9章:彼と敵とこれからと
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軍人達のように武器を扱えるわけでもなく、サムのように勇気があるわけでもない、ただ、どこにでも居るような人間が自分である事くらいセイが一番よく解っていた。
だからこそ二機の邪魔にならないように今日まで生きてきた。
一度だけ外に出たことがあったが、アレは思い出したくもない嫌な思い出となっており外へは二度と出ないと決めていた。
ソレが正しいことで、ソレが最善なのだ。
けれど心のどこかで何かが声を上げる。その度に二度と会えない家族の顔ばかりが次々と思い浮かび、理解できない焦燥感が背筋をジリジリと焼く。
『それでも俺たちはお前に頼るしかない』
きっぱりと返された言葉にセイは唇を噛みしめる。
「私に一体何ができるって言うんですか?」
巨大な腕も無く、状況を覆せる知略も無く、主導権を握ったとしても一瞬で死んでしまうことは間違いない。
ましてやこの空間から出た先に待っているのは戦場だ。
安寧とした場所で過ごしてきた自分が耐えられるわけなんて無い、そう言うかのように首を振ったセイの姿に対してティスランドは何も言えずに沈黙する。
『仮にもしも俺が主導権を握った場合、俺はサウンドウェーブの支配下から逃れることは難しい』
「そのためのワクチンじゃないの?
『あの軍医の事は信用しているがソレとコレとは話が違う。俺の近くにサウンドウェーブが居るのならば、奴は間違いなく俺を再び支配下に置くために何か手を打ってくる……ってか恐らくすでに俺の中には奴が用意しただろう時限爆弾があるはずだ』
そういう狡猾な奴だ。
忌々しい、そう言うかのように排気したストラトスは赤い瞳をティスランドへと向ける。
『俺と同じ存在であるティスランドに至っては論外だ。俺以上に抗う術を持っていないからな。下手すりゃ自我を崩壊させて存在だけを俺の中に残される可能性がある』
それはストラトス自身が望んでいないことだ。
「2人が対抗できないのに私がどうにかできるわけなんて……」
『そうだな。だからこそ勝機があるとも言える』
「え?」
驚いたセイが視線を上げると、そこには自分を見下ろしているストラトスの赤い瞳がある。
『アイツは俺を失うことは阻止したい……”俺たち”の構造ならば良く解っている。どの程度攻撃をして良いのか、何処を破壊したのならば良いのか熟知しているだろう。人間ともなれば話は違う』
『ストラトス。ですが情報参謀はプリテンダーを作り出していただろう?人間の構造も彼は理解している可能性が高い』
かつてアリスという生命体を作り出してサムを襲撃させた事を指摘したティスランドの言葉にストラトスは一つ頷く。
『そうだな。だからこその勝機がそこにある』
研究したが故に人間の脆弱さを知ってしまった。
少しでも攻撃を見誤ればその命など一瞬で消えてしまうことをサウンドウェーブは知っている。
ソコを突く。
『アイツは俺に執着している。だから”人間の姿”の時には過激な攻撃はしない。いや、できねぇ』
「だったら、私の姿になってティスランドかストラトスが主導権を握った方が良いと思うけど?」
『無理だ』
断言された言葉にセイは咎めるかのような視線を向ける。
『俺とティスランドが主導権を握っている解った奴は時限爆弾を使うだろう。そうりゃ俺たち2人は仲良くサウンドウェーブのお人形だ』
「その時限爆弾が私に影響を及ぼすことはないの?」
『お前達人間の精神構造を全て把握するのには時間が足りない。奴の用意した時限爆弾は俺とティスランドにしか効果を発揮しないんだよ……だからお前が主導権を握れ。ソレしか道は残されてはいない』
突然任されたあまりにも重すぎる大役にセイは言葉を失いガタガタと震えることしかできない。
そんなセイの姿に対して二機は何も言わずに黙って答えを出すのを待つ。
