行われた戦闘は即興の連係プレーは多少のあらが目立ったもののそれなりに上手くいったものだった。 ハイウェイでは決着をつける事が出来なかった為、センチネルを護衛しつつＮＥＳＴ基地へと向かって市街地を走っていたバンブルビーの中でティスランドは絶えず聞こえてくるＮＥＳＴ部隊からの報告を聞いていたときだ。

　「お前達！そっちに救援が向かったから安心しろ！！」

レノックスの声が聞こえてきたことにティスランドは誰が救援として来てくれるのだろうか？と思いながらフロントガラスを見た時だった。
　こちらへと猛スピードで接近してくる黒に気づく。
　
　「アイアンハイド」

これはとても頼もしい援軍だ。
　そう思いながらティスランドはバンブルビーの横を凄まじい速さで通り過ぎた直後にトランスフォームをして追手へと攻撃を仕掛けたアイアンハイドの姿を確認する。

　『俺もアイアンハイドと一緒に足止めをするからお前達は先に行け！！』

敵の数は２体。
　アイアンハイドが苦戦するような相手ではないが万が一に備えて自らも残ると報告をしてきたサイドスワイプの言葉に、バンブルビーとディーノが短い通信を使って彼に答えるとＮＥＳＴ基地への最短ルートを選択した。
　慣れ親しんだ道を走り抜けた直後、バンブルビーは停車すると運転席と助手席のドアを開きサムとティスランドに降りるように促す。

　「サム！ティスランド！」

名を呼ばれたティスランドが声のした方を見るとそこには完全武装をしているレノックスの姿があった。
　周りにはいつの間にか顔なじみのＮＥＳＴ隊員達がスタンバイをしており、彼等は出入り口に対して銃口を向けており不審車が現れればすぐさま発砲すると言うかのような刺々しい雰囲気をしていた。

　「レノックス！鍵はセンチネルだ！彼を守って！！」

　「ティスランドから報告を受けているから解ってるさ。安心しろ、サム。お前は万が一に備えてシェルターに避難をしておけ」

　「解った！ティスランドも一緒に行こう！！」

差し出されたサムの手をティスランドが掴もうとしたときだ。
　側に待機していたセンチネルが消防車からトランスフォームを開始し始める。何故その姿になるのだ？と思いながらセンチネルをティスランドは凝視していた時、追手として自分達を追いかけてきていたディセプティコンを掃討し終えて帰還したアイアンハイドがＮＥＳＴ基地へと帰還した。

　「アイアンハイド。助かったよ」

　『気にするな。じゃじゃ馬のお前にしては中々良い作戦だったぞ』

褒められてはいるのだろうが少しばかり引っかかる言葉を口にしたアイアンハイドに向かってティスランドは物言いたげな眼差しを向けたときだった。
　アイアンハイドの後ろに居るセンチネルが持っていた銃を構えたことに気づく。

　「逃げろッ！アイアンハイド！！！」

右手を大きく振りながらティスランドは鋭い声でアイアンハイドへと警告を出した直後、銃声が響き渡る。
　一寸遅れてアイアンハイドがその場へと倒れると、開けた視界に飛び込んできたのは白煙を上げる銃を持っているセンチネルの姿だった。

　「何故ですか？」

プライムの名を持つ絶対的な存在が何故このような愚かな事をするのだ？そう問いかけたティスランドに対し、センチネルは落胆を隠すことなく静かな声でその問いに答えた。

　『我々の故郷のためにはこうせざるを得なかったのだ。・・・そう。メガトロンと取引をする以外に我らが星を救う手段は無い』

返された言葉には裏切りでしかない。
　その事実に気づいた者達は全員が無言のままセンチネルに対して武器を向けようとしたが、センチネルもそうなることは解っていたらしく持っていた銃の引き金を引く。
　放たれた銃弾が辺りを破壊していく中、ティスランドは誰かに腕を引かれるのと同時に物陰へと引きずり込まれた。

　「何やっているんだよ！！」

ティスランドの腕を掴んでいるのは青白い顔をしているサムだった。