードへと彼女の身体を変形させたのだ。
万が一、報告に上がっていた人格がティスランドの主導権を握ったとしても、この状態ならば暴れても自分一人で容易に押さえこむ事が出来ると判断した上での行動だった。
その際に記録なども調べてみたがディセプティコンに属する情報は何一つとして見つけることは出来なかった。
『君はチャイニーズかね?』
「私は日本人です」
鼻をすする音と共に返された言葉はしっかりとしたものだったことにラチェットはホッとする。問いかけに対してきちんとした返答を出来るだけの理性がある、それだけでかなり話し合いがしやすくなるのだ。
他愛ない世間話に見せかけつつもラチェットはセイから確実に情報を引き出していく。
そうして解ったのはセイがどのような人物なのかということだ。
家族旅行でアメリカに来て、ある街に突然現れた軍人達、そして最期に覚えているのは銃弾に倒れたこと。それらを聞いてラチェットはセイという人間はキューブを巡って戦った時に運悪く巻き込まれただけなのだと理解すると、すぐさまその時の死者、行方不明者のリストを確認すると該当する人物が一人だけヒットする。データを呼び起こせばその人物は今のティスランドと瓜二つの顔をしていた。
『(なるほど。そういうことか・・・・)』
自身の中で得心を得たラチェットは一人で頷いていた。
ティスランドからは想像出来ないほど幼い思考と言動、そして報告に上がっていたディセプティコンらしくない姿にラチェットはコレは自分の手に余る事態だと再認識すると、この面倒くさい事態を何とかするためには時間が必要だと判断した。
かと言って今のティスランドを、否、セイを一人にすることに対して不安もある。
『(さてこの子を誰に託そうか)』
そう思ったラチェットの脳裏に銀色の彼の姿が思い浮かぶ。
元々、彼はティスランドを気に掛けていたのだから適任だろうと判断したラチェットの口元に意味深な笑みが浮かんだがソレに気づいた者はこの場に誰一人として居なかった。