序章:彼と彼女と私
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避難をさせられた人間達に対し、軍人達が説明をしているのをジャズはジッと見つめながら側に立っている白い機体へと意識を向ける。
『(何を見ているんだ?)』
彼女はある一点を見つめたまま動かない。
ジャズも自身のカメラをその場所へと向け、音声を拾い上げると外国人らしい一家が必死に軍人達に食ってかかっていた。
「娘の姿が見えないんです!?探してください!!」
「お願いします!!お願いします!!」
中年の男女が必死に軍人に頭を下げて懇願している。
彼らの少し後ろには子供の姿があり泣きながら誰かを求めていた。
それが一体どうしたのだとジャズは思う。
どうせきっと死んだのだ。
戦争とはそういうもので、自分達の戦いに巻き込まれた彼女達には申し訳ないと思うが、仕方の無いことなのだとジャズは考えていた。
そう考えながら隣に居る彼女へと再度視線を戻してみると、彼女はその青いカメラアイから冷却水を流していた。
無言のまま、ただ、静かに冷却水を流すその姿が人間のようだとジャズには思えたのと同時に、スパークがズキリと痛んだ気がした。
『ジャズさん』
『なんだ?ってか”さん”は不要だ』
『・・・戻りましょうか』
顔を向けられたときにはすでに冷却水は止まっていた。
けれど先程よりも沈んだ音声にジャズは無言のまま彼女の頭を撫でてやる。
何故か、そうしなければならない気がしたのだ。
『ありがとうございます』
『おう』
戻ってきた二体をオートボット達は歓迎する。
何をしていたのだと通信で問われたジャズは先程の光景を報告する。
彼女が何故あのような行動をとったのか解らない。
あんな風に、まるで、人間のように涙を流すのかも解らない。
辛うじて理解が出来るのはあの行動には何か意味があるのだということくらいだ。
『名前を決めたのだが・・・本当に私で良いのだろうか?』
自分よりも小さな機体に向かいオプティマスは問いかける。
白い機体は楽しそうに、それでいて何かを期待をしているかのようにキラキラと青いカメラを輝かせると頷いた。
『ティスランド』
それが新たに与えられた名前だ。
何度か己の名前を繰り返していたティスランドであったが、自身の中で納得出来たらしく、こくんと一つ頷くと顔を上げた。
『オプティマス・・・私は今後、貴方の傘下に加わるべきなのだろうか?』
『勿論だ。私は君を歓迎するよ』
新しい仲間が加わったことを純粋に喜ぶ声であったが、その言葉を素直に信用出来るほどティスランドは愚かではない。
観察するかのように見つめてくる視線がいくつもある。
彼らから信用されるのは当分先になるだろうなと考えつつも、それと同時に自身の過去を思い出す。
『(私が過去にディセプティコンだったと告げれば彼らはどうするのだろうな)』
逆上して殺しにかかってくるだろうかと考える。
第一、自分の直接の死因はオートボットによるスパーク破壊だ。
その時のメモリーは消えそうにない。
果たして自分は彼らと仲良く出来るだろうか、そう考えたティスランドは静かに排気をすることしか出来なかった。
『(何を見ているんだ?)』
彼女はある一点を見つめたまま動かない。
ジャズも自身のカメラをその場所へと向け、音声を拾い上げると外国人らしい一家が必死に軍人達に食ってかかっていた。
「娘の姿が見えないんです!?探してください!!」
「お願いします!!お願いします!!」
中年の男女が必死に軍人に頭を下げて懇願している。
彼らの少し後ろには子供の姿があり泣きながら誰かを求めていた。
それが一体どうしたのだとジャズは思う。
どうせきっと死んだのだ。
戦争とはそういうもので、自分達の戦いに巻き込まれた彼女達には申し訳ないと思うが、仕方の無いことなのだとジャズは考えていた。
そう考えながら隣に居る彼女へと再度視線を戻してみると、彼女はその青いカメラアイから冷却水を流していた。
無言のまま、ただ、静かに冷却水を流すその姿が人間のようだとジャズには思えたのと同時に、スパークがズキリと痛んだ気がした。
『ジャズさん』
『なんだ?ってか”さん”は不要だ』
『・・・戻りましょうか』
顔を向けられたときにはすでに冷却水は止まっていた。
けれど先程よりも沈んだ音声にジャズは無言のまま彼女の頭を撫でてやる。
何故か、そうしなければならない気がしたのだ。
『ありがとうございます』
『おう』
戻ってきた二体をオートボット達は歓迎する。
何をしていたのだと通信で問われたジャズは先程の光景を報告する。
彼女が何故あのような行動をとったのか解らない。
あんな風に、まるで、人間のように涙を流すのかも解らない。
辛うじて理解が出来るのはあの行動には何か意味があるのだということくらいだ。
『名前を決めたのだが・・・本当に私で良いのだろうか?』
自分よりも小さな機体に向かいオプティマスは問いかける。
白い機体は楽しそうに、それでいて何かを期待をしているかのようにキラキラと青いカメラを輝かせると頷いた。
『ティスランド』
それが新たに与えられた名前だ。
何度か己の名前を繰り返していたティスランドであったが、自身の中で納得出来たらしく、こくんと一つ頷くと顔を上げた。
『オプティマス・・・私は今後、貴方の傘下に加わるべきなのだろうか?』
『勿論だ。私は君を歓迎するよ』
新しい仲間が加わったことを純粋に喜ぶ声であったが、その言葉を素直に信用出来るほどティスランドは愚かではない。
観察するかのように見つめてくる視線がいくつもある。
彼らから信用されるのは当分先になるだろうなと考えつつも、それと同時に自身の過去を思い出す。
『(私が過去にディセプティコンだったと告げれば彼らはどうするのだろうな)』
逆上して殺しにかかってくるだろうかと考える。
第一、自分の直接の死因はオートボットによるスパーク破壊だ。
その時のメモリーは消えそうにない。
果たして自分は彼らと仲良く出来るだろうか、そう考えたティスランドは静かに排気をすることしか出来なかった。