7章:不機嫌と興味と戦闘
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この店唯一の出入り口を塞ぐかのように立ちふさがっている男達が、明らかな敵意と殺意を持ってこちらをジッと見つめてきている事をティスランドは認識していた。
けれどそれに関しては全く気づいてはいません、私は無力なただの一般人ですというかのような顔をしてサムとシモンズの後ろ姿をジッと見つめる。
「(しくじったな)」
いつも拳銃を隠し持っている場所へと手を伸ばすのだが、指先に触れるのは鉄の塊の感触では無く柔らかな肉の感触だけだ。
NEST基地を出てくる時、全ての武器を置いてきた事を今になってティスランドは後悔していた。状況が状況なのだから申請したのならば所持する許可をもらえたはずなのだ。そうする事を忘れる程、自分は色々と切羽詰まっていたのだろうかと考えていたときだ。
「アンタみたいなお嬢ちゃんがここに来るのは場違いだよ」
カウンター越しに居る女のバーテンダーがくわえていたタバコを口から離すと、フッと紫煙の煙を吐き出すとティスランドへと音も無く近づいてくる。
「悪い奴らにおもちゃにされて人生棒に振っちまう前に帰りな」
口調こそ強いもののその声音にはティスランドを気遣う感情が宿っていたことから、随分と捻くれた性格をした女性だと思いながらティスランドは唇にだけ笑みを浮かべるとゆるく首を振る。
「悪いがそれはできない。私は彼の護衛なのでな」
「・・・・アンタが?」
「そうだ。こう見えても少しばかり特殊な立場に居る者なんだ。貴方の忠告は感謝する。だからこそ貴方みたいな優しい人こそ、悪い奴のおもちゃにされる前にこういう場所から去った方が良い」
夜の街でひっそりと生きるよりも、日の当たる場所で生きて欲しい、そう思いながら告げれば女は困ったように髪を乱暴に掻き上げた時だ。
サムとシモンズが話し合いを終えたらしく、これ以上この場に居る事は不要だと判断するのと同時に二人は我先に入口へと向かって小走りで去って行く。
「やれやれ・・・逃げ足の速い事だ」
「全くだねぇ」
「コレは世話代だ。上役達にでも上納するなり、貴方自身の借金にでも回す良い」
相場よりも少し多めのお金を女バーテンダーへと渡したティスランドはサム達から少しばかり遅れる形でバーを出る。
外に待機しているサイドスワイプとディーノに対し成果は上々だったというかのように一つ頷けば、二体はそれに答えるかのようにライトを一度だけ光らせた。
彼に対して軽く手を振ったティスランドはサムと同じくバンブルビーへと乗り混む。
サムがあの店でどのような情報を得られたのかは大体把握しており、そしてソレが何を意味しているのかも認識している。
「(だからこそ問題なんだ)」
この場で誰が次の手を、それこそオプティマスですら気づいていない事態への最善の一手を放てるのかが鍵となる。
ここを間違えてしまえば全てが水泡と化してしまうのだから。
今、この場に居る者達の誰もが決定的な判断を下すことに関して長けているような性格をしてはいない。
感情が優先されてしまうバンブルビー、人間嫌いなディーノ、何もかも経験が不足しているティスランドの中で唯一、決断力があるとしたらそれはサイドスワイプだ。
彼は長年アイアンハイドの部下として戦ってきていて、こういった事に関しては少しばかり信頼できるとティスランドは認識していた。
「(・・・もっとも、ここに貴方が居たのならば)」
そっと自身の胸元を押さえながらティスランドはらしくない考えを抱く。
ストラトスが居てくれたのならば、彼はきっとこの場に誰もが選ぶ事が出来なかった最良の選択をしたはずだ。
そういうことが出来る人だとティスランドは思い、彼に対して呼びかけてみるが皮肉な声音が返ってくる事は無い。
「(ここに居たのが私じゃなくて)」
脳裏に浮かんだ銀色をした上官の姿。
やはり自分はここに来てはいけなかった、そう思いながら動き出した車の中から通り過ぎていく街並みをティスランドはジッと見つめることしか出来ずにいた。
けれどそれに関しては全く気づいてはいません、私は無力なただの一般人ですというかのような顔をしてサムとシモンズの後ろ姿をジッと見つめる。
「(しくじったな)」
いつも拳銃を隠し持っている場所へと手を伸ばすのだが、指先に触れるのは鉄の塊の感触では無く柔らかな肉の感触だけだ。
NEST基地を出てくる時、全ての武器を置いてきた事を今になってティスランドは後悔していた。状況が状況なのだから申請したのならば所持する許可をもらえたはずなのだ。そうする事を忘れる程、自分は色々と切羽詰まっていたのだろうかと考えていたときだ。
「アンタみたいなお嬢ちゃんがここに来るのは場違いだよ」
カウンター越しに居る女のバーテンダーがくわえていたタバコを口から離すと、フッと紫煙の煙を吐き出すとティスランドへと音も無く近づいてくる。
「悪い奴らにおもちゃにされて人生棒に振っちまう前に帰りな」
口調こそ強いもののその声音にはティスランドを気遣う感情が宿っていたことから、随分と捻くれた性格をした女性だと思いながらティスランドは唇にだけ笑みを浮かべるとゆるく首を振る。
「悪いがそれはできない。私は彼の護衛なのでな」
「・・・・アンタが?」
「そうだ。こう見えても少しばかり特殊な立場に居る者なんだ。貴方の忠告は感謝する。だからこそ貴方みたいな優しい人こそ、悪い奴のおもちゃにされる前にこういう場所から去った方が良い」
夜の街でひっそりと生きるよりも、日の当たる場所で生きて欲しい、そう思いながら告げれば女は困ったように髪を乱暴に掻き上げた時だ。
サムとシモンズが話し合いを終えたらしく、これ以上この場に居る事は不要だと判断するのと同時に二人は我先に入口へと向かって小走りで去って行く。
「やれやれ・・・逃げ足の速い事だ」
「全くだねぇ」
「コレは世話代だ。上役達にでも上納するなり、貴方自身の借金にでも回す良い」
相場よりも少し多めのお金を女バーテンダーへと渡したティスランドはサム達から少しばかり遅れる形でバーを出る。
外に待機しているサイドスワイプとディーノに対し成果は上々だったというかのように一つ頷けば、二体はそれに答えるかのようにライトを一度だけ光らせた。
彼に対して軽く手を振ったティスランドはサムと同じくバンブルビーへと乗り混む。
サムがあの店でどのような情報を得られたのかは大体把握しており、そしてソレが何を意味しているのかも認識している。
「(だからこそ問題なんだ)」
この場で誰が次の手を、それこそオプティマスですら気づいていない事態への最善の一手を放てるのかが鍵となる。
ここを間違えてしまえば全てが水泡と化してしまうのだから。
今、この場に居る者達の誰もが決定的な判断を下すことに関して長けているような性格をしてはいない。
感情が優先されてしまうバンブルビー、人間嫌いなディーノ、何もかも経験が不足しているティスランドの中で唯一、決断力があるとしたらそれはサイドスワイプだ。
彼は長年アイアンハイドの部下として戦ってきていて、こういった事に関しては少しばかり信頼できるとティスランドは認識していた。
「(・・・もっとも、ここに貴方が居たのならば)」
そっと自身の胸元を押さえながらティスランドはらしくない考えを抱く。
ストラトスが居てくれたのならば、彼はきっとこの場に誰もが選ぶ事が出来なかった最良の選択をしたはずだ。
そういうことが出来る人だとティスランドは思い、彼に対して呼びかけてみるが皮肉な声音が返ってくる事は無い。
「(ここに居たのが私じゃなくて)」
脳裏に浮かんだ銀色をした上官の姿。
やはり自分はここに来てはいけなかった、そう思いながら動き出した車の中から通り過ぎていく街並みをティスランドはジッと見つめることしか出来ずにいた。