その報告がされたのは格納庫にオートボット達が集合してからだ。

　『メッセージを聞いた者達がここに来る』

オプティマスの言葉に皆が嬉しそうな雰囲気になる。
　宇宙に散っていたオートボット達がオプティマスのメッセージを傍受したらしく、この星にやって来るのだという。すでに政府には話を通してあり、受け入れの準備は万端だとオプティマスが告げるとジャズが問いかけた。

　『やって来るのは誰だ？』

　『アーシーズ、サイドスワイプ、ジョルト、マッドフラップとスキッズだ』

　『こりゃまた随分とまぁ個性的な奴らだな』

ニヤリと笑ったジャズの発言に対し、仲間が増えることを歓迎するかのようにオプティマスは頷く。
　喜ぶオートボットとは対照的にティスランドは動じることなく黙ってその場に待機をしていた。今聞いた名前に聞き覚えはない。恐らく、ストラトスが破壊された後に作られた機体なのだろうなと考えていた。
　ストラトスはそれなりに永く生きた部類に入る機体だった。
　参謀達と比べれば若い部類に入るのだが、ある程度の戦闘も経験し、それなりに修羅場もくぐり抜けてきた精鋭でもあった。

　「（まぁ私が一番の最年少ということに今はなるのだな）」

地球生まれの自分なんてそれこそ年長者達にとっては赤ちゃんと同じだろう、と思いながらオプティマスを見ていると、彼の青い目がタイミング良く向けられたためティスランドは驚き思わずビクリと一瞬身体を震わせた。

　『ティスランド、アーシーズは君と同じ女性型だ。もっとも彼女達は三体で一つの人格を所持している・・・君にとって良い導き手になるだろう』

　『到着次第、時間を見つけて交流をします』

　『そうしてくれ』

気を遣われてしまったなとティスランドは申し訳なく思う反面、それと同時に自分と同じ女型のトランスフォーマーの存在に喜ばなかったのかと問われれば嘘だ。
　彼女と達と会えば色々と話してみたいなと考える。
　向こうが歓迎してくれるのかは解らないが。

　『アーシーズなら気さくな奴らだから心配する必要は無いさ。ただ、マッドフラップとスキッズは注意しておけよ？』

　『問題があるのですか？』

　『悪戯小僧なんだよ・・・お前よりも少しばかり早く生まれたんだが、お前の方が精神的に遙かに大人だよ』

呆れたようにジャズが教えてくれる。
　恐らく、昔何かしらの迷惑を被ったのだろうなと判断したティスランドは同情するかのように彼を見つめた。
　ジャズは副官という立場にありながらティスランドをはじめとした者達の事を常に気に掛けている。やることがたくさんあるというのに、時間を作っては声を掛けてくれるのだ。

　『将校殿』

　『んー？』

　『私のことは気になさらず。一人でも何とか出来ます』

まさかの発言にジャズはバイザー越しに目を開く。
　一番若いはずのティスランドからの独り立ち宣言、それが自分を気を遣っての発言だと解っているがジャズには悲しかった。
　ある意味、ティスランドとの会話はジャズにとって癒やしになっていたのだ。言うことを大人しく聞き、こちらの言い分を瞬時に理解をして行動をしてくれる。悪い事は決してしない、ある意味で優等生な妹分との会話は疲れたジャズのスパークを癒やしてくれていたのだ。

　『ティスランド』

　『はい』

　『もう少しだけ俺の世話になっておけ。頼むから、な？』

意味が分らなかったが、彼の雰囲気からここは頷いた方が良いと判断したティスランドは小さく頷いた。