8章:謀と喪失と暗躍者
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サムのすぐ側ではレノックスが居て彼は持っていた銃を構えながらセンチネルの動きを監視していた。銃を握る手には力が込められているためか、白く変色していて、それなのに引き金に掛けられている指は震えている。
明らかに動揺しているはずのレノックスだが彼はそれを顔には欠片も出すことをしないまま、ただ、NEST部隊の指揮官として自らが果たすべき職務を全うしていた。
辺り構わず発砲しているセンチネルの同行を確認しているレノックスの目が時折、センチネルから逸らされてある場所へと向けられる。
その視線の先にあるのはアイアンハイドの亡骸だ。
本当ならば、叶うのならば、今すぐにでも相棒とも呼べる彼の元に向かいたいのだろう。けれど同じ軍人であり、己の果たすべき職務を果たすべきが自分達の在り方だったと解っているレノックスは必死に自分の気持ちを押し殺していた。
「アイアンハイド!今度の休暇も俺に付き合ってくれるか!?」
『レノックス家への帰還の足に俺を使うのか?』
「いいだろうぅぅ?なぁ?なぁ!?お前だって密かにアナベルの成長を楽しんでいるくせに!!俺と一緒にレノックス家に帰ろう!!な?」
『・・・解った。オプティマスに申請しておく。期待はするなよ?』
「おう!感謝するぜ、相棒ッ!!」
指揮官としていつも凜々しく、そしてどこか張り詰めた厳しさを持っていたレノックスだったがアイアンハイドの前では少しだけ違っていた。
まるで幼い少年のように無垢な笑みを浮かべながらアイアンハイドに対して話しかけていて、それがレノックスという人間の素の顔なのだとティスランドは今になって理解した時だった。
「レノックスさんにお別れを言わせてあげて?・・・今ならまだ間に合うから」
人としての意思があり、別れを言うことの意味を知っているセイの声が聞こえた。
長い間聞いていなかったその声を聞いた瞬間、ティスランドは良かったという安堵感を抱くのと同時に彼女が声を出したことの意味を理解する。
人の気持ちを、心というモノをティスランドもストラトスも疎い。
それは2体だけではなくて金属生命体という存在自体が心というモノを理解しかねているからだ。
故にその気持ちにより添う事ができず、時には人間と対峙してしまうことも多々あった。
何故人間が怒っているのか理解出来ない金属生命体達に対し、その度にセイがやんわりと何故人間が異議を唱えるのか教えてくれたのだ。
「お別れを言えずに別れる事はとても悲しいから」
私もそうだった。
唯一の後悔だと言うかのように言われた言葉を最後にセイの声は遠ざかっていった。
慌ててティスランドは自分の胸元を押さえつけると、微かに伝わってくる2つの気配に安心したと言うかのようにゆるく息を吐き出した。
「(そうだな)」
別れとはいつだって悲しさを伴うモノだ。
ストラトスもセイもそれを解っていて、2人の記憶を元にティスランドはそれを認識するとゆっくりと深呼吸をするとレノックスの持っている銃へと手を掛けた。
「ティスランド?」
「コレ以外にも銃を携帯しているな?」
「あぁ・・・まぁな」
「ならソレを貸してくれ。・・・あまり長くはないが時間稼ぎくらいはできる」
スッと人工的な青い目を向ければレノックスはティスランドが言わんとしていることの意味を悟ると顔を大きく歪ませる。
明らかに動揺しているはずのレノックスだが彼はそれを顔には欠片も出すことをしないまま、ただ、NEST部隊の指揮官として自らが果たすべき職務を全うしていた。
辺り構わず発砲しているセンチネルの同行を確認しているレノックスの目が時折、センチネルから逸らされてある場所へと向けられる。
その視線の先にあるのはアイアンハイドの亡骸だ。
本当ならば、叶うのならば、今すぐにでも相棒とも呼べる彼の元に向かいたいのだろう。けれど同じ軍人であり、己の果たすべき職務を果たすべきが自分達の在り方だったと解っているレノックスは必死に自分の気持ちを押し殺していた。
「アイアンハイド!今度の休暇も俺に付き合ってくれるか!?」
『レノックス家への帰還の足に俺を使うのか?』
「いいだろうぅぅ?なぁ?なぁ!?お前だって密かにアナベルの成長を楽しんでいるくせに!!俺と一緒にレノックス家に帰ろう!!な?」
『・・・解った。オプティマスに申請しておく。期待はするなよ?』
「おう!感謝するぜ、相棒ッ!!」
指揮官としていつも凜々しく、そしてどこか張り詰めた厳しさを持っていたレノックスだったがアイアンハイドの前では少しだけ違っていた。
まるで幼い少年のように無垢な笑みを浮かべながらアイアンハイドに対して話しかけていて、それがレノックスという人間の素の顔なのだとティスランドは今になって理解した時だった。
「レノックスさんにお別れを言わせてあげて?・・・今ならまだ間に合うから」
人としての意思があり、別れを言うことの意味を知っているセイの声が聞こえた。
長い間聞いていなかったその声を聞いた瞬間、ティスランドは良かったという安堵感を抱くのと同時に彼女が声を出したことの意味を理解する。
人の気持ちを、心というモノをティスランドもストラトスも疎い。
それは2体だけではなくて金属生命体という存在自体が心というモノを理解しかねているからだ。
故にその気持ちにより添う事ができず、時には人間と対峙してしまうことも多々あった。
何故人間が怒っているのか理解出来ない金属生命体達に対し、その度にセイがやんわりと何故人間が異議を唱えるのか教えてくれたのだ。
「お別れを言えずに別れる事はとても悲しいから」
私もそうだった。
唯一の後悔だと言うかのように言われた言葉を最後にセイの声は遠ざかっていった。
慌ててティスランドは自分の胸元を押さえつけると、微かに伝わってくる2つの気配に安心したと言うかのようにゆるく息を吐き出した。
「(そうだな)」
別れとはいつだって悲しさを伴うモノだ。
ストラトスもセイもそれを解っていて、2人の記憶を元にティスランドはそれを認識するとゆっくりと深呼吸をするとレノックスの持っている銃へと手を掛けた。
「ティスランド?」
「コレ以外にも銃を携帯しているな?」
「あぁ・・・まぁな」
「ならソレを貸してくれ。・・・あまり長くはないが時間稼ぎくらいはできる」
スッと人工的な青い目を向ければレノックスはティスランドが言わんとしていることの意味を悟ると顔を大きく歪ませる。