震えが次第に収まり始め、意を決したかのようにゆっくりと深呼吸をした後、顔を上げたセイは二機に向かい自身の意思を告げた。
だからこそ二機の邪魔にならないように今日まで生きてきた。
一度だけ外に出たことがあったが、アレは思い出したくもない嫌な思い出となっており外へは二度と出ないと決めていた。
ソレが正しいことで、ソレが最善なのだ。
けれど心のどこかで何かが声を上げる。その度に二度と会えない家族の顔ばかりが次々と思い浮かび、理解できない焦燥感が背筋をジリジリと焼く。
『それでも俺たちはお前に頼るしかない』
きっぱりと返された言葉にセイは唇を噛みしめる。
「私に一体何ができるって言うんですか?」
巨大な腕も無く、状況を覆せる知略も無く、主導権を握ったとしても一瞬で死んでしまうことは間違いない。
ましてやこの空間から出た先に待っているのは戦場だ。
安寧とした場所で過ごしてきた自分が耐えられるわけなんて無い、そう言うかのように首を振ったセイの姿に対してティスランドは何も言えずに沈黙する。
『仮にもしも俺が主導権を握った場合、俺はサウンドウェーブの支配下から逃れることは難しい』
「そのためのワクチンじゃないの?
『あの軍医の事は信用しているがソレとコレとは話が違う。俺の近くにサウンドウェーブが居るのならば、奴は間違いなく俺を再び支配下に置くために何か手を打ってくる……ってか恐らくすでに俺の中には奴が用意しただろう時限爆弾があるはずだ』
そういう狡猾な奴だ。
忌々しい、そう言うかのように排気したストラトスは赤い瞳をティスランドへと向ける。
『俺と同じ存在であるティスランドに至っては論外だ。俺以上に抗う術を持っていないからな。下手すりゃ自我を崩壊させて存在だけを俺の中に残される可能性がある』
それはストラトス自身が望んでいないことだ。
「2人が対抗できないのに私がどうにかできるわけなんて……」
『そうだな。だからこそ勝機があるとも言える』
「え?」
驚いたセイが視線を上げると、そこには自分を見下ろしているストラトスの赤い瞳がある。
『アイツは俺を失うことは阻止したい……”俺たち”の構造ならば良く解っている。どの程度攻撃をして良いのか、何処を破壊したのならば良いのか熟知しているだろう。人間ともなれば話は違う』
『ストラトス。ですが情報参謀はプリテンダーを作り出していただろう?人間の構造も彼は理解している可能性が高い』
かつてアリスという生命体を作り出してサムを襲撃させた事を指摘したティスランドの言葉にストラトスは一つ頷く。
『そうだな。だからこその勝機がそこにある』
研究したが故に人間の脆弱さを知ってしまった。
少しでも攻撃を見誤ればその命など一瞬で消えてしまうことをサウンドウェーブは知っている。
ソコを突く。
『アイツは俺に執着している。だから”人間の姿”の時には過激な攻撃はしない。いや、できねぇ』
「だったら、私の姿になってティスランドかストラトスが主導権を握った方が良いと思うけど?」
『無理だ』
断言された言葉にセイは咎めるかのような視線を向ける。
『俺とティスランドが主導権を握っている解った奴は時限爆弾を使うだろう。そうりゃ俺たち2人は仲良くサウンドウェーブのお人形だ』
「その時限爆弾が私に影響を及ぼすことはないの?」
『お前達人間の精神構造を全て把握するのには時間が足りない。奴の用意した時限爆弾は俺とティスランドにしか効果を発揮しないんだよ……だからお前が主導権を握れ。ソレしか道は残されてはいない』
突然任されたあまりにも重すぎる大役にセイは言葉を失いガタガタと震えることしかできない。
そんなセイの姿に対して二機は何も言わずに黙って答えを出すのを待つ。
震えが次第に収まり始め、意を決したかのようにゆっくりと深呼吸をした後、顔を上げたセイは二機に向かい自身の意思を告げた。
