序章:彼と彼女と私
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誰から囁いている。
かえっておいで、と。
『一度、還ったはずだ』
違うと優しくその声は否定をする。
かえっておいで、と。
「還る?どこに?私は・・・私は帰るよ?生まれ故郷の日本に」
それはできないとその声は否定をする。
かえっておいで、と。
『俺はまだ還れない。あいつを、スタースクリームを殺すまでは』
「私は帰らなきゃ。家族と一緒に・・・日本に」
同時に出た言葉に対し、声は言葉を選んでいるようだった。
”それはできない”
静かな声ではあるがはっきりと否定されたことにストラトスもセイも何故だと言うかのように顔をしかめたとき、この場に自分以外の存在が居る事に二人は気づく。
恐る恐るというかのようなゆっくりとした動作で二人は隣に居る相手を見ると、そこには初めて見る顔があった。
けれど、自分達はこの顔を知っているのだと何故がそう認識できた。
”彼はセイであり、彼女はストラトスでもある”
『ようするに俺は死んだ後、この虫けらになったって事か?』
「・・・私の前世ってこんな金属なの?」
互いにそれは御免被ると言うかのように二人は同時に顔をしかめる。
似ても似つかない。
認めたくないのだ。
”貴方達はもう終わりを迎えた。だからかえるべき。私の中に”
『それは出来ない。俺はあいつを殺す』
「私も嫌だ。だって・・・だって、まだやりたいことがたくさんあるもの」
捨てられない生を二人は口にする。
頑なな二人の態度に声は困ったように沈黙をしていたが、不意に良いことを思いついたと言うかのように口を開く。
”ならばもう一度だけ・・・貴方達に与えましょう。”
『感謝する』
「ありがとうございます」
”貴方達は同じ存在であるけれど、今は全く違う存在・・・そして、これからの貴方も貴方達とは違う存在となる。三人が全ていつか、私の中にかえってくるのを待っています”
『・・・どういう意味だ?』
「凄く嫌な予感がするんだけど!?」
二人の困惑を無視するかのように光が強くなる。
その光に包まれた二人の輪郭が消えていく。痛みを感じることなく、意識がゆっくりと混ざり合っていく。
ストラトスという存在がスタースクリームへと抱いた怒り、悲しみ、憎しみ。
セイという存在が抱いた喜び、哀しみ、苦しみ。
それらは全て綺麗に混ざり合い、新しい感情を生み出していく。
光が消えたのと同時にソレは目を開く。
青い瞳が何かを探すかのように辺りを見渡していたが、不意に、塔のてっぺんで戦う何かの姿に気がつく。
戦闘に気づいたのと同時に、ソレは迷うことなく右腕を変形させる。
変形した右腕はライフルだ。
そして迷うことなく、その銃口を赤い目をした何かに向かい定めると発砲した。
それが”彼”と”彼女”の最後の記憶であり
そして”私”という存在の始まりのメモリーとなる。