持てる戦力を全て使いピラミッドにいるフォールンに攻撃をしているが、彼の持つ力により全てのミサイルは防がれてしまっている。
　下手に近づくこともできず、このまま黙って彼らの野望が叶うのを見て居るしか無いのだろうか誰もが不安な目でピラミッドを見つめていたときだ。

　『・・・オプティマス。今のままではフォールンに勝てないぞ。だから俺のパーツを使え！！』

ジェットファイアはそう言い放つとミソラへと視線を向ける。

　『あんな虫けらでも意地を見せたんだ！このジェットファイア様が意地を見せずにどうする！！そこの軍医！余ったエネルゴンは虫けらに使え・・・それくらいはできるだろう？』

自身の胸に手を差し込んだジェットファイアはスパークを取り出す。
　崩れ落ちていく体。
　これで良いと妙な満足感を得ながら彼の意識はそこで途絶えた。

　『ジョルト！』

ジェットファイアのパーツがオプティマスに装着されていく。
　全てのパーツの接続が終わるのと同時にオプティマスは己の果たすべき役目を果たすため飛び立った。
　遠ざかる背中をミソラは見つめていると、準備を終えたらしいラチェットが現れる。

　『無茶をする』

　「ごめんなさい」

　『・・・・今は謝罪の言葉を聞きたくないな。治療を優先する』

言い終わるとラチェットは持っていたスパークにコードを差し込む。
　コードの先端には人間用の針があり、ラチェットは慣れた手つきでミソラの腕にそれをそっと差し込んだ。
　自分の中に流れ込んでくるエネルゴンにミソラはゆるく息を吐き出す。
　少しだけ体が楽になると睡魔が襲ってくる。

　『少し眠った方が良い』

　「・・・見届けたい」

　『結果は後で教えよう』

どこからか取り出した注射器をラチェットはミソラの首筋に差し込む。
　強制的に眠らせる手段を執るのは珍しいなと鈍くなる思考の中でミソラは過去の検査を思い出す。
　彼は必ず新しい検査をするときにはミソラに確認を取り、意見を尊重してくれていたのだ。そんな彼が意思確認すること無く処置をしたということ、それはラチェットがそれほど怒っていることを証明している。
　いつもの彼からは想像がちょっと出来ず苦笑を浮かべるとラチェットはそれに気づき咎めるかのような顔を向けてきた。

　『言いたいことがあるのなら口にすると良い』

　「なんでも、ないです。ただ、おきたら、おせっきょうがあるなって」

　『それはそうだろう』

　「レノックスさんからも、あるんです」

　『彼の説教は怖いぞ。先日、基地の中で悪戯をしたツインズが彼の説教を受けたようでな、あの悪戯小僧どもが数日ほど大人しくなっていた』

心して挑むと良い。
　楽しげに言われた言葉を最後にミソラの意識は途切れる。
　眠ったことを確認したラチェットはミソラを抱き留めたままのサムに声をかける。

　『私はオートボット達の状態を確認する。何かあればすぐに声をかけてくれ』

　「わかった」

ラチェットは近くに居た軍人に対し何か掛ける物を用意するように告げると、ジョルトを連れてオートボット達の怪我の状態を確認するためにその場を離れていった。