写真に写っていたシーカーと呼ばれる存在、彼らならばサムの頭の中を支配する文字を読めるだろうとホィーリーは告げると、そのシーカー達が現在どこに居るのか教えてくれる。

　「・・・宇宙博物館？そんな場所に居るというのか？」

ティスランドが信じられないというかのような顔をして問いかけた。
　てっきりどこかに隠れて居るのだろうと思ったが、まさか博物館に隠れているとは思わなかったのだ。

　『揃いも揃って年代物ってやつだからな！！隠れるならそれ相応の場所にって事だろ？まぁ、エネルギー切れを起こしているだろうから会話が出来るとは思わないことだ。何よりあの世代と会話するのは骨が折れるぜぇ？せいぜい頑張りな！！』

ケラケラと笑ったホィーリーの言葉にティスランドは今後どうすべきかと考える。
　シーカーがどちらの派閥に属しているのか解らない以上、迂闊な行動は敵を増やすだけになり、自分達の首を絞めるだけになってしまうかもしれない。
　
　「こんな時」

司令官が生きていてくれれば、最良の決断をしてくれる誰かが居てくれれば、無意識の内にそんなことを考えてしまったティスランドは、これでは駄目だと言うかのように小さく舌打ちをする。
　今この場に居るのは自分達しか居ないのだ。
　サム・ウィトウィッキーを守れるのは自分達だけなのだから、この場に居る者達だけで決断を下さなければならない。
　ティスランドはこの場にて一番の発言力を持っているバンブルビーと一度相談すべきだと思い、彼の元へと向かおうとしたときだ。
　
　「行こう」

静かな声であったがその場に居る者達には十分届く大きさだった。
　ティスランドは青い目を向ける。
　そこに居たのは未だ、微かに怯えを宿しているが強い目をしたサムが居た。
　
　「僕らが行かなきゃ何も始まらない」

真っ直ぐティスランドを見つめながらサムが告げた言葉にティスランドは何も言わずサムを凝視するしか出来ない。
　似ても似つかないというのに、今のサムの姿はオプティマスに被って見えたのだ。
　勇敢で凜々しいはずのオプティマスと、臆病で腰が引けているサムの姿が同じように見えた。

　「この文字を解読して、奴らよりも先に僕らが対処すべきなんだ！！オプティマスがやろうとしたことを僕らがやるべきなんだ」　

サムの言葉に誰もが耳を傾ける。
　その場の雰囲気に誰もが飲まれるかのように言葉を失い立ち尽くしていたが、無言のままシーカーの元に向かうための準備を始めたときだった。

　「一つ確認しておきたいんだが」

ガチャンという金属音が響いたため、ミカエラが視線を向けるとそこにあったのは銃を構えているティスランドの姿があった。
　彼女が向ける銃口の先に居るのはサムだ。
　銃を向けられたサムは両手を上げて狼狽しており、先程の彼とはまるで違っていた。

　「この先待っているのは戦いだ。その先に死が待っていたとしてもお前はやるというのか？」

オプティマスの遺志を引き継ぐのかと問いかけるティスランドの目は本気だ。
　そのことに気づいたサムは上げていた両手を静かに下げる。
　今でも鮮明に覚えているのだ。
　オプティマスが殺される瞬間が。
　その原因となったのは間違いなく自分である事をサムは理解しているらしく、サムの顔が後悔によって歪むのをティスランドは見つめながら問いかける。

　「次に犠牲になるのはお前かもしれない。下手をするとミカエラかもしれない・・・お前と共に行動する者達が犠牲になると解っていても、お前はやると言えるのか？」

誰かを犠牲にするかもしれない、誰かの屍の上に立たねばならないのかもしれない、それでも良いのかと言うかのようにティスランドはサムに対して言葉を投げかけた。