勝手な行動を取り、挙げ句の果てに逃げることすら叶わなくなってしまった。
こうなった責任は全て指揮官であるレノックスの責任になる可能性が高い。一時の感情で行動すべきでは無かったのだ。
　いくらサム達を守るためだったとしても。

　「ごめんなさい」

　「お説教は後でな・・・もうじき爆撃があるから逃げるぞ」

背負ってやると言うかのようにレノックスはミソラの腕を掴むと、その腕を自分の肩に回す。
　走り出したレノックスはサム達が居る場所に合流をする。

　「ミソラッ！何してんだよ！！死ぬ気なの！？」

　「そうよ！いきなり走り出すなんて・・・無謀すぎるわ！！」

抱きしめてくれるサムとミカエラにミソラは今になり、死んでいたかもしれないという恐怖を抱く。
　一歩間違えれば殺されていた可能性も否定は出来ない。
　縋るように二人の肩に額を押しつけていたときだった。

　「・・・行かなきゃ、オプティマスの所に」

　「今は駄目だ。爆撃が終わるまで待て！」

　「待てないよ！！」

レノックスとサムが軽く口論になっている中、引きつった声でエップスが呟く。

　「正確に狙ってくれれば良いんだが」

　「どういう意味ですか？」

ミカエラの肩から顔を上げたミソラが問いかけた瞬間、あたりにオレンジ色の煙が立ち上り始める。
　誰もがその煙を見つめる。

　「・・・ちょいと投げ損ねてね」

すまない、と言うかのように肩をすくめたエップスの言葉に誰もが何が起っているのか理解が出来ないで居た。
　最初に我に返ったのはレノックスで、彼は少しでもその場から離れようと指示を出す。足を怪我しているミソラを担ぎ、走り出したのと同時に凄まじい爆撃が開始された。
　視界を埋め尽くすかのような砂塵が舞う中でミソラは見てしまう。
　自分達とは違う方向に向かって走って行くサムの姿を。
　彼が向かうのはオプティマスの所だ。

　「だめ、だめだよ」

震える声で戻るように懇願するミソラであったが、その声にサムは気づかないまま走り続ける。
　爆撃の中心とも言える場所に向かい。
　立ち上がる火柱にサムの姿が見えなくなる。

　「サムッ！！戻って！！！」

一際大きな爆音がしたのと同時に、サムの体が宙を舞う。
　爆風に煽られた体が左右に大きく揺さぶられてから落下をした。

　「レノックスさん、サムがッ！サムが！！！」

自分を抱き上げているレノックスの肩を叩いてサムの居た場所を指さしたミソラであったが、爆撃の余波がミソラの居た場所まで及ぶ。
　倒れ込む四人はしばしの間、爆撃を耐えていた。
　全ての爆撃が終わったのと同時にレノックスとエップスが走り出す。

　「二人はそこに居ろ！！」

ミカエラは何が起ったのか解らないという顔をし、レノックス達の走って行った方向を見つめていた。

　「ミカエラッ！」

彼女を名を呼ぶとゆっくりとミカエラが振り返る。
　土で汚れたその頬を涙が伝い落ちていた。