序章:彼と彼女と私
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その日はアメリカ滞在最後の日だった。
たまたま母が福引きで引き当てた海外旅行。それが何かの知らせだったのだと理解した時には全てが遅すぎて、そして意味の無いことだった。
日本に居る友人達へのお土産やら、家族旅行の思い出になるだろう品を購入していたセイだったが、突然現れたアメリカ軍の姿を見ると嫌な予感を抱く。
物々しい装備に顔を歪めながら彼等を見つめた後、この街ではこれが当たり前のことなのだろうか?そう思いながらこの街に住んでいるだろう人達へと視線を向ければ、彼等の顔が引きつっていた事からコレは尋常ではないと判断したセイは嫌な予感を抱く。
「ねぇ・・・なんだか変じゃない?いくらアメリカだからとはいえさ」
隣に居る母に問いかけると母は困惑したように軍人達を見つめているだけだ。
「お店の中とかに避難とかした方が良いような気がするんだけど?」
「でも、街の人達は誰も避難していないわよ?もう少し様子見しましょう?もしかしたら軍事演習ってやつかもしれないじゃない?」
危機感の無さを象徴するかのような母の発言にセイは不安な面持ちで軍人達を見て居ると、軍用車にしては不釣り合いな鮮やかな黄色い車が颯爽と現れる。その車から降りてきたのは意志の強そうな青年、そしてナイスバディの美女だ。どう見ても軍人だとは思えない彼らの姿をセイが小首を傾げて見つめていることしか出来なかったときだった。
「来たぞ!!F-22だ!!!」
軍人の一人が空を指を指す。
周りに居た人達も空を見ると戦闘機が一機そこにあり、ソレを見た瞬間セイの心臓がドクリと脈を打ち、感情に身を任せて思う存分罵声を浴びせたい気持ちになる。
「なんで?」
そんな気持ちを抱くのか解らない。
だが、自分はソレを知っているのだと、ソレを恨んでいるのだと心が、記憶が叫ぶ。
「どうしたの?セイ姉ちゃん?」
弟が手を握って問いかけてくるが答えることが出来ない。
セイの視線は宙を飛ぶ戦闘機へと向けられている。
視線を逸らしてはいけない。
アレは呆気ないほど簡単に裏切るのだから。
”そういう事”に長けた奴だった。
「名前・・・なんだっけ」
醜いタトゥーまみれの戦闘機の名を霞がかかった思考で必死に思い出そうとする。
あの時も、今も、飛行型を選択する。
己がその場所の主だと言うかのように。昔は笑えたそれは今では笑えない。
『スタースクリームだ!!!』
「あぁ、そうだ。スタースクリーム・・・”俺”を殺した奴だ」
ぞわりと心の底からこみ上げてくる憎しみ。
こんな感情が自分にあったのかと思えるほどのもの。
攻撃するために飛行高度を下げた奴の姿を認識した瞬間、セイは掴んでいた弟の手を離す。
軍人達が民間人の避難誘導を開始する中、セイは彼らとは逆方向に向かって走り出す。次々と放たれる銃弾を無視したままセイはスタースクリームの視界に入るように立つ。
「スタースクリーム!!!」
見つけた、見つけた、見つけた。
心が歓喜で震える。
誰かの叫び声が聞こえる。
「戻ってきたぞ、”俺”は貴様の前に!!貴様を殺すために!!!!」
狂ったように笑うセイの周りに銃弾が放たれ、柔らかな皮膚を引き裂きながら華奢な体は呆気ないほど簡単に宙を舞う。
地面に叩付けられた体から骨の折れる音が聞こえてきた。
それでもセイはスタースクリームから視線を逸らさない。
逃がさない、そう言うかのように伸ばした手がギュッと握られた直後、セイの体から力が抜けた。
それが”私”と”俺”の最後のメモリー
たまたま母が福引きで引き当てた海外旅行。それが何かの知らせだったのだと理解した時には全てが遅すぎて、そして意味の無いことだった。
日本に居る友人達へのお土産やら、家族旅行の思い出になるだろう品を購入していたセイだったが、突然現れたアメリカ軍の姿を見ると嫌な予感を抱く。
物々しい装備に顔を歪めながら彼等を見つめた後、この街ではこれが当たり前のことなのだろうか?そう思いながらこの街に住んでいるだろう人達へと視線を向ければ、彼等の顔が引きつっていた事からコレは尋常ではないと判断したセイは嫌な予感を抱く。
「ねぇ・・・なんだか変じゃない?いくらアメリカだからとはいえさ」
隣に居る母に問いかけると母は困惑したように軍人達を見つめているだけだ。
「お店の中とかに避難とかした方が良いような気がするんだけど?」
「でも、街の人達は誰も避難していないわよ?もう少し様子見しましょう?もしかしたら軍事演習ってやつかもしれないじゃない?」
危機感の無さを象徴するかのような母の発言にセイは不安な面持ちで軍人達を見て居ると、軍用車にしては不釣り合いな鮮やかな黄色い車が颯爽と現れる。その車から降りてきたのは意志の強そうな青年、そしてナイスバディの美女だ。どう見ても軍人だとは思えない彼らの姿をセイが小首を傾げて見つめていることしか出来なかったときだった。
「来たぞ!!F-22だ!!!」
軍人の一人が空を指を指す。
周りに居た人達も空を見ると戦闘機が一機そこにあり、ソレを見た瞬間セイの心臓がドクリと脈を打ち、感情に身を任せて思う存分罵声を浴びせたい気持ちになる。
「なんで?」
そんな気持ちを抱くのか解らない。
だが、自分はソレを知っているのだと、ソレを恨んでいるのだと心が、記憶が叫ぶ。
「どうしたの?セイ姉ちゃん?」
弟が手を握って問いかけてくるが答えることが出来ない。
セイの視線は宙を飛ぶ戦闘機へと向けられている。
視線を逸らしてはいけない。
アレは呆気ないほど簡単に裏切るのだから。
”そういう事”に長けた奴だった。
「名前・・・なんだっけ」
醜いタトゥーまみれの戦闘機の名を霞がかかった思考で必死に思い出そうとする。
あの時も、今も、飛行型を選択する。
己がその場所の主だと言うかのように。昔は笑えたそれは今では笑えない。
『スタースクリームだ!!!』
「あぁ、そうだ。スタースクリーム・・・”俺”を殺した奴だ」
ぞわりと心の底からこみ上げてくる憎しみ。
こんな感情が自分にあったのかと思えるほどのもの。
攻撃するために飛行高度を下げた奴の姿を認識した瞬間、セイは掴んでいた弟の手を離す。
軍人達が民間人の避難誘導を開始する中、セイは彼らとは逆方向に向かって走り出す。次々と放たれる銃弾を無視したままセイはスタースクリームの視界に入るように立つ。
「スタースクリーム!!!」
見つけた、見つけた、見つけた。
心が歓喜で震える。
誰かの叫び声が聞こえる。
「戻ってきたぞ、”俺”は貴様の前に!!貴様を殺すために!!!!」
狂ったように笑うセイの周りに銃弾が放たれ、柔らかな皮膚を引き裂きながら華奢な体は呆気ないほど簡単に宙を舞う。
地面に叩付けられた体から骨の折れる音が聞こえてきた。
それでもセイはスタースクリームから視線を逸らさない。
逃がさない、そう言うかのように伸ばした手がギュッと握られた直後、セイの体から力が抜けた。
それが”私”と”俺”の最後のメモリー