気づけば小さな人間を掌に乗せていた。
　驚いたように自分を見つめる双眸をオプティマスはジッと見つめる。

　『約束すると言っただろう？ミソラ・・・私は君を守ると。私は君を傷つけたり等しない。だから信じてくれないか？』

　「信じる？」

　『そうだ、君がこの先の事に関して不安を感じていることも解っている。その不安を少しでも我々は消し去りたい。力になりたいのだ・・・君を助けたい』

危害を加えない、ちゃんと意思を尊重する、だから信じて欲しい。
　自分よりも遙かに大きく、そして強いロボットからの言葉にミソラの目に涙が浮かぶ。
　青い瞳。
　それは名も知らなかった銀色の彼を思い出させた。
　彼もまた、言っていた。


　”もう逃げなくて良い。俺たちが、いや、俺がお前のことを助けてやる”

　
彼らはとても優しい。
　その優しさをかみしめるかのようにミソラが目を閉じると、眦から涙が伝い落ちていく。

　「ありがとう、オプティマス・・・信じるよ」

目を開いたミソラは笑う。
　その笑みを見てオプティマスは安心したと言うかのようにアイカメラをカシャカシャと動かす。

　『本来ならば君の護衛をつけるべきなのだろう。今、我々が動くことを政府は了承しないだろう』

　「解っています。大人しく、目立たないように生活します」

任せてくれと言うかのようにりりしい顔をして言われた言葉。
　その言葉は難しいことくらい分かっている。
　ミソラの中にあるエネルゴンを狙い、きっとディセプティコンは彼女を狙う。

　『当面はバンブルビーと一緒に行動をするようにしてくれ。彼には後で私から伝えておこう』

　「サムの護衛は良いの？」

　『サムが狙われることももう無いだろう』

眼鏡が無くなった今となっては、サムの身に危険が迫る可能性はかなり低い。
　ただ、オートボットと交流があるという事で人質にされることが今後はあるかもしれないなとオプティマスは考え、近々政府に今回の件に関わった人達の記録を作り替えるように申請しようと決める。

　「そっか、なら良かった」

ウィトウィッキー家から危険が去る。それは良いことだと言って笑うミソラに向かい、オプティマスも微笑みかけると作業をしていたラチェットが驚いたように持っていたスパナを落とす。
　凄まじい音が響いた事にミソラが振り返ると、ラチェットは酷く慌てた様子で落としたスパナを拾うと謝罪の言葉を告げた。
　らしくない姿にミソラはオプティマスへと視線を戻し、楽しげに肩を揺らして笑った